宅建業法 実戦篇
クーリングオフの過去問アーカイブス 昭和57年・問44
事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等
宅地建物取引業法第37条の2 (事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等) の規定に基づき,宅地又は建物の売買契約の解除をする場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和57年・問44) |
1.「買主が宅地又は建物の引渡しを受けたときは,代金の全部を支払っていなくても契約の解除はもはやすることができない。」 |
2.「契約の解除は,書面による買主の意思表示が売主である宅地建物取引業者に到達した時でなければ,その効力を生じない。」 |
3.「契約の解除により損害が生じたときは,売主である宅地建物取引業者は,買主に対し損害賠償を請求することができる。」 |
4.「売主である宅地建物取引業者が,他の宅地建物取引業者に宅地又は建物の売却について媒介の依頼をした場合において,契約の締結が依頼を受けた業者の事務所において行われたときは,買主は契約の解除をすることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「買主が宅地又は建物の引渡しを受けたときは,代金の全部を支払っていなくても契約の解除はもはやすることができない。」 |
【正解:×】 ◆クーリングオフできないとき <建物の引渡しを受け,かつ,代金の全額を支払ったとき>は,クーリングオフの規定で契約解除することはできません。(宅建業法・37条の2・第1項・第2号) しかし,<建物の引渡しを受けた>だけであれば,クーリングオフできるので,本肢は誤りです。
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2.「契約の解除は,書面による買主の意思表示が売主である宅地建物取引業者に到達した時でなければ,その効力を生じない。」 |
【正解:×】 ◆発信主義 クーリングオフの規定による契約解除は書面で行い,クーリングオフする旨の書面を発したときに,解除の効力が生じます。(宅建業法・37条の2・第2項) |
3.「契約の解除により損害が生じたときは,売主である宅地建物取引業者は,買主に対し損害賠償を請求することができる。」 |
【正解:×】 ◆損害賠償請求することはできない クーリングオフの規定によって契約が解除されると,売主である宅建業者は,買主に対し損害賠償や違約金の支払を請求することはできません。(宅建業法・37条の2・第1項) この規定に反する特約をしても,申込者等に不利なものになるので無効です。(宅建業法・37条の2・第4項)
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4.「売主である宅地建物取引業者が,他の宅地建物取引業者に宅地又は建物の売却について媒介の依頼をした場合において,契約の締結が依頼を受けた業者の事務所において行われたときは,買主は契約の解除をすることはできない。」 |
【正解:○】 ◆媒介業者又は代理業者の事務所等で 買主が,売主の業者から媒介や代理の依頼を受けた他の宅建業者の事務所等(註)で,買受けの申込み又は契約の締結をしたときはクーリングオフはできません。(宅建業法・37条の2・第1項) (註) 一団の宅地建物の分譲の媒介・代理を土地に定着する建物内に設けられた案内所で行う場合の案内所を含む。(テント張りの案内所は含まない。) ▼本肢では,<買い受けの申込が事務所等以外で行われたときは,契約の締結が事務所等で行われても,クーリングオフできるのではないか>と疑問を感じると思いますが,問題文には買い受けの申込については記述がないので,買受の申込については考えず,契約の締結のみで考えます。 |