宅建業法 実戦篇
宅建業者・取引主任者の過去問アーカイブス 昭和57年・問47
主任者証の有効期間・登録・瑕疵担保責任の特約の制限・免許の基準 (欠格要件)
宅地建物取引業法上,次の記述のうち正しいものはどれか。(昭和57年・問47) |
1.「宅地建物取引主任者証の有効期間は5年であるが,申請により更新することができる。」改 |
2.「宅地建物取引主任者資格試験に合格した者は,いつでも登録できるが,登録した場合5年ごとに更新の手続をしなければその登録は失効する。」改 |
3.「宅地建物取引業者が,自ら売主となる建物の売買契約において「売主の瑕疵担保責任期間は引渡しの日から3年とし,損害賠償の請求にのみ応じる。」という特約をした場合,その特約は有効である。」 |
4.「宅地建物取引業法違反により罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は刑の執行を受けることがなくなった日から3年を経過した者は,免許を受けることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「宅地建物取引主任者証の有効期間は5年であるが,申請により更新することができる。」 |
【正解:○】 ◆主任者証の有効期間は5年 取引主任者証の有効期間は5年で,申請により更新することができます。(宅建業法・22条の2・第3項,22条の3・第1項) |
2.「宅地建物取引主任者資格試験に合格した者は,いつでも登録できるが,登録した場合5年ごとに更新の手続をしなければその登録は失効する。」 |
【正解:×】 ◆登録に更新手続はない 不正手段によって試験を受けて合格を取り消されない限り(宅建業法・17条1項),宅建試験の合格は,一生有効です。 宅建に合格した者は,2年以上の実務経験があるか又は実務講習を修了することによって,試験地の都道府県知事に,いつでも登録を受けることができます。(宅建業法・17条1項) 取引主任者の登録には更新手続というものはなく,一度登録を受ければ,都道府県知事によって登録が消除されない限り,有効です。(主任者証の交付を受けなくても,登録が消除されることはない。) したがって,本肢は誤りです。
|
3.「宅地建物取引業者が,自ら売主となる建物の売買契約において「売主の瑕疵担保責任期間は引渡しの日から3年とし,損害賠償の請求にのみ応じる。」という特約をした場合,その特約は有効である。」 |
【正解:×】 ◆瑕疵担保責任−宅建業法に反した特約は無効 宅建業者は,買主等が宅建業者でない場合,瑕疵担保責任について,宅建業法の規定と異なる特約をすることはできますが,宅建業法の規定に反した特約は無効とされており,特約が無効の場合は,民法の原則<事実を知ったときから1年以内に,損害賠償又は解除をすることができる。>に立ち戻ることになります。(宅建業法・40条2項) 本肢では,特約の前半部分<引渡しのときから3年>は宅建業法の規定<引渡しの日から2年以上>に反しませんが,後半部分<損害賠償の請求のみに応じる⇒つまり,瑕疵担保責任による解除の請求には応じない>が宅建業法に反するものなので,この特約は無効であり,本肢は誤りです。 |
●瑕疵担保責任についての特約の制限 |
民法では,瑕疵担保責任は売主の無過失責任であり,瑕疵によって契約の目的が達成できないときは,契約の解除をすることができ,契約の解除をすることができないときは,損害賠償の請求のみをすることができます。(民法570条,566条1項,判例) また,この契約の解除又は損害賠償責任の請求は,買主がその事実を知った時から1年以内にしなければなりません。(民法570条,566条3項) 宅建業法では,買主が非業者であれば,原則として,この民法の規定よりも買主に不利な特約はしてはならないことになっていますが,その例外として<目的物の引渡しの日から2年以上となる特約>は許されています。(宅建業法・40条1項) 宅建業法のこの規定に反する特約は,無効です。 (宅建業法・40条2項) |
4.「宅地建物取引業法違反により罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は刑の執行を受けることがなくなった日から3年を経過した者は,免許を受けることができる。」 |
【正解:×】 ◆宅建業法違反による罰金刑−宅建業免許の欠格要件 宅建業法違反により罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過した者は,免許を受けることができます。(宅建業法・5条1項3号) 本肢では,<3年を経過した者>となっているので,誤りです。 |
1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る Brush Up! 宅建主任者に戻る