宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和57年・問48


宅地建物取引業法第35条の規定による宅地建物取引業者の重要事項の説明義務に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和57年・問48)

1.「重要事項の説明は,宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。」

2.「重要事項を記載した書面の交付は,相手方の同意がある場合を除いて,契約締結前に行わなければならない。」

3.「宅地建物取引主任者は,重要事項の説明をする際,相手方から請求がなくても,宅地建物取引主任者証の提示をしなければならない。」

4.「重要事項の説明は,必ずしも書面を交付して行う必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「重要事項の説明は,宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。」

【正解:×

◆重要事項の説明をする場所については規定なし

 重要事項の説明をする場所については,宅建業法上規定されていないので,本肢は誤り。

2.「重要事項を記載した書面の交付は,相手方の同意がある場合を除いて,契約締結前に行わなければならない。」

【正解:×

◆35条書面の交付は契約締結前

 重要事項の説明は,契約締結の前に,書面を交付して行うものとされており,相手方の同意がある場合でも,このことに変わりはないので,本肢は誤り。

3.「宅地建物取引主任者は,重要事項の説明をする際,相手方から請求がなくても,宅地建物取引主任者証の提示をしなければならない。」

【正解:

取引主任者証の提示

 取引主任者証は,以下の場合に提示することが義務付けられています。

(i) 重要事項の説明のとき (相手方等から請求がなくても提示する。)(宅建業法・35条3項)

(ii) 重要事項の説明のとき以外では,取引の関係者から請求があったとき(宅建業法・22条の4)

 重要事項の説明をする際は,相手方から請求がなくても,宅地建物取引主任者証を提示しなければなりません。(宅建業法・35条4項)

 KEY 

 (i) 重要事項の説明のときの主任者証の提示

   ⇒ 違反すると 罰則 10万円以下の過料

 (ii) 取引の関係者から請求があったときの提示

   ⇒ 違反しても 罰則は特に定められていない

●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

第35条第3項関係 取引主任者証の提示について

  提示の方法としては、取引主任者証を胸に着用する等により、相手方又は関係者に明確に示されるようにする。

4.「重要事項の説明は,必ずしも書面を交付して行う必要はない。」

【正解:×

◆必ず書面を交付して説明する

 重要事項の説明は,必ず書面(註)を交付して取引主任者に行わせなければいけません(宅建業法・35条1項)。したがって,本肢は誤りです。

 註 宅地が造成工事完了前,建物が建築工事完了前のときは,完了時における形状・構造その他国土交通省令で定める事項について説明しなければならず,その際必要であれば書面の交付のほか図面も交付して説明しなければなりません(宅建業法・35条1項本文,同5号)

●監督処分と罰則

35条の重要事項説明の義務に違反した場合

 KEY 

 35条の重要事項は,35条書面に記載し,契約締結前に,
 取引主任者をして,その書面を交付して説明させなければならない。
 (過失による場合も免責されない。)
                ↓
            口頭のみではダメ

 監督処分  指示処分

        1年以内の業務停止処分(全部又は一部)

        情状が特に重いときや業務停止処分に違反したときは
        免許取消処分

35条の重要事項の説明とは別に,<重要な事項について,故意に事実を告げず,又は不実のことを告げる行為>は禁止されており(宅建業法・47条1号),これに違反すると,下記のようになります。

 KEY 

 重要な事項について,故意に事実を告げず,又は不実のことを告げる行為>
 は禁止されている。  
                ↓

 罰則 一年以下の懲役 もしくは 300万円以下の罰金 又は 併科

 両罰規定 行為者を罰するほか,宅建業者である法人・個人にも
        罰金刑を科する。

 監督処分 1年以内の業務停止処分(全部又は一部)

        情状が特に重いときや業務停止処分に違反したときは
        免許取消処分

<知らないで>事実を告げなかった,不実のことを告げた場合は,
 この規定には該当しないが,注意義務を怠ったために知らなかった場合は
 指示処分又は業務停止処分の対象になる。

●建設省計画局長通達(昭和42.9.23)
・宅建業法35条1項2項に掲げる事項は,宅建業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち,最小限の事項を規定したものであり,これらの事項以外にも場合によっては説明する重要事項が有りえること。

・また,宅建業法35条1項2項に違反する行為は,特別の事情がない限り,47条第1号に規定する依頼者等に対し重要な事項について故意に事実を告げず,または不実のことを告げるものと解されること。


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