宅建業法 実戦篇
媒介契約の過去問アーカイブス 昭和58年・問40 媒介書面の交付・更新の申出
宅地建物取引業法第34条の2の規定に基づく媒介契約に対する規制に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問40) |
1.「宅地建物取引業者は,宅地又は建物の賃貸借の媒介を行う場合には,媒介契約の内容を記載した書面を作成して依頼者に交付することを省略することができる。」 |
2.「宅地建物取引業者は,依頼者が宅地建物取引業者である場合であっても,媒介契約の内容を記載した書面を作成して交付しなければならない。」 |
3.「宅地建物取引業者が依頼者に交付すべき書面には,必ず媒介契約の解除に関する事項を記載しなければならない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,専任媒介契約締結時にあらかじめ依頼者の承諾を得ておけば,有効期間の満了に際して依頼者からの更新の申出がなくても,有効期間を更新することができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「宅地建物取引業者は,宅地又は建物の賃貸借の媒介を行う場合には,媒介契約の内容を記載した書面を作成して依頼者に交付することを省略することができる。」 |
【正解:○】 ◆賃貸借の媒介契約では,媒介書面の交付の規定は適用されない 宅建業者は,宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときは,遅滞なく,宅建業法34条の2第1項の事項を記載した書面を作成して記名押印し,依頼者にこれを交付しなければいけません。(宅建業法・34条の2・第1項) しかし,宅地又は建物の賃貸借の媒介を行う場合には,この媒介書面の交付の規定は適用されないので,交付しなくても宅建業法違反にはなりません。 ▼「省略することができる」という問題文の表現は,少し気になる言い方ですが,<交付しなくても宅建業法には違反しない>という意味で解釈しましょう。 |
2.「宅地建物取引業者は,依頼者が宅地建物取引業者である場合であっても,媒介契約の内容を記載した書面を作成して交付しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆業者間取引でも,媒介書面の交付 媒介契約や代理契約についての宅建業法の規定は,宅建業者間の取引にも適用されます。 依頼者が宅建業者である場合も,媒介契約の内容を記載した書面を作成して交付しなければいけません。(宅建業法・34条の2・第1項)
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3.「宅地建物取引業者が依頼者に交付すべき書面には,必ず媒介契約の解除に関する事項を記載しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆解除に関する事項 媒介書面では,媒介契約の解除に関する事項を必ず記載しなければなりません。 |
●媒介書面に必ず記載する事項 |
一 当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示 二 当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額 三 当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項 四 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項 五 当該宅地又は建物の第5項に規定する指定流通機構への登録に関する事項 六 報酬に関する事項 七 その他国土交通省令で定める事項 |
●国土交通省令で定める事項 一 専任媒介契約にあつては、依頼者が他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置 二 依頼者が売買又は交換の媒介を依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約(次条及び第15条の9において「専属専任媒介契約」という。)にあつては、依頼者が当該相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結したときの措置 三 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを許し、かつ、他の宅地建物取引業者を明示する義務がある媒介契約にあつては、依頼者が明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置 四 当該媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別 |
4.「宅地建物取引業者は,専任媒介契約締結時にあらかじめ依頼者の承諾を得ておけば,有効期間の満了に際して依頼者からの更新の申出がなくても,有効期間を更新することができる。」 |
【正解:×】 ◆専任媒介・専属専任媒介−依頼者から更新の申出がなければ更新できない 専任媒介契約・専属専任媒介契約では,有効期間は3月を超えることができず,これより長い期間を定めたときでも、その期間は自動的に3月になります(宅建業法・34条の2・第3項)。 また,依頼者の申出により,更新することができますが(宅建業法・34条の2・第4項),この場合でも,更新の時から3月を超えることができません。 専任媒介契約・専属専任媒介契約では,宅建業者の都合によって依頼者が想定外の期間を不当に拘束されることのないようにしています。 ▼一般媒介では,有効期間や依頼者からの更新の申出がなければ更新できないという規定は適用されず,自動更新することができます。 ●有効期間と更新の規定
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