宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和58年・問43


宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和58年・問43)

1.「宅地建物取引主任者は,説明に当たってその相手方から請求があったときにのみ宅地建物取引主任者証を提示すれば足りる。」

2.「重要事項の説明は,専任の宅地建物取引主任者が行うこととされており,これ以外の者が行ってはならない。」

3.「宅地建物取引主任者が宅地又は建物の売買の媒介を行う場合には,宅地建物取引主任者は,買主となろうとしている者に対してのみ説明をすれば足りる。」

4.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約が成立した場合には,宅地建物取引主任者は直ちに買主に対して重要事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引主任者は,説明に当たってその相手方から請求があったときにのみ宅地建物取引主任者証を提示すれば足りる。」

【正解:×

取引主任者証の提示

 取引主任者証は,以下の場合に提示することが義務付けられています。重要事項説明の際には,相手方から請求がなくても提示する義務があるので,本肢は誤りです。

(i) 重要事項の説明のとき (相手方等から請求がなくても提示する。)(宅建業法・35条4項)

(ii) 重要事項の説明のとき以外では,取引の関係者から請求があったとき(宅建業法・22条の4)

 重要事項の説明をする際は,相手方から請求がなくても,宅地建物取引主任者証を提示しなければなりません。(宅建業法・35条4項)

 KEY 

 (i) 重要事項の説明のときの主任者証の提示

   ⇒ 違反すると 罰則 10万円以下の過料

 (ii) 取引の関係者から請求があったときの提示

   ⇒ 違反しても 罰則は特に定められていない

●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

第35条第4項関係 取引主任者証の提示について

  提示の方法としては、取引主任者証を胸に着用する等により、相手方又は関係者に明確に示されるようにする。

2.「重要事項の説明は,専任の宅地建物取引主任者が行うこととされており,これ以外の者が行ってはならない。」

【正解:×

◆35条の重要事項を説明するのは,専任の取引主任者でなくてもよい

 宅建業者としては,重要事項の説明は,取引主任者にさせればよく,専任でなくてもいいし,例えばパートやアルバイトの取引主任者にさせてもよいので,本肢は誤りです。

3.「宅地建物取引主任者が宅地又は建物の売買の媒介を行う場合には,宅地建物取引主任者は,買主となろうとしている者に対してのみ説明をすれば足りる。」

【正解:

◆35条の重要事項を説明する相手−媒介・代理では,買主又は借主

 宅建業者が宅地建物の売買の媒介を行う場合,物件を取得しようとする買主にのみ,重要事項の説明をすればよい。

35条の重要事項の説明

 ・業者が当事者として売買・交換をする場合,
 ・代理人として売買・交換・貸借の契約を締結する場合,
 ・売買・交換・貸借の媒介をする場合

    誰に対してするか
35条の重要事項説明

 <書面の交付と説明>

 大原則=物件を取得し,借りようとしている者に対して行う

 【媒介・代理の場合】
 ・買主になろうとしている者,
 ・借主になろうとしている者,
 ・交換の当事者になろうとしている者

 【自ら当事者として売買・交換契約を締結する場合】 
  買主,交換の相手方

37条書面の交付  【媒介・代理の場合】 契約の両当事者
 <売主と買主,貸主と借主,交換の当事者双方>

 【自ら当事者として売買・交換契約を締結する場合】 相手方

35条書面・37条書面の交付 ・・・ 要○ 不要×

   35条書面  37条書面
 自ら当事者(買主)として売買契約を締結  ×  ○ 売主に交付
 自ら当事者(売主)として売買契約を締結  ○買主に交付  ○ 買主に交付
 自ら借主として賃貸契約を締結  ×  ×
 自ら貸主として賃貸契約を締結  ×  ×

4.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約が成立した場合には,宅地建物取引主任者は直ちに買主に対して重要事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。」

【正解:×

◆重要事項の説明の時期−契約が成立する前

 35条の重要事項を取引主任者が説明する時期は,契約が成立する前ですから,<契約が成立した場合には,直ちに買主に対して重要事項を記載した書面を交付して説明>とする本肢は誤りです。

●建設省計画局長通達(昭和42.9.23)
・宅建業法35条1項2項に掲げる事項は,宅建業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち,最小限の事項を規定したものであり,これらの事項以外にも場合によっては説明する重要事項が有りえること。

・また,宅建業法35条1項2項に違反する行為は,特別の事情がない限り,47条第1号に規定する依頼者等に対し重要な事項について故意に事実を告げず,または不実のことを告げるものと解されること。


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