宅建業法 実戦篇
重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和59年・問45
宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和59年・問45) |
1.「宅地建物取引業者A及びBは,それぞれが所有する土地及びマンションを交換する契約を行うときは,双方の合意のもとに重要事項の説明を省略することができる。」 |
2.「重要事項の説明は,専任でない宅地建物取引主任者が行うこともできるが,これらの事項を記載した書面に記名・押印するのは専任の宅地建物取引主任者でなければならない。」 |
3.「重要事項の説明は,売買契約が成立したら,当該契約の目的物の引渡しを行うまでの間に書面を交付して行わなければならない。」 |
4.「取引主任者証を亡失した宅地建物取引主任者は,取引主任者証の再交付を受けるまでの間は,宅地建物取引業者の従業員であることを証する証明書を取引の相手方等に提示しても,重要事項の説明をすることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
●建設省計画局長通達(昭和42.9.23) |
・宅建業法35条1項2項に掲げる事項は,宅建業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち,最小限の事項を規定したものであり,これらの事項以外にも場合によっては説明する重要事項が有りえること。
・また,宅建業法35条1項2項に違反する行為は,特別の事情がない限り,47条第1号に規定する依頼者等に対し重要な事項について故意に事実を告げず,または不実のことを告げるものと解されること。 |
1.「宅地建物取引業者A及びBは,それぞれが所有する土地及びマンションを交換する契約を行うときは,双方の合意のもとに重要事項の説明を省略することができる。」 |
【正解:×】 ◆宅建業者間の取引にも適用される 35条の重要事項の説明は,交換の当事者にもしなければいけません。 重要事項の説明は,宅建業者間で契約する場合にも適用されるので,誤りです。 |
2.「重要事項の説明は,専任でない宅地建物取引主任者が行うこともできるが,これらの事項を記載した書面に記名・押印するのは専任の宅地建物取引主任者でなければならない。」 |
【正解:×】 ◆重要事項の説明・記名押印とも,専任の取引主任者でなくてもよい 35条の重要事項は,取引主任者をして説明させなければならず,記名押印も取引主任者がすることになっています。 特に専任でなければならないという規定はなく,パートの取引主任者でもよいので,本肢は誤りです。 |
3.「重要事項の説明は,売買契約が成立したら,当該契約の目的物の引渡しを行うまでの間に書面を交付して行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆重要事項を説明する時期−契約が成立する前 35条の重要事項の説明は,<契約が成立するまでの間に>となっています。<契約が成立した後>ではありません。 そもそも重要事項の説明は,契約をするかどうか判断材料にするためのものですから,契約成立後にするのでは,制度趣旨とは異なります。 |
4.「取引主任者証を亡失した宅地建物取引主任者は,取引主任者証の再交付を受けるまでの間は,宅地建物取引業者の従業員であることを証する証明書を取引の相手方等に提示しても,重要事項の説明をすることはできない。」 |
【正解:○】 ◆取引主任者証の提示 取引主任者は,35条の重要事項の説明をするときには,相手方等から請求がなくても,取引主任者証を提示しなければなりません(宅建業法・35条・4項)。 つまり,取引主任者証を提示できなければ,従業員であることを証する証明書を提示しても,重要事項の説明をすることはできません。
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●主任者証の亡失による再交付 (宅建業法・施行規則) |
(取引主任者証の再交付等) 第14条の15 取引主任者は、取引主任者証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、その交付を受けた都道府県知事に取引主任者証の再交付を申請することができる。 2 前項の規定による再交付を申請しようとする者は、取引主任者証用写真を添付した別記様式第7号の5による宅地建物取引主任者証再交付申請書を提出しなければならない。 3 汚損又は破損を理由とする取引主任者証の再交付は、汚損し、又は破損した取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証を交付して行うものとする。 4 取引主任者は、取引主任者証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した取引主任者証を発見したときは、速やかに、発見した取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。 |