宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和60年・問37 政令で定める法令上の制限


宅地建物取引業法第35条 (重要事項の説明等) 第1項第2号の法令に基づく制限として同法施行令第3条に定められていないものは,次のどれか。(昭和60年・問37)

1.「下水道法第11条の2第1項に規定する公共下水道の使用開始時期等の届出」

2.「公有地の拡大の推進に関する法律第4条第1項に規定する土地の譲渡の届出」

3.「文化財保護法第43条第1項に規定する重要文化財の現状の変更等の許可」

4.「住宅地区改良法第9条第1項に規定する土地の形質の変更等の許可」

【正解】

該当しない 該当する 該当する 該当する

●政令で定める法令上の制限
  重要事項説明での<政令で定める法令上の制限>は,契約の別<売買・交換等,宅地の貸借,建物の貸借>に応じて定められています。(例えば,売買での政令で定める法令上の制限に該当するものであっても,宅地の貸借や建物の貸借で,政令で定める法令上の制限に該当するとは限らない。)

 しかし,本問題では,売買なのか,貸借なのか明示されていません。このような場合は,売買・貸借の少なくとも一方に,<政令に定める法令上の制限>にリストアップされているかどうかを問うという非常にアバウトな出題として解いていくしかありません。

【正解:

◆契約の別に応じて政令で定める法令上の制限

 肢2,3,4は,少なくとも説明しなければならない,重要事項 (契約の別に応じて政令で定める法令上の制限) として,35条1項2号及び施行令3条1項・2項に掲げられています。(宅建業法・35条1項2号,施行令3条)

「公有地の拡大の推進に関する法律第4条第1項に規定する土地の譲渡の届出」(施行令3条1項15号)

「文化財保護法第43条第1項に規定する重要文化財の現状の変更等の許可」(施行令3条1項28号,2項)

「住宅地区改良法第9条第1項に規定する土地の形質の変更等の許可」(施行令3条1項14号,2項)

⇒ 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

 しかし,肢1の「下水道法第11条の2第1項に規定する公共下水道の使用開始時期等の届出」は,重要事項で説明すべきものとはされていません。

施行令3条では,契約の別に応じて説明すべき事項が,各項で分類されています。

 宅地建物の貸借以外の契約・・・施行令3条1項

 宅地の貸借の契約・・・施行令3条2項

 建物の貸借の契約・・・施行令3条3項

●参考・住宅地区改良法
(目的)
第1条
 この法律は、不良住宅が密集する地区の改良事業に関し、事業計画、改良地区の整備、改良住宅の建設その他必要な事項について規定することにより、当該地区の環境の整備改善を図り、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の集団的建設を促進し、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条
 この法律において「住宅地区改良事業」とは、この法律で定めるところに従つて行なわれる改良地区の整備及び改良住宅の建設に関する事業並びにこれに附帯する事業をいう。

(建築行為等の制限)
第9条
 前条第一項の告示があつた日後、改良地区内において、住宅地区改良事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

2  都道府県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。

3  都道府県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、住宅地区改良事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。

●区域内にある旨

 <宅建業者の相手方等の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して国土交通省令で定める事項>として,以下の2つは,宅地・建物の売買・交換(媒介・代理),貸借の媒介・代理のどれであっても,説明義務があります(施行規則16条の4の3)

一  当該宅地又は建物が宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第二十条第一項により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨

二  当該宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律 (平成十二年法律第五十七号)第六条第一項 により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨


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