宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和61年・問40 業者間取引
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限・契約締結時期の制限・
手付金等保全措置・手付金の額の制限
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか(昭和61年・問40) |
1.「宅地建物取引業者は,原則として自己の所有に属しない宅地又は建物について売買契約を締結してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,建物の建築に関する工事の完了前においては,当該工事に必要となる建築基準法第6条第1項の確認があった後でなければ,当該工事に係る建物について売買契約を締結してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
3.「宅地建物取引業者は,建物の建築に関する工事の完了前においては,宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置を講じた後でなければ,原則として買主から手付金等を受領してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,売買契約の締結に際して,代金の額の2/10を超える額の手附を受領することはできないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「宅地建物取引業者は,原則として自己の所有に属しない宅地又は建物について売買契約を締結してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」
3.「宅地建物取引業者は,建物の建築に関する工事の完了前においては,宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置を講じた後でなければ,原則として買主から手付金等を受領してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 4.「宅地建物取引業者は,売買契約の締結に際して,代金の額の2/10を超える額の手附を受領することはできないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
【正解:○】 ◆自ら売主の8種制限は,宅建業者が買主の時には適用されない。 宅建業者が自ら売主で,買主が宅建業者ではない場合は,<自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限>(宅建業法・33条の2),<手付金等の保全措置>(宅建業法・41条,41条の2),<手附の額の制限等>(宅建業法・39条)の規定が適用されますが,買主が宅建業者である場合には適用されません(宅建業法・78条2項)。
|
2.「宅地建物取引業者は,建物の建築に関する工事の完了前においては,当該工事に必要となる建築基準法第6条第1項の確認があった後でなければ,当該工事に係る建物について売買契約を締結してはならないが,買主が宅地建物取引業者である場合はこの限りではない。」 |
【正解:×】 ◆契約締結時期等の制限は,買主が宅建業者でも適用される 宅建業者が自ら売主の8種制限は買主が宅建業者である場合には適用されません(宅建業法・78条2項)が,<自ら売主の8種制限>以外の規定は,買主が宅建業者,つまり宅建業者間の取引でも適用されます。 したがって,契約締結時期の制限<工事完了前の宅地や建物は,開発許可や建築確認があった後でなければ,自ら売買・交換の契約,売買・交換の代理・媒介をしてはならない>は,宅建業者間の取引でも適用されるので(宅建業法・78条2項,36条),本肢は誤りです。
|
●33条の2との関係 |
自ら売主で,買主が宅建業者ではない場合,自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限では,未完成物件について,手付金等の保全措置をしなければ原則として売買契約はできないことになっています(宅建業法・33条の2・第2項)。
このことと契約締結時期の制限(宅建業法・36条)との関係で,よく質問が来ます。これについては次のように考えてください。 建築確認等 ――――――――――――――○―――――――――――――――――― この間は売買契約はできない →| 建築確認等があった後は, 買主が業者=保全措置をしなくても売却できる。 買主が業者ではない=原則として, |
●整理●契約締結時期の制限,自己の所有に属さない宅地又は建物の売買契約締結時期の制限
建築確認等の前 | 建築確認等の後で完了前 | |
買主が宅建業者 | 契約締結できない | 手付金等の保全措置を 講じなくても,契約締結できる。 |
買主が宅建業者ではない | 契約締結できない | 手付金等の保全措置を 講じれば,契約締結できる。※ |
※手付金等の合計が代金の5%以下,かつ,1,000万円以下であるとき,買主が所有権の登記をしたとき(保存登記),買主への所有権移転登記がされたときは保全措置は不要。 |
1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る Brush Up! 自ら売主制限に戻る