宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和61年・問46 

罰則・主任者証の提示義務・重要事項説明をするのは専任でなくてもよい・説明の時期


宅地建物取引業者が,取引主任者をして,宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明をさせる場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和61年・問46)

1.「は説明の際,相手方が特に要求しなかったので,取引主任者証を提示せず,また,交付する書面にも記名押印をしなかった。この場合,は,10万円以下の過料に処せられる。」

2.「は,の命令を拒んで説明を行わなかった。この場合,は,都道府県知事から,取引主任者としてすべき事務の禁止処分を受ける。」

3.「が,専任の取引主任者でなく,午前中だけパートタイムで雇われている取引主任者である場合,は,をして説明させたとしても,重要事項の説明義務を果たしたことにはならない。」

4.「は,当該売買,交換又は貸借の契約が成立してから遅滞なく,をして説明させなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「は説明の際,相手方が特に要求しなかったので,取引主任者証を提示せず,また,交付する書面にも記名押印をしなかった。この場合,は,10万円以下の過料に処せられる。」

【正解:

取引主任者証の提示

 取引主任者は,35条の重要事項の説明をするときには,相手方等から請求がなくても,取引主任者証を提示しなければなりません(宅建業法・35条・4項)

 これに違反すると,10万円以下の過料に処せられます(宅建業法・86条)。<取引主任者が35条書面に記名押印しなかったことについての罰則は特に定められていません。>

(i) 重要事項の説明のとき (相手方等から請求がなくても提示する。)(宅建業法・35条4項)

(ii) 重要事項の説明のとき以外では,取引の関係者から請求があったとき(宅建業法・22条の4)

 KEY 

 (i) 重要事項の説明のときの主任者証の提示

   ⇒ 違反すると 罰則 10万円以下の過料

 (ii) 重要時効説明以外で,
   説明取引の関係者から主任者証の提示の請求があったときの提示

   ⇒ 違反しても 罰則は特に定められていない

 

●取引主任者が10万円以下の過料に処せられるとき
 主任者証に係る以下の規定に違反したとき

・登録が消除されたとき,又は主任者証が効力を失ったときに,交付を受けた知事に主任者者証を返納しなかった。(宅建業法・22条の2・6項に違反)

・事務禁止処分を受けたときに,交付を受けた知事に主任者証を提出しなかった。(宅建業法・22条の2・7項に違反)

・重要事項説明をするときに,主任者証を提示しなかった。(宅建業法・35条4項に違反)

2.「は,の命令を拒んで説明を行わなかった。この場合,は,都道府県知事から,取引主任者としてすべき事務の禁止処分を受ける。」

【正解:×

◆取引主任者が命令を拒んで重要事項説明をしなかった場合

 取引主任者のが宅建業者の命令を拒んで説明を行わなくても,宅建業者は別の取引主任者に説明させればいいだけの話なので,が都道府県知事から取引主任者としてすべき事務の禁止処分を受けることはありません。

3.「が,専任の取引主任者でなく,午前中だけパートタイムで雇われている取引主任者である場合,は,をして説明させたとしても,重要事項の説明義務を果たしたことにはならない。」

【正解:×

重要事項の説明・記名押印とも,専任の取引主任者でなくてもよい

 35条の重要事項は,取引主任者をして説明させなければならず,記名押印も取引主任者がすることになっています。

 重要事項の説明や記名押印について,特に専任でなければならないという規定はなく,パートの取引主任者でもよいので,本肢は誤りです。

4.「は,当該売買,交換又は貸借の契約が成立してから遅滞なく,をして説明させなければならない。」

【正解:×

重要事項を説明する時期−契約が成立する前

 35条の重要事項の説明は,<契約が成立するまでの間に>となっています。<契約が成立した後>ではありません。

 そもそも重要事項の説明は,契約をするかどうか判断材料にするためのものですから,契約成立後にするのでは,制度趣旨とは異なります。


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