宅建業法 実戦篇
報酬の限度額の過去問アーカイブス 昭和61年・問49 交換契約の報酬
宅地建物取引業者A (消費税課税事業者) は甲の依頼を受け,宅地建物取引業者B (消費税課税事業者) は乙の依頼を受けて,甲乙間に甲所有の300万円の宅地と乙所有の350万円の宅地の交換契約を成立させた。この場合,A及びBが受領した報酬の額に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法違反とならないものはどれか。(昭和61年・問49) |
1.「Aが媒介でBが代理の場合,Aは甲から14万5千円,Bは乙から29万円の報酬を受領した。」 |
2.「Aが代理でBが媒介の場合,Aは甲から20万円,Bは乙から14万円の報酬を受領した。」 |
3.「AとBがともに媒介の場合,Aは甲から15万5千円,Bは乙から16万8千円の報酬を受領した。」 |
4.「AとBがともに媒介の場合,Aは甲から15万円,Bは乙から17万円の報酬を受領した。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反しない | 違反する |
●本問題のポイント | |||||||||||
宅地建物の交換の場合,宅建業者が受領することのできる報酬の限度額は,交換する物件のいずれか多いほうの価額を基準として計算します。 このため,本問題では,350万円を基準にして計算します。 土地の売買については消費税は課されないので,土地の価額350万円のみで,依頼者の一方から受けられる報酬の最高限度額を計算します。 まず,以下で区分して合計額を計算してみましょう。<後から消費税額を加算する。>
合計額は,10万円+6万円=16万円。・・・(※)
これに,消費税額及び地方消費税額の5%を乗じたものを加算し,報酬の最高限度額 (消費税額及び地方消費税額を含む。) 16万8千円が算出されます。 (i) 媒介の場合,依頼者の一方から受けられる報酬の最高限度額は,16万8千円・・・(*) 売主と買主の双方から媒介の依頼を受けているときは,単純にこの金額の2倍以内であれば,報酬を受けることができます。 (ii) 代理の場合,(*)の金額の2倍以内を請求できますが,売買の相手方からも報酬を受ける場合は,報酬の合計額は(*)の2倍を超えて受けることはできません。 (iii) 複数の業者が関与した場合も,1人の業者のみが媒介・代理したときと同じなので,本問題では,AとBが媒介又は代理として関与していますが,甲・乙から受ける報酬の合計額(A,Bの受ける報酬の合計額) は,16万8千円×2=33万6千円 以内でなければいけません。 したがって,以下の2つが本問題を解くポイントになります。
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1.「Aが媒介でBが代理の場合,Aは甲から14万5千円,Bは乙から29万円の報酬を受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆ABの報酬の合計額を超えている 14万5千円+29万円=43万5千円 AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円を超えているので,宅建業法に違反します。 註 代理では一方から受けられる報酬の限度額は媒介の場合の16万8千円の2倍以内なので,Bは乙から報酬として29万円を受け取ることはできますが,この場合,AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円を超えてはいけないので,Aは,甲から4万6千円しか報酬がもらえないことになります。 |
2.「Aが代理でBが媒介の場合,Aは甲から20万円,Bは乙から14万円の報酬を受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆ABの報酬の合計額とも限度額を超えている 20万円+14万円=34万円 AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円を超えているので,宅建業法に違反します。 註 代理では一方から受けられる報酬の限度額は媒介の場合の16万8千円の2倍以内なので,Aは甲から報酬として20万円を受け取ることはできますが,この場合,AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円を超えてはいけないので,Bは,甲から13万6千円以内で報酬をもらうことになります。 |
3.「AとBがともに媒介の場合,Aは甲から15万5千円,Bは乙から16万8千円の報酬を受領した。」 |
【正解:違反しない】 ◆一方から受けられる報酬,ABの報酬の合計額とも限度額以内 15万5千円+16万8千円=32万3千円 AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円以内,A,Bの報酬額は,依頼者の一方から受けられる報酬の最高限度額16万8千円以内なので,宅建業法に違反しません。 |
4.「AとBがともに媒介の場合,Aは甲から15万円,Bは乙から17万円の報酬を受領した。」 |
【正解:違反する】 ◆一方から受けられる報酬の限度額を超えている 15万円+17万円=32万円 AとBが甲・乙から受ける報酬の合計額は33万6千円以内になっていますが,Bの報酬額は,依頼者の一方から受けられる報酬の最高限度額16万8千円を超えているので,宅建業法に違反します。 |
●速算法 | |
200万円以下 | 代金の5% |
200万円超〜400万円以下 | 代金の4%+2万円 |
400万円超 | 代金の3%+6万円 |