宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 昭和62年・問36
主任者証の返納・登録の移転・主任者証の提示・
宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和62年・問36) |
1.「取引主任者が,現在勤務している宅地建物取引業を営む会社を退職したときは,速やかに取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。」 |
2.「取引主任者がその住所を他の都道府県に移転したときは,取引主任者資格登録の移転を申請しなければならない。」 |
3.「取引主任者は,宅地建物取引業法第35条第1項若しくは第2項に定める重要事項の説明をするときは,説明の相手方に対し,その請求の有無にかかわらず取引主任者証を提示しなければならない。」 |
4.「取引主任者は,その取引主任者証が効力を失ったときは,当該取引主任者証を速やかに廃棄しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「取引主任者が,現在勤務している宅地建物取引業を営む会社を退職したときは,速やかに取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない」 |
【正解:×】 ◆1) 主任者証の返納,2) 退職 ⇒ 遅滞なく,変更の登録 勤務している会社を退職することで,取引主任者証の返納をする必要はありません。 取引主任者証は,登録が消除されたとき,又は取引主任者証が効力を失ったときに,速やかに,交付を受けた都道府県知事に返納しなければいけないことになっています(宅建業法・22条の2・第6項)。 勤務している会社を退職したときは,主任者証の返納ではなく,遅滞なく変更の登録をしなければいけません(宅建業法・20条,18条2項,施行規則14条の2・5号)。 ⇒ 勤務している会社を退職することは,登録事項に変更が生じたことになるからです。
|
2.「取引主任者がその住所を他の都道府県に移転したときは,取引主任者資格登録の移転を申請しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆1) 登録の移転は住所変更では任意,2) 住所の変更 ⇒ 遅滞なく,変更の登録 登録の移転は登録地以外の都道府県に所在する宅建業者に従事するか,従事しようとするときはすることができます(宅建業法・19条の2)が<義務ではなく任意>,住所の移転では登録の移転をすることはできないので,誤りです。 ▼登録の移転は,事務禁止処分の満了前には,することができない(宅建業法・19条の2・但書)ことにも注意。 ▼住所を登録地以外の他の都道府県に移転したときは,登録事項に変更があったわけですから,遅滞なく,変更の登録をしなければいけません(宅建業法・20条,18条2項)。
|
3.「取引主任者は,宅地建物取引業法第35条第1項若しくは第2項に定める重要事項の説明をするときは,説明の相手方に対し,その請求の有無にかかわらず取引主任者証を提示しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆取引主任者証の提示 取引主任者は,35条の重要事項の説明をするときには,相手方等から請求がなくても,取引主任者証を提示しなければなりません(宅建業法・35条・4項)。 これに違反すると,10万円以下の過料に処せられます(宅建業法・86条)。<取引主任者が35条書面に記名押印しなかったことについての罰則は特に定められていません。>
|
4.「取引主任者は,その取引主任者証が効力を失ったときは,当該取引主任者証を速やかに廃棄しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆主任者証の失効 ⇒ すみやかに知事に返納する 取引主任者は,登録が消除されたときや主任者証が失効したときは,交付を受けた都道府県知事に,すみやかに返納しなければなりません。(宅建業法・22条の2第6項) 本肢は,<速やかに廃棄>としているので,誤りです。
▼取引主任者が10万円以下の過料になるのは,<取引主任者の登録が消除・主任者証が失効したときに返納する>,<事務禁止処分を受けたときの主任者証の提出>,<重要事項の説明の際の主任者証の提示>,の三つに違反したときです。 ▼亡失して再交付を受けて,亡失した主任者証が見つかったときも,すみやかに返納しなければなりません。(宅建業法施行規則・第14条の15第4項) |
宅建業法の過去問アーカイブスに戻る 『宅建業者』の過去問アーカイブスに戻る