税法その他 実戦篇
不動産鑑定評価基準の過去問アーカイブス 平成5年・問33 価格形成要因
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成5年・問33) |
1.「不動産の価格を形成する要因(以下この問において「価格形成要因」という)とは,不動産の効用及び相対的希少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいい,不動産の鑑定評価を行うに当たっては,明確に把握し,十分に分析することが必要である。」 |
2.「価格形成要因のうち一般的要因とは,一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい,自然的要因,人為的要因及び経済的要因に大別される。」 |
3.「価格形成要因のうち地域要因とは,一般的要因の相関結合によって規模,構成の内容,機能等にわたる各地域の特性を形成し,その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。」 |
4.「価格形成要因のうち個別的要因とは,不動産に個別性を生じさせ,その価格を個別的に形成する要因をいい,土地,建物等の区分に応じて分析する必要がある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「不動産の価格を形成する要因(以下この問において「価格形成要因」という)とは,不動産の効用及び相対的希少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいい,不動産の鑑定評価を行うに当たっては,明確に把握し,十分に分析することが必要である。」 |
【正解:○】 ◆価格形成要因 不動産の価格とは,一般に, (1)その不動産の効用 の三者の相関結合によって生じる不動産の経済価値を,貨幣額をもって表示したものです。(総論・第1章・第1節 不動産とその価格) 不動産の価格を形成する要因(価格形成要因)は,不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいいます。価格形成要因は,一般的要因,地域要因及び個別的要因に分けられます。(総論・第3章 不動産の価格を形成する要因) ▼不動産の価格は,多数の要因の相互作用の結果として形成されるものですが,要因それ自体も常に変動する傾向を持っています。 |
2.「価格形成要因のうち一般的要因とは,一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい,自然的要因,人為的要因及び経済的要因に大別される。」 |
【正解:×】 ◆一般的要因 一般的要因とは,一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因をいい,自然的要因,社会的要因,経済的要因及び行政的要因に大別されます。(総論・第3章 不動産の価格を形成する要因・第1節 一般的要因) 前半は正しいのですが,後半は「人為的要因」ではなく「社会的要因」なので誤りです。 |
●一般的要因 −覚える必要はありません− |
(1) 自然的要因 1.地質、地盤等の状態 2.土壌及び土層の状態 3.地勢の状態 4.地理的位置関係 5.気象の状態 (2) 社会的要因 (3) 経済的要因 (4) 行政的要因 |
3.「価格形成要因のうち地域要因とは,一般的要因の相関結合によって規模,構成の内容,機能等にわたる各地域の特性を形成し,その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう。」 |
【正解:○】 ◆地域要因 地域要因とは,一般的要因の相関結合によって規模,構成の内容,機能等にわたる各地域の特性を形成し,その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいいます。 (総論・第3章 不動産の価格を形成する要因・第2節 地域要因) 当然ですが,宅地地域〔住宅地域・商業地域・工業地域〕,農地地域,林地地域,転換もしくは移行しつつある地域のどこにあるのかによって地域要因は異なります。 |
4.「価格形成要因のうち個別的要因とは,不動産に個別性を生じさせ,その価格を個別的に形成する要因をいい,土地,建物等の区分に応じて分析する必要がある。」 |
【正解:○】 ◆個別的要因 個別的要因とは,不動産に個別性を生じさせ,その価格を個別的に形成する要因をいう。個別的要因は,「土地」(宅地〔住宅地・商業地・工業地〕,農業,林地),「建物」,「建物及びその敷地」の区分に応じて分けられます。(総論・第3章 不動産の価格を形成する要因・第3節 個別的要因) |