税法その他 実戦篇
建物の過去問アーカイブス 平成18年・問49 建築物の構造
木造の建築物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成18年・問49) |
1 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。 |
2 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。 |
3 2階建ての木造建築物の土台は、例外なく、基礎に緊結しなければならない。 |
4 はり、けたその他の横架材の中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをする場合は、その部分を補強しなければならない。 |
<コメント> |
建物の問題では,例年<建築基準法施行令によれば>という条件設定はありません。しかし,事実上は施行令が中心になって出題されてきました。
これまでは,建築基準法・施行令での適用除外については考慮されてきませんでした。適用除外を考慮すると,正誤の判定が微妙なものも過去問では出題されてきたからです。 しかし,平成18年では3・4の重複正解の措置がとられたことからすると,肢3については建築基準法及び施行令全般から適用除外を考慮して正誤を判断し,肢3以外は各肢に関連する施行令の各条文のみで適用除外は考慮せずに正誤が判断されたようです。 ⇒ 参照条文 |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | × |
正答率 | 4を選択 14.6%, 3を選択 66.8% 単純に合計すると 正答率は81.4% |
1 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。 |
【正解:○】 ◆外壁内部等の防腐措置 建築基準法施行令49条1項では,<木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。>としています。 |
●参考・構造部材の耐久 |
(構造部材の耐久) 第三十七条 構造耐力上主要な部分で特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのあるものには、腐食、腐朽若しくは摩損しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をした材料を使用しなければならない。 |
2 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。 |
【正解:○】 ◆木材の品質 建築基準法施行令41条では,<構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。>としています。 |
3 2階建ての木造建築物の土台は、例外なく、基礎に緊結しなければならない。 |
【正解:×】 ◆基礎の緊結 建築基準法施行令42条2項では,<土台は、基礎に緊結しなければならない。ただし、前項ただし書の規定によつて指定した区域外における平家建ての建築物で延べ面積が50平方メートル以内のものについては、この限りでない。>としています。 この42条2項のみで考えると,但書の要件にも該当しないため (肢3の設定は"2階建"なので平屋ではない),例外はないことになり,本肢は○になるはずですが, 例外となる範囲を 施行令36条2項の適用除外,施行令40条の適用除外,施行令42条1項の適用除外 (土台を設けなくてもよい場合) などに拡げれば(適用除外=例外とすれば),"例外"はありえることになります。⇒ 参照条文 本肢では「例外なく」としていたために,誤りになったと考えられます。 ▼肢3のみ,なぜ施行令36条,40条が考慮されたかといえば,問題文中の「例外」という文言にあると考えられます(他の肢には「例外」という文言はない。)。「例外」は,肢3の場合,法律用語ではないため,それだけ解釈の範囲が広かったということができるでしょう。 施行令36条2項(第3章構造強度・総則)・・・一定の建築物には適用しない 施行令40条(第3章構造強度・木造)・・・施行令41条から49条は,「茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物」には適用しない。 ⇒ つまり,施行令だけで考えると,肢3以外の肢も,適用除外になる場合があります。 |
●参考・土台及び基礎・42条1項 |
(土台及び基礎) 第四十二条 構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。ただし、当該柱を基礎に緊結した場合又は平家建ての建築物で足固めを使用した場合(地盤が軟弱な区域として特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内においては、当該柱を基礎に緊結した場合に限る。)においては、この限りでない。 |
4 はり、けたその他の横架材の中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをする場合は、その部分を補強しなければならない。 |
【正解:×】 ◆耐力上支障のある欠込みの禁止−横架材の中央部附近の下側 建築基準法施行令44条1項では,<はり、けたその他の横架材には、その中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない。>としています。 つまり,欠込み自体が禁止されているので,補強云々は論外ということになります。 |