宅建過去問 税法その他 

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス

平成20年・問47 


宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法 (不動産の表示に関する公正競争規約の規定を含む。) によれば、正しいものはどれか。 (平成20年・問47)

1 最寄りの駅から特定の勤務地までの電車による通勤時間を表示する場合は、通勤時に電車に乗車している時間の合計を表示し、乗換えを要することや乗換えに要する時間を含んでいないことを表示する必要はない。

2 新聞広告や新聞折込チラシにおいては、物件の面積や価格といった、物件の内容等を消費 者に知ってもらうための事項を表示するのに併せて、媒介、売主等の取引態様も表示しなければならない。

3 インターネット広告においては、最初に掲載する時点で空室の物件であれば、その後、成約済みになったとしても、情報を更新することなく空室の物件として掲載し続けてもよい。

4 販売しようとしている売地が、都市計画法に基づく告示が行われた都市計画道路の区域に含まれている場合、都市計画道路の工事が未着手であれば、都市計画道路の区域に含まれている旨の表示は省略できる。

<コメント>  
   

【正解】2

× × ×

 正答率  93.0%

1 最寄りの駅から特定の勤務地までの電車による通勤時間を表示する場合は、通勤時に電車に乗車している時間の合計を表示し、乗換えを要することや乗換えに要する時間を含んでいないことを表示する必要はない。

【正解:×

◆表示基準 (物件の内容) −交通の利便性,交通機関の所要時間

 電車による通勤時間を表示する場合は,

・通勤時に電車に乗車している時間の合計を表示

・乗換えを要するときは,その旨

 を表示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則11条6号イ,エ,オ)

 電車,バス等の交通機関の所要時間は,次の基準により表示すること。

ア 起点及び着点とする駅等又はバスの停留所の名称を明示すること。 この場合において,最寄りの駅等からバスを利用する場合であって,物件の最寄りの停留所までのバスの所要時間を表示するときは,停留所の名称を省略することができる。

イ 乗換えを要するときは,その旨を明示すること。

ウ 特急、急行等の種別を明示すること。

エ 通勤時の所要時間が平常時の所要時間を著しく超えるときは,通勤時の所要時間を明示すること。この場合において,平常時の所要時間をその旨を明示して併記することができる。

オ 通勤時に利用することができない電車,バス等の交通機関による所要時間を表示するときは,その旨を明示し,かつ,通勤時に利用することができる電車,バス等の交通機関による所要時間を併記すること。

(不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則11条6号)

 

●交通の利便性についての不当表示●

以下のものは,不当表示として禁止されています(不動産の表示に関する公正競争規約23条1項3号,4号)

・電車,バス等の交通機関を利用する場合の利便性について,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

・電車,バス等の交通機関又は自動車若しくは自転車による場合の所要時間について,実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示

徒歩による場合の所要時間について,実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示

2 新聞広告や新聞折込チラシにおいては、物件の面積や価格といった、物件の内容等を消費 者に知ってもらうための事項を表示するのに併せて、媒介、売主等の取引態様も表示しなければならない。

【正解:

◆表示基準 (取引条件等)  −取引態様の別の明示

 その物件についての必要な表示事項として, 媒介,売主等の取引態様の別も表示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約8条1号,同15条1号)

 取引態様は,「売主」,「貸主」,「代理」または「媒介(仲介)」の別を,これらの用語を用いて表示することになっています。(不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則11条1号)

宅建業法34条でも,広告をするときは,取引態様の別を明示しなければならないので,肢2が正しい肢であることに迷った人は少なかったと思われます。

3 インターネット広告においては、最初に掲載する時点で空室の物件であれば、その後、成約済みになったとしても、情報を更新することなく空室の物件として掲載し続けてもよい。

【正解:×平成13年・問47・肢3

◆おとり広告の禁止,表示内容の変更

 事業者は,継続して物件に関する広告その他の表示をする場合,当該広告その他の表示の内容に変更があったときは,速やかに修正し,またはその表示を取りやめなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約24条1号)

 すでに成約しているのに空室と表示することは,禁止されているおとり広告に該当します〔本肢の場合は,物件は存在するが,実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示〕(不動産の表示に関する公正競争規約21条2号)

表示規約での「表示」とは,顧客を誘引するための手段として事業者が不動産の内容または取引条件その他取引(事業者自らが貸借の当事者となって行う取引を含む。)に関する事項について行う広告その他の表示(「広告表示」)であり,情報処理の用に供する機器による広告表示についても適用され,インターネット,パソコン通信等によるものも含みます(不動産の表示に関する公正競争規約4条5項5号)

●不動産の表示に関する公正競争規約
(表示の修正・取りやめ及び取引の変更等の公示)

第24条 事業者は、継続して物件に関する広告その他の表示をする場合において、当該広告その他の表示の内容に変更があったときは、速やかに修正し、又はその表示を取りやめなければならない。

2 事業者は、物件に関する広告その他の表示を行った後、やむを得ない事情により当該表示に係る物件の取引を変更し、延期し又は中止したときは、速やかにその旨を公示しなければならない。

4 販売しようとしている売地が、都市計画法に基づく告示が行われた都市計画道路の区域に含まれている場合、都市計画道路の工事が未着手であれば、都市計画道路の区域に含まれている旨の表示は省略できる。

【正解:×

◆特定事項の明示義務−都市計画道路の区域

 事業者は,一般消費者が通常予期することができない物件の地勢,形質,立地,環境等に関する事項」や「取引の相手方に著しく不利な取引条件」は,分かりやすい表現で明りょうに表示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約13条)

 道路区域が決定された区域(道路法第18条第1項)内の土地や都市計画決定の告示(都市計画法第20条第1項)があった都市計画道路等の区域に係る土地については,その旨を明示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約・施行規則9条13号)

 道路が予定されている土地の区域内では建築制限〔許可などが必要〕があり,買主にとっては著しく不利な取引になります。

 本肢は省略できるとしているので誤りです。

●不動産の表示に関する公正競争規約
(特定事項の明示義務)

第13条 事業者は,一般消費者が通常予期することができない物件の地勢,形質,立地,環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって,施行規則で定める事項については,それぞれその定めるところにより、見やすい場所に,見やすい大きさ,見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない。


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