税法その他 実戦篇

不動産鑑定評価基準の過去問アーカイブス 昭和54年 原価法−再調達原価


不動産の価格を求める鑑定評価の方式の一つに原価法があるが,原価法を適用することができる場合の例示として明らかに誤っているものはどれか。(昭和54年)

1.「建物の価格を求める場合」

2.「建物とその敷地の価格を求める場合」

3.「造成地の土地の価格を求める場合」

4.「既成市街地の土地の価格を求める場合」

【正解】

・・・適用できるもの
×・・・適用できないもの

×

  必要な事例 試算価格の名称  概要
 原価法 建設事例  積算価格   価格時点での再調達原価を求め,
 この
再調達原価に減価修正を行って求める。
 取引事例比較法 取引事例  比準価格  取引事例を収集して適切な事例を選択し,
 取引価格に必要に応じて
事情補正・時点修正
 を行い,かつ,
 
地域要因の比較や個別的要因の比較を行って
 求められた価格を比較考量することによって
 求める。
 収益還元法 収益事例  収益価格  将来生み出すと期待される純収益の総和
 求める。

【正解:

◆再調達原価

 原価法とは,価格時点における対象不動産の再調達原価を求め,この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格〔この手法による試算価格を積算価格という。〕を求める手法です。

 原価法は,再調達価格を求めることができる,「建物」や「造成地や埋立地」,「建物とその敷地」には有効ですが,既成市街地の土地は再調達原価が適正に把握できるとはいえないので,原価法を適用することができる場合の例示としては明らかにマズイでしょう。

原価法は,対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり,対象不動産が土地のみである場合においても再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる

●再調達原価の求め方

 建物の再調達原価は建設請負により請負者が発注者に対して使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定して求め〔標準的な建設費に,発注者が負担する通常の付帯費用を加算〕,建設資材や工法等の変遷により再調達原価を求めることが困難なときは,対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価〔置換原価〕を再調達原価とみなします。

 土地の再調達原価は,土地の標準的な取得原価に標準的な造成費用と発注者が直接負担する通常の付帯費用を加算して求めます。

 建物及びその敷地の再調達原価は,まず,土地の再調達原価又は借地権の価格を求め,この価格に建物の再調達原価を加算して求めます。


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