税法その他 実戦篇
不動産鑑定評価基準の過去問アーカイブス 昭和56年・問35 正常価格
不動産の鑑定評価によって求める『正常価格』に関する記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和56年・問35) |
1.「『正常価格』とは,市場性を有する不動産について,社会経済の実勢に即応して,売手と買手の双方の合意に基づく個々の不動産取引において形成されるであろう価格をいう。」 |
2.「『正常価格』とは,市場性を有する不動産について,売手と買手の双方が市場の事情に十分に通じ,かつ,投機的または思惑的な要素などの特別の動機を持った多数の売手と買手が存在する場合に成立するであろう取引価格をいう。」 |
3.「『正常価格』とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。」改 |
4.「『正常価格』とは,売手市場の場合には売手の主観に,買手市場の場合には買手の主観に基づいて,市場価値が表示される取引価格をいう。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
不動産の鑑定評価によって求める価格は,基本的には正常価格であるが,鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格,特定価格又は特殊価格を求める場合があるので,依頼目的及び条件に即して価格の種類を適切に判断し,明確にすべきである。なお,評価目的に応じ,特定価格として求めなければならない場合があることに留意しなければならない。(総論・第5章・鑑定評価の基本的事項 第3節 I価格) |
【正解:3】 ◆正常価格 『正常価格』とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいいます。〔原題では,市場性を有する不動産について,合理的な自由市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格。〕 1.「売手と買手の双方の合意に基づく」という点が×。 2.「投機的または思惑的な要素などの特別の動機を持った多数の売手と買手が存在する場合に成立する」という点が×。 4.「売手市場の場合には売手の主観に,買手市場の場合には買手の主観に基づいて」という点が×。 |
正常価格 | 市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。 |
限定価格 | 市場性を有する不動産について,不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより,市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
ex.借地権者が底地の併合を目的に買う,隣接不動産との併合を目的に買うなど。 |
特定価格 | 市場性を有する不動産について,法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさない場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。 |
特殊価格 | 文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について,その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。 |