宅建試験
法改正情報 レポートNo.03 |
民法改正 −短期賃貸借に関する経過措置 |
●平成16年4月1日施行 ⇒ 民法改正の概容 ⇒ 抵当権者の同意の登記
●短期賃貸借の経過措置と新制度 |
「担保物権及び民事執行法の改善のための民法等の一部を改正する法律」に基づく民法の改正については附則で経過措置がとられています。 第2条 雇用関係の先取特権に関する経過措置 この経過措置の中で最も重要と思われるのが『短期賃貸借』です。今回は,この経過措置が改正後の規定とどのように関連していくかを見ていきます。 ◇附則・第5条 (短期賃貸借に関する経過措置) この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借〔この法律の施行後に更新されたものを含む。〕のうち民法第602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については,なお従前の例による。 ⇒ 改正法施行前に要件を満たした短期賃貸借は,抵当権者や競落人に対抗できる。 抵当権設定 短期賃貸借の要件成立 改正法施行(平成16.4.1) 簡単にまとめれば「ア,そうか」で終わってしまいそうですが,具体的には,イメージできるでしょうか。一括競売への経過措置の影響については,前回見ていただきましたので,今回は,改正後の「賃借権の同意の登記による対抗力の付与」,「明渡し猶予」などへの経過措置への影響を見ていきましょう。 ■賃借権の同意の登記による対抗力の付与 今回の改正で導入された「賃借権の同意の登記による対抗力の付与」制度では, ・賃借権の登記 〔建物・土地の登記簿の乙区〕 この2つの要件を満たさなければいけませんが,どのような賃貸借がこの要件を満たすのか具体的に考えてみるのも必要です。 ◇適用できる不動産のイメージ ・土地 こう並べて見て考えてみると,いわゆるアパートの一室や賃貸のテナントの一区画を借りる場合は,そもそも登記そのものができないために対象外だということがわかります。 ◇賃借権の登記に賃貸人が応じるか? ◇抵当権者全員の同意の登記 ◇まとめ ■短期賃貸借の要件 ▼旧395条の短期賃貸借の期間は,以下の通りです。 山林の賃貸借(樹木の栽植・伐採を目的)…10年以内 ▼対抗要件 抵当権設定 短期賃貸借の要件成立 改正法施行(平成16.4.1) 短期賃貸借の対抗要件 → 原則は賃借権の登記 土地=○賃借権の登記,建物に表示の登記 or 所有権保存登記,移転登記 建物=賃借権の登記or引渡し 実際に短期賃貸借されているものを見ると,賃借権の登記をしているケースは少なく,判例では,賃貸借の登記に代わるものとして,借地借家法の規定,「借家であれば引渡し,借地であれば建物の登記」を対抗要件としています。(大審院・昭和12.7.10) 新制度の「賃借権の同意の登記による対抗力の付与」に比べて,かなり敷居が低いことがわかります。 (例えば,短期賃貸借の借家では「引渡し」でも対抗要件になるのに対して,新制度では「賃借権の登記」が絶対的に必要になっています。) ■改正施行後のイメージング 新制度の説明は,短期賃貸借の経過措置の説明がないと,ジグソーパズルに譬えれば,ピースが幾つか欠けたものになります。 ●賃借人が 抵当権者・競落人に対抗できるのは, ・「抵当権設定前からの賃借人」(ただし,対抗要件を備えているもの) ・「改正施行前に対抗要件を備えた,抵当権設定後の短期賃貸借」(附則5条) ・「改正施行後 ; 抵当権者全員の同意の登記による対抗力を得た賃貸借」(387条) ●抵当権設定後に建物の賃借人になった者の分類 抵当権設定 賃貸借 競売手続開始 ○抵当権者・競売の買受人に対抗できる場合 ・賃借権の登記+抵当権者の同意の登記がある (387条) ・改正施行時に現に存する旧395条の短期賃貸借(附則5条) ○明渡しの猶予(395条) ・競売手続の開始前からその建物の使用または収益をしている者 ・強制管理または不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により ○明渡しの猶予がない場合 ・抵当権設定後に建物の賃借人になり上記外の場合 ●抵当権設定後に土地の賃借人になった者の分類 ○抵当権者・競売の買受人に対抗できる場合 ・賃借権の登記+抵当権者の同意の登記がある(387条) ・改正施行時に現に存する旧395条の短期賃貸借(附則5条) ○明渡しの猶予がない場合 ・抵当権設定後土地の賃借人になり上記外の場合 |
⇒ 民法改正の概容 ⇒ 抵当権者の同意の登記
参考 http://www.iwate-takken.or.jp/topics.htm
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