試験対策
分析 |
マンション管理士試験―宅建との違い |
マンション管理士の試験は、現在は平成13年に行われたものしかなく、2年先にまた見直すということも囁かれており、事態はまだ流動的と思われます。そのため、これはあくまでも、平成13年の試験についての分析にとどまるものであり、平成14年も同じかどうかということは即断できないことをお断りしておきます。
マンション管理士、管理業務主任者の試験は、1回しか出題実績がなく、出題方法も固定しているとはいえません。 このページでは、宅建試験と共通する分野での出題がどう違うかという点でまとめてあります。出題の全体構成については、こちらをご覧ください。 |
■総合判断―宅建とは一部ダブっていても、出題のしかたは、異なります。したがって、
宅建の学習は、民法や法令に慣れている意味でやや有利という程度。
区分所有法などの判例研究の必要があり、宅建との温度差はかなりあると
思われます。→ 平成13年本試験問題
●民法
民法は、単独問題が3問、複合問題が2問。(区分所有法・宅建業法)
不動産登記法は、単独問題が1問、複合問題が1問。(マンションに絡むもの)
(管理業務主任者では、民法は、単独問題が5問、複合問題が4問、不登法はゼロ。)
問1 区分所有法・民法・判例 → 専有部分の定義。民法というよりも判例
判例・最高裁昭和56.6.18―専有部分に共用部分に属する設備があっても
専有部分の妨げにならず、専有部分に共用部分が
あってもよい。
問14 民法・判例―賃貸借
判例:新賃貸人に、敷金は未払い賃料債務などを除いた残額が承継される。
(最高裁・昭和44.7.17)
問15 民法・判例―抵当権
判例:「債務者が弁済しない場合は所有権を直ちに抵当権者に移転させる」
旨の特約をすることができる。(大審院・明治41.3.20)
問16 民法―瑕疵担保責任
(問19 住宅品質確保法…民法との比較)
問21 宅建業法・民法・判例―瑕疵担保責任(自ら売主の宅建業者)、
重要事項説明を怠り、損害を与えると債務不履行
損害賠償責任
判例: 汚水排水管のように、特定の専有部分からの点検や修理ができない
「専有部分に属しない建物の附属物」であり、かつ「区分所有者全員
の共用部分」にあたると解するのが相当な場合は、区分所有者全員が
賠償義務を負う。(最高裁・平成12.3.21) ← 新しい判例だった。
【分析】
宅建との比較で言えば、賃貸借、抵当権、瑕疵担保責任などが共通する。宅建
での知識よりもやや内容面で深く、判例も区分所有法に絡むものが多い。
不法行為責任、委任など今後、出題が予想されている分野もあり、注意が必要。
●法令上の制限
建築基準法2問 マンションの改修・大規模修繕
都市計画法1問 用語の定義
宅建の基本書にも掲載しているものは、都市計画法の問題問27のみ。
都市計画法はマンションに関係する地域地区が出題されていました。
建築基準法の問題問25,26は宅建の出題分野とは異なります。
マンションの改修での建築確認、大規模修繕での既存建築物への制限の緩和など
宅建試験とは趣が異なります。
管理業務主任者試験で出題された、定期検査や定期調査についても調べておく
必要があり、マンション管理に関連する条文を一度チェックしておく必要があります。
宅建試験では、重要事項説明に関連するものが多いのに対して、マンション管理士
試験では、マンションの管理、維持、保全に関連するモノが主体になっています。
建替えに関するものも見ておく必要があるでしょう。
◆建築基準法
〔問25〕 マンション(延べ床面積2,000平方メートル)の改修工事に関する次の
記述のうち、建築基準法に基づく確認申請を要しないものはどれか。なお、建築
基準法以外の法律に基づく認定等は受けないものとする。
1 屋内階段の全面模様替え
2 すべての柱に鉄板を巻き付ける耐震補強
3 最下限のすべての床の模様替え
4 屋根の全面模様替え
〔問26〕 マンションの大規模の修繕を行う場合に、建築基準法第86条の7の規定
に基づき、既存の建築物に対する制限が緩和されるものは、次のうちどれか。
1 建ぺい率
2 容積率に関する規制
3 日影による中高層の建築物の高さに関する規制
4 低層住居専用地域内における建築物の絶対的高さに関する規制
◆都市計画法
〔問27〕 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 高度利用地区は、市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市
機能の更新を図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の
建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度などを定める地区である。
2 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の
高い高層住宅の建設を誘導するため、建築物の容積率の最高限度、建築物の
建ぺい率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区である。
3 特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる
地区について、その街区内における建築物の容積率、建築物の高さの最高限度
などを定める街区である。
4 高度地区は、市街地の環境を維持し、又は土地の利用の増進を図るため、
建築物の高さの最高限度又は最低限度、建築物の容積率の最高限度又は
最低限度などを定める地区である。
正解 問25→3、問26→2、問27→4
●参考 |
宅建の試験問題では,単に高さが31メートルを超える場合には非常用昇降機が必要であることをたずねる程度ですが,マンション管理関係では以下に見るように少しニュアンスが異なっているものがあります。 |
1.「高さ31メートルを超える部分を階段室及び建築設備の機械室のみに供している場合には,非常用の昇降機を設けなくてもよい。」(マンション管理士・平成14年・問20) |
【正解 : ○】施行令129条の13の2第1号そのままの出題。 |
2.「高さ31メートルを超える部分の階数が5で,その部分の床面積の合計が800平方メートルのマンションの場合,非常用エレベーターを設けなければならない。」(管理業務主任者・平成16年・問25) |
【正解 : ○】高さが3mを超えて階の床面積の合計がた50め?1mを超えていても非常用エレベーターを設けなくてもよいのですが,高さが31mを超える階の床面積の合計が500平方メートルトルを超えているので非常用エレベーターが必要になりま(す。施行令129条の13の2第号よ)
▼階数を5としているのは,施行令129条の13の2第3号が適用されることはないということを暗示させているため。 |
●昇降機 -建築基準法- |
第34条 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。 2 高さ31メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。 |
●非常用の昇降機の設置を要しない建築物 −建築基準法施行令 |
(非常用の昇降機の設置を要しない建築物) 第129条の13の2 法第34条第2項 の規定により政令で定める建築物は、次の各号のいずれかに該当するものとする。 一 高さ31メートルをこえる部分を階段室、昇降機その他の建築設備の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する用途に供する建築物 二 高さ31メートルをこえる部分の各階の床面積の合計が500平方メートル以下の建築物 三 高さ31メートルを超える部分の階数が4以下の主要構造部を耐火構造とした建築物で、当該部分が床面積の合計100平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備でその構造が第112条第14項第1号イ及びハに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの(廊下に面する窓で開口面積が1平方メートル以内のものに設けられる法第2条第9号の二 ロに規定する防火設備を含む。)で区画されているもの 四 高さ31メートルをこえる部分を機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの |