Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記の過去問アーカイブス 区分建物の登記 平成13年・問14 改正対応
1棟の建物を区分した建物(以下この問において「区分建物」という。)についての登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成13年・問14) |
1.「表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は,当該区分建物の表題登記を申請する義務はない。」 |
2.「区分建物の床面積は,壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」 |
3.「区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該区分建物の登記記録の表題部にされる。」 |
4.「区分建物について敷地権の表示が登記されたときは,敷地権の目的たる土地の登記記録の表題部に敷地権である旨の登記がされる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は,当該区分建物の表示の登記を申請する義務はない。」(New Face!) (関連・昭和62年問15,平成8年問16) |
【正解:○】 ◆表題登記は,原始取得者の義務 『表題登記がされていない区分建物』を建築者から購入したということは,購入する前に,すでに区分建物であったことを意味します。 区分建物の表題登記は,原始取得者〔その区分建物を建築・分譲した者〕が申請しなければいけません(不動産登記法48条1項)。 したがって,本肢での,区分建物を購入した者には表題登記の申請義務はありません。 ●対比● 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない(不動産登記法74条2項)。 |
●建物の表題登記 |
(建物の表題登記の申請) 第47条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。 2 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。 (区分建物についての建物の表題登記の申請方法) 2 前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。 |
2.「区分建物の床面積は,壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」(類題・昭和60年問16) |
【正解:○】 ◆区分建物の床面積=内側線で囲まれた部分の水平投影面積 不動産登記法上では、1棟の建物を区分した建物(区分建物)の床面積は、壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出されます。(不動産登記規則・115条) ▼区分所有法14条1項は、共用部分の持分割合を専有部分の床面積によると定め、3項ではその専有部分の床面積を「壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」により算出すると定めたものです。 |
3.「区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該区分建物の登記記録の表題部にされる。」(類・昭和62年・問15) |
【正解:○】 ◆規約共用部分の登記=当該区分建物の表題部 規約共用部分は、区分建物(専有部分)及び附属の建物で区分所有権(又は所有権)の目的となり得るもの(区分建物は区分所有権の対象、附属の建物は所有権の対象)であり、これを区分所有者の規約の設定により共用とされた部分をいいます。 「規約による共用部分の登記」は、区分所有者全員が知っておくべき事項なので、規約共用部分である旨の登記の申請があると、当該区分建物の登記記録の“区分建物の表題部”にされます(不動産登記法第44条第1項6号)。「(規約)共用部分たる旨の登記」がなされると、区分建物としての表題部は残されますが、所有権の登記がない建物では表題部所有者に関する登記事項を抹消する記号を記録し、所有権の登記がある建物では権利に関する登記の抹消をしなければなりません(不動産登記法58条4項,登記規則第141条)。
▼規約共用部分の例
トランク・ルームは、規約共用部分として、専用使用権が設定されている場合が ▼共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができないことに注意してください(不動産登記法58条2項)。 ▼規約共用部分は、独立して取引の対象になりうるものであるため、共用部分である旨の登記をしておかないと第三者に対抗することができません。これは、取引の安全のために、区分所有法第4条2項の後段で規定されています。ただ、この登記は強制されているわけではなく、申請期間も特に定められているわけではありません。 ▼規約の廃止などにより、規約共用部分を専有部分に復する場合も、その旨を登記することにより、第三者に対抗できます。(不動産登記法58条6項) |
●共用部分である旨の登記 |
(共用部分である旨の登記等) 第58条 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、第27条各号(第3号を除く。)及び第44条第1項各号(第6号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。 一 共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨 二 団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物又は当該建物が区分建物であるときは、当該建物が属する一棟の建物 2 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。 3 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者の承諾を得たときに限る。)でなければ、申請することができない。 4 登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。 5 第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない。 6 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。 7 前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。 |
4.「区分建物について敷地権の表示が登記されたときは,敷地権の目的たる土地の登記記録の表題部に敷地権である旨の登記がされる。」(類・昭和62年・問15,平成8年問16) (関連・平成元年・問16,昭和61年・問16) |
【正解:×】本肢は単独問題では毎回出題されている定番の問題です。 ◆敷地権である旨の登記→土地の登記記録の相当区 登記官は、敷地権である旨の登記をするときは、土地の登記記録の、表題部ではなく、相当区、つまり、 ・その敷地利用権が所有権に基づく→権利部の「甲区」 ・地上権又は賃借権の場合→権利部の「乙区」 に職権で記録しなければなりません(不動産登記法46条,登記規則4条4項,同119項)。 |
●敷地権たる旨の登記まで |
分譲業者などがマンションを新築 ↓ 表題登記 ↓ 敷地権の表示 (・1棟の建物の表題部に、「敷地権の目的たる土地の表示」の登記がなされる。 ・区分建物の表題部に、「敷地権の表示」の登記がなされる。) ↓ 敷地権たる旨の登記 (敷地権の表示の登記がなされると、登記官が、敷地権の目的である土地の登記記録の相当区に職権で、登記する。) |
▼区分建物の登記の過去問(単独問題) |