Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記 表題登記 表題登記の申請・表題部所有者の更正の登記 改正対応


建物の登記記録の表題部に関する次の記述は,○か,×か。

1.「建物を新築したとき,所有者は,原則として1年以内に建物の表題登記を申請しなければならない。」

2.「二つの登記所の管轄区域にまたがって建っている建物の表題登記の申請は双方の登記所にそれぞれ申請しなければならない。」

3.「建物の新築による建物の表題登記は,管轄を誤って登記されたものであっても,登記が完了すれば,職権によって抹消されることはない。」

4.「建物の表題部所有者の更正の登記は申請書にその者の承諾書を添付して書面により自己の所有権を証する者から申請することができる。」

5.「建物の表題部所有者が死亡した場合,相続人は,相続を証する書面を添付して,所有者の氏名等の変更の登記を申請することができる。」

【正解】

× × × ×

1.「建物を新築したとき,所有者は,原則として1年以内に建物の表題登記を申請しなければならない。」(昭和62年・問16)類・頻出

【正解:×

◆建物の表示の登記

 建物を新築したときや区分建物以外の表題登記のない建物の所有権を取得した者は,所有権を取得した日から1ヵ月以内に建物の表示の登記を申請しなければなりません (法47条第1項)

 建物の表題登記(新築)の申請に登録免許税はかかりません。〔表示に関する全ての登記が非課税というわけではないので注意。〕

 この申請をしないで放置すると10万円以下の過料に処せられます(法136条)

●類題

「新築後,未登記のまま1ヵ月以上経過した建物を譲り受けた者は,譲り受け後1ヵ月内にその表題登記を申請しても,過料の対象になる。ただし,区分建物ではないとする。」(土地家屋調査士・平成10年)

【正解:×

 建物の表題登記をしないまま,所有者に変更があったときには,新しく所有者となった者は,所有者に変更のあったときから1ヵ月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。(法47条第1項)⇒区分建物では、1ヵ月以内という期限はない。

 新しく所有者となった者がこの申請をしないで放置すると10万円以下の過料に処せられます。(法136条)

 本肢は所有者に変更があった日から1ヵ月以内に申請しているので過料に処せられることはありません。

2.「二つの登記所の管轄区域にまたがって建っている建物の表題登記の申請は双方の登記所にそれぞれ申請しなければならない。」(平成3年-問16-肢2)

【正解:×

◆管轄区域がまたがっている場合の申請

 建物が二つの登記所の管轄区域にまたがって建築された場合における建物の表題登記の申請は,管轄登記所が指定されていないときは、いずれか一つの登記所にすることができます。(法6条3項)

 どちらにも申請しなければいけないというのではありません。

3.「建物の新築による建物の表題登記は,管轄を誤って登記されたものであっても,登記が完了すれば,職権によって抹消されることはない。」(平成5年-問16-肢1)

【正解:×

◆管轄を誤って登記されたときは職権によって抹消される

 管轄に属さない不動産の登記の申請は“却下”されることになっていますが,誤って登記されたときは,一定の手続を経て登記官の職権によって“抹消”されます。

<参考>

 登記官は,登記を完了した後に登記が管轄違いの登記であることを発見したとき,管轄違いに間違いがないかどうかを,登記権利者(登記をして「得」する人)登記義務者(登記をして「損」する人)及び登記上利害関係を有する第三者に対して,「1カ月を超えない期間」を定め,その期間内に異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知しなければなりません。(法71条1項)

4.「建物の表題部所有者の更正の登記は申請書にその者の承諾書を添付して書面により自己の所有権を証する者から申請することができる。」(平成8年-問15-肢3)

【正解:

所有者の更正の登記

 所有者の更正の登記の申請は,建物の表題部に所有者として別人が誤って記載されていて,真正な所有者の記載に訂正するためのものです。この登記の前後で実体としての所有者に変更はありません。

 (この更正の登記によって不利益を被ることになる)「表題部に所有者として記載されている者」の承諾書があれば間違いないということで,その者の承諾書を添付することになっています。

氏名等の更正の登記」「更正の登記」を区別する

 表題部所有者の氏名等の更正の登記

→ 錯誤や遺漏によって表題部に記載されている所有者の氏名・住所が誤って記載されていたので訂正する登記。実体としての所有者は変わっていない。(法31条)

 表題部所有者の更正の登記

→ 錯誤などによって誤って別人の所有者が記載されていたので訂正する登記。実体としての所有者は変わっていない。(法33条)

5.「建物の表題部所有者が死亡した場合,相続人は,相続を証する書面を添付して,所有者の氏名等の変更の登記を申請することができる。」

【正解:×

◆相続人は所有権保存登記 

 表題部の所有者〔所有権保存登記がまだなされていない〕が,相続により実体として変わった場合は,表題部の所有者を相続人名義にする変更の登記をすることはできません。

 相続人は,所有権保存登記をするべきものとされています。(法74条1項1号)

→ 参照・表題部の所有者

●建物の表題部の変更登記

 以下のものに変更があったときは,表題部に記載されている所有者または所有権の登記名義人1ヵ月以内に建物の表示の変更の登記を申請しなければなりません。 (51条)

 建物の所在種類・構造及び床面積,建物の名称,附属建物の種類・構造及び床面積


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