税法その他 基礎編

所得税・贈与税―譲渡所得・贈与に関する税・住宅借入金の特別控除

●住宅借入金の特別控除(住宅ローン控除)

正解・解説

●最近の所得税・贈与税の出題  
    9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
住宅借入金特別控除                   
譲渡所得                  
譲渡損失の繰越控除                      
相続時精算課税制度                   

平成11年・18年は、譲渡損失の繰越控除と住宅借入金控除が重畳適用可能か問う問題。


【正解】

× ×

 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下、「住宅ローン控除」という)に関する次の記述は、租税特別措置法の規定によれば○か、×か。」

1.「居住年又は当該居住年の前年若しくは前々年に収用交換等の場合の

5,000万円特別控除の適用を受けている場合であっても、当該居住年以後10年間

の各年分については、住宅ローン控除制度の適用を受けることができる。

 なお、「居住年」とは住宅ローン控除の対象となる家屋をその居住の用に供した日

の属する年をいうものとする。(平成23年1月1日以降とする)」H9-27-1改

【正解:関連出題 (必ずご覧ください)昭和59年平成9年・問27平成18年・問26

収用交換等の場合の5,000万円控除は○ 

 租税特別措置法41条7項・8項で、その適用を受けているときに、住宅ローン減税の適用を受けることができない特例は以下のとおりです。

 収用交換等の場合の5,000万円控除は、重複適用できます(ただし、合計所得金額が3,000万円を超えるときは住宅ローン控除の適用を受けることができないので、合計所得金額が3,000万円内にとどまる場合にのみ重複適用できることに注意)

新住宅ローン減税の適用 
居住用財産を譲渡した場合の軽減税率・10年超保有  ×
居住用財産の譲渡所得の3000万円控除  ×
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除  ○ 
優良住宅地造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例  
収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例  
収用交換等の場合の5,000万円控除  
特定の居住用財産の買換え特例  ×
中高層耐火建築物の建設の為の買換え及び交換の特例  ×

過去問出題分より、まとめました。適用できない×だけ覚えてください。

<KEY WORDS>

 ・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

  所得税額から、一定の額を控除する(税金をマケてくれる)。最高控除額は400万円です。

平成23年に入居した場合、住宅ローン控除では

1年目〜10年目は年間、最大40万円を控除してくれます。 

●住宅ローン減税
 住宅ローン減税についは,下記のページをご覧ください。
 <合計所得金額  3,000万円以下>が適用要件になっていることに注意。

 住宅ローン減税制度の概要 (財務省)    住宅ローン減税と譲渡所得の損益通算・繰越控除 (PDF)  

2.「平成23年に、居住用家屋を売却して、新たに居住用家屋を取得した場合には、

その売却した居住用家屋に係る譲渡損失につき居住用財産の買換え等の場合の

譲渡損失の繰越控除の適用を受けるときであっても、その新たに取得した居住用家屋に

つき住宅ローン控除制度の適用を受けることができる。」 H11-26-2改

【正解:】 改正点を改正されたその年に出題しています。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除は○ 

住宅ローン減税 重畳適用についての一覧
居住用財産を譲渡した場合の軽減税率・10年超保有  ×
居住用財産の譲渡所得の3000万円控除  ×
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除  
優良住宅地造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例  
収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例  
収用交換等の場合の5,000万円控除  
特定の居住用財産の買い換え特例  ×
中高層耐火建築物の建設の為の買換え及び交換の特例  ×

中高層耐火建築物の建設の為の買換え及び交換の特例」は正確には、

  以下の名称です。

 <既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物建築の為の買換え及び交換

  の場合の長期譲渡所得の課税の特例>(租税特別措置法37条の5)

3.「銀行からの住宅借入金等で取得した居住用家屋を平成23年10月に居住の用

に供した場合には、その住宅借入金等の償還期間が15年以上でなければ住宅

ローン控除制度の適用を受けることができない。」  H11-26-3改

【正解:×

◆償還期間は10年以上

  従来の制度では,住宅借入金等の償還期間が10年以上でなければ、住宅ローン控除制度の適用を受けることができません。

4.「銀行からの住宅借入金等で取得した居住用家屋を平成23年10月に居住の用

に供した場合には、その居住の用に供した年以後10年間にわたって、その住宅借

入金等の年末残高の1パーセント相当額の税額控除の適用を受けることができる。」

H11-26-4改

【正解:×

◆控除期間 10年間

 住宅ローン控除制度では、以下のように定められています。

 控除対象上限 平成23年入居の場合は 4,000万円

 控除期間 10年間 

 控除率  4,000万円以下のローン残高×1年目〜10年目 1%

       (10年間で最大400万円控除)

<確定申告> 住宅ローン控除を受けるには、確定申告をする必要があります。

<その他の適用要件>

  ・住宅取得後6ヶ月以内に入居し、引き続き居住していること

平成15年の改正

 平成15年4月1日以後に勤務先から転勤の命令その他これに準じるやむを得ない事由により居住の用に供しなくなった後、その事由が解消して再入居した場合には、一定の要件のもとに、再入居した年以後の各年(再入居年に賃貸の用に供していた場合には、その再入居年の翌年以後の各年)について住宅ローン控除の再適用が受けられるようになりました。

  ・家屋の床面積が50平方メートル以上 

  ・床面積の1/2以上が専ら自己の居住の用に供されていること←併用住宅

  ・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下 ←重要

  ・従来型は10年以上の割賦償還による融資を受けていること

     (ただし、親族などからの借入金は対象にはなりません)

  ・入居した年の前々年から翌々年について、居住用財産の3,000万円特別控除買換え特例等の課税の特例、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(所有期間10年超の軽減税率)を受けていないこと←平成9年出題

  ・住宅借入金等の範囲として、住宅とともに取得する敷地部分に係わる借入金

   も対象になります。

▼ この制度は、新築住宅の取得のほか、中古住宅の取得や増改築についても、

   適用があります。(居住用家屋の敷地に供する土地等の取得のための借入金

   にも、当該住宅取得等に係る借入金として一定の要件で適用されます。

   居住用家屋と共に取得する土地で、その家屋の敷地の用に供されるもので

   なければいけません。) ←平成11年出題

中古住宅は、耐火建築物      新築後25年以内

          耐火建築物以外   新築後20年以内

 が適用要件になっています。

 ただし、「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅」の場合は、築年数に関係なく適用されます。

住宅ローン控除の対象となる増改築の範囲が、近年(平成18-19年)の法改正で拡大されています
 住宅ローン控除の対象となる増改築の範囲が拡大され、耐震改修工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事もその対象になりました。

 しかし,住宅ローン控除の増改築(耐震改修工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事)の場合の控除と下記の四つはまったく別物ですから注意してください。

特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例 [バリアフリー改修控除] (租税特別措置法41条の3の2第1項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例[省エネ改修控除] (租税特別措置法41条の3の2第4項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除 (平成21年4月1日〜平成22年12月31日までの間に居住の用に供したときに適用される) (租税特別措置法41条の19の3第1項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
 (租税特別措置法41条の19の2) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できる。所得制限はない。

●住宅ローン控除
 住宅ローン控除についは,下記のページをご覧ください。
 <合計所得金額  3,000万円以下>が適用要件になっていることに注意。

 住宅ローン減税制度の概要 (財務省)    住宅ローン減税と譲渡所得の損益通算・繰越控除 (PDF)  


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