税法その他 実戦篇
所得税の過去問アーカイブス 昭和59年・問29
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
住宅を取得した場合の所得税額の特別控除〔以下本問において『特別控除』という〕に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和59年・問29) |
1.「民間金融機関から借り入れた住宅資金の割賦償還金のうち,支払利息部分についてのみ特別控除の対象とされる。」改 |
2.「親族や友人から借り入れた資金でも,新築住宅又は一定の既存住宅の取得代金や増改築の費用に充てられている場合には,年末の借入金残高が特別控除の対象とされる。」改 |
3.「特別控除の適用が受けられるのは,取得した住宅を居住の用に供した日の属する年及びその翌年以後10年間に限られる。」改 |
4.「特定の居住用財産の買換えの特例を受けて取得した住宅でも,取得した日以後6ヵ月以内に居住の用に供すれば,特別控除の対象になる。」改 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
●住宅ローン控除 |
住宅ローン控除についは,下記のページをご覧ください。 <合計所得金額 3,000万円以下>が適用要件になっていることに注意。 |
1.「民間金融機関から借り入れた住宅資金の割賦償還金のうち,支払利息部分についてのみ特別控除の対象とされる。」 |
【正解:×】昭和59年,62年 ◆住宅借入金残高 1年目〜10年目はその1%相当額が控除され,4,000万円以上のときは一律に40万円が控除される 借入金の年末残高が対象であり,支払利息部分についてのみ特別控除の対象ではありません。 住宅借入金等特別税額控除額は,居住年が平成23年である場合は,12月31日における住宅借入金等の金額の合計額(当該合計額が4,000万円を超える場合には、4,000万円)の1パーセントに相当する金額とされています。(租税特別措置法・41条2項3号) (この借入金等の合計額は,民間金融機関や地方公共団体その他当該資金の貸付けを行う政令で定める者などの公的機関からの借入金を合わせたものとされています。) したがって, <支払利息部分についてのみ,特別控除がなされる。>とする本肢は×です。 ●注意● 『年末の住宅借入金残高が4,000万円以下の部分について適用される』という表現が使われることがありますが,<年末の住宅借入金残高が4,000万円以下の場合にのみ借入金残高の1%を控除でき,4,000万円を超える場合には適用されない>という意味ではありません。 年末の住宅借入金残高が4,000万円以下・・・残高の1%を控除 年末の住宅借入金残高が4,000万円超 ・・・一律に40万円を控除 つまり,年末の住宅借入金残高が4,000万円超の場合には,4,000万円の1%に相当する金額40万円が控除されます。(年間の控除額の限度は40万円) |
2.「親族や友人から借り入れた資金でも,新築住宅又は一定の既存住宅の取得代金や増改築の費用に充てられている場合には,年末の借入金残高が特別控除の対象とされる。」改 |
【正解:×】 ◆親族や友人からの借入金は対象外 この控除は,住宅の取得等に要する資金に充てるために,「国内に営業所を有する銀行その他の政令で定める金融機関」,「住宅金触公庫」,「地方公共団体その他当該資金の貸付けを行う政令で定める者」から借り入れた借入金〔償還期間が10年以上〕が対象であり,親族や友人から借り入れた資金は対象にはなりません。(租税特別措置法41条1項,施行令26条) |
3.「特別控除の適用が受けられるのは,取得した住宅を居住の用に供した日の属する年以後10年間に限られる。」改 |
【正解:○】昭和59年,平成11年 ◆控除期間は居住の日の属す年から10年間 その新築の日若しくはその取得の日又はその増改築等の日から6月以内に家屋をその者の居住の用に供して,その者が当該住宅の取得等に係る次に掲げる借入金又は債務の金額を有するときは,当該居住の用に供した日の属する年以後10年間の適用年のうち,その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額が3,000万円以下である年について,その年分の所得税の額から,住宅借入金等特別税額控除額を控除します。 |
4.「特定の居住用財産の買換えの特例を受けて取得した住宅でも,取得した日以後6ヵ月以内に居住の用に供すれば,特別控除の対象になる。」改 |
【正解:×】昭和59年,平成9年,平成18年 ◆居住年の前々年,前年,居住年,翌年,翌々年 その居住の用に供した日の属する年分の所得税又はその年の前後〔前年分若しくは前々年分,翌年分若しくは翌々年分〕の所得税について, ・特定の居住用財産の買換えの課税の特例(第36条の2) の適用を受ける場合には,住宅ローン減税の適用は受けられません。(41条7項,8項) 居住年の前々年 居住年 居住年の翌々年 ――●――――――――――●―――――――●―――― |← 〔前々年・前年〕〜〔翌年・翌々年〕 →| |
●居住年の前々年,前年,居住年,居住年の翌年,翌々年 |
その居住の用に供した日の属する年分の所得税又はその年の前後〔前年分若しくは前々年分,翌年分若しくは翌々年分〕の所得税について,
・居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(第31条の3)、 ・居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除(第35条) ・特定の居住用財産の買換えの課税の特例(第36条の2)⇒昭和59年、 ・既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え・交換の場合の譲渡所得の課税の特例(第37条の5) などの規定の適用を受ける場合には,住宅ローン減税の適用は受けられない。(41条7項,8項) 居住年の前々年 居住年 居住年の翌々年 ――●――――――――――●―――――――●―――― |← 〔前々年・前年〕〜〔翌年・翌々年〕 →| |
●宅建過去問Up-To-Date 住宅ローン控除 〜検索用〜 |
□昭和59年問29,*昭和60年問28,□昭和62年問29,□平成9年問27,□平成11年問26,
(註) *のマークは,ワンポイントの出題,□は住宅ローン減税を主な出題テーマとするものです。 |
●所得税の宅建過去問Up-To-Date 〜検索用〜 |
昭和57年問31,昭和59年問29,昭和60年問28,昭和61年問30,昭和62年問29,昭和63年問29,平成元年問29,平成2年問29,平成3年問29,平成4年問28,平成5年問28,平成6年問29,平成7年問29,平成8年問28,平成9年問27,平成10年問27,平成11年問26,平成12年問26,平成13年問26,平成14年問26,平成15年問26 |