税法その他 実戦篇
所得税の過去問アーカイブス 昭和57年・問31
個人Aは,平成12年に購入した東京都内にある土地及び建物を平成19年8月に売却した〔譲渡益4,000万円〕。この場合の譲渡所得税の課税の特例に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和57年・問31) |
1.「個人Aが,平成19年中に自己の居住の用に供する土地建物を取得する場合には,一定の要件のもとで,特定の居住用財産の買換えの特例が認められる。」改 |
2.「個人Aが,売却した土地の上に建築される地上階数3以上の中高層耐火共同住宅の一部を取得する場合には,一定の要件のもとで,既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例が認められる。」改 |
3.「個人Aが,売却した土地建物を自己の居住の用に供していた場合は,一定の要件のもとで,譲渡益から3,000万円の特別控除が認められる。」 |
4.「個人Aが,収用対象事業のために土地建物を譲渡し,譲渡した資産と同じ資産〔代替資産〕を取得したり,取得しようとする場合には,一定の要件のもとで,5,000万円の特別控除か,又は代替資産を取得した場合の課税の特例が認められる。」改 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「個人Aが,平成19年中に自己の居住の用に供する土地建物を取得する場合には,一定の要件のもとで,特定の居住用財産の買換えの特例が認められる。」 |
【正解:×】 ◆特定の居住用財産の買換え・交換の課税の特例は所有期間10年超 特定の居住用財産の買換えの場合の課税の特例(36条の2),特定の居住用財産の交換の課税の特例(36条の5)の双方とも,譲渡した年の1月1日での所有期間10年超が要件です。 平成19年1月1日の所有期間は,6年(12年1月2日〜12月31日に取得)または7年(12年1月1日に取得)ですから,所有期間10年未満であることになります。したがって,「所有期間が10年未満の場合であっても適用される」とする本肢は×です。
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2.「個人Aが,売却した土地の上に建築される地上階数3以上の中高層耐火共同住宅の一部を取得する場合には,一定の要件のもとで,既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例が認められる。」改 |
【正解:○】 ◆中高層耐火建築物等の建設するための買換え及び交換の特例 既成市街地等内にある土地建物等を譲渡して,譲渡をした土地等の上に建築された『地上階数3以上の中高層の耐火共同住宅』の全部または一部,又は「特定民間再開発事業」により建築された『地上階数4以上の中高層耐火建築物』の全部または一部を取得したときには,『既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例』が認められます。(37条の5) |
3.「個人Aが,売却した土地建物を自己の居住の用に供していた場合は,一定の要件のもとで,譲渡益から3,000万円の特別控除が認められる。」 |
【正解:○】昭和57年,平成6年問29肢2,平成15年 ◆3,000万円特別控除 居住の用に供していた家屋やその敷地を,居住の用に供さなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に,特別な関係がない者に譲渡した場合には,譲渡益から最大3,000万円までの特別控除が認められます。 |
4.「個人Aが,収用対象事業のために土地建物を譲渡し,譲渡した資産と同じ資産〔代替資産〕を取得したり,取得しようとする場合には,一定の要件のもとで,5,000万円の特別控除か,又は代替資産を取得した場合の課税の特例が認められる。」 |
【正解:○】 ◆収用等によって資産を譲渡したときの特例は基本的に2つ 個人Aが,収用対象事業のために土地建物を譲渡し,譲渡した資産と同じ資産〔代替資産〕を取得したり,取得しようとする場合には,選択により,『収用交換等の場合の5,000万円の特別控除』(33条の4)か,『収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(課税の繰延べ)』(33条)のどちらかの適用を受けることができます。 ▼平成16年度の税制改正により,『収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例 (課税の繰延べ) 』や『収用交換等の場合の5,000万円の特別控除』の適用を受けるときには,「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率の特例」の適用を受けることができなくなった。 |
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