税法その他 実戦篇

所得税の過去問アーカイブス 平成5年・問28

特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例


租税特別措置法第36条の6の特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成5年・問28)

1.「譲渡資産とされる家屋については,その譲渡をした年の1月1日における所有期間が10年を超えるものであり,かつ,その居住の用に供していた期間が10年以上であることが,適用要件とされている。」

2.「買換資産の取得に係る対価の額については,2億円以下であることが,適用要件とされている。」

3.「買換資産とされる家屋(区分所有のものを除く)については,その床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下のものであること,また,買換資産とされる土地については,その面積が50平方メートル以上500平方メートル以下のものであることが,適用要件とされている。」

4.「買換資産については,譲渡資産の譲渡をした年に取得をし,かつ,その年中に居住の用に供することが,適用要件とされている。」

【正解】

× × ×

●特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
 課税の繰り延べであることに注意。

 ・譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額〔又は見積り額〕以下のときは,その譲渡がなかったものとみなされ,課税されません。

 ⇒ 譲渡所得≦ 買換資産の取得価額

 ・譲渡資産の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額〔又は見積り額〕を超えるときは,その超える部分について資産の譲渡があったものとみなされ,取得価額の引継ぎによる課税の繰り延べになります。〔買換資産を将来譲渡するときには,買換資産の取得費は旧資産である譲渡資産の取得費を引き継ぐことになる。〕

 ⇒ 譲渡所得>買換資産の取得価額 ・・・ 譲渡代金の一部で買い換えると,譲渡代金と取得価額の差額が長期譲渡所得として課税される。

1.「譲渡資産とされる家屋については,その譲渡をした年の1月1日における所有期間が10年を超えるものであり,かつ,その居住の用に供していた期間が10年以上であることが,適用要件とされている。」

【正解:昭和57年,61年,平成5年,14年

◆譲渡資産の要件−所有期間10年超,居住期間10年以上

 特定の居住用財産の買換えの場合の課税の特例(36条の2)は,譲渡した年の1月1日での譲渡資産の所有期間10年超,居住期間10年以上が要件です。

譲渡資産の所有期間・居住期間の要件

  特定の居住用財産(36条の6)
所有期間  10年超
本人の居住期間  10年以上

譲渡した年の1月1日で『所有期間10年,かつ,居住期間10年』では,この特例は適用されないことに注意。→平成元年出題

2.「買換資産の取得に係る対価の額については,2億円以下であることが,適用要件とされている。」

【正解:×

◆買換資産には対価の額の制限はない

 買換資産の額についての制限規定はありません。

譲渡資産の譲渡に係る対価の額について『1億5千万円以下』という制限があります。

3.「買換資産とされる家屋(区分所有のものを除く)については,その床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下のものであること,また,買換資産とされる土地については,その面積が50平方メートル以上500平方メートル以下のものであることが,適用要件とされている。」改

【正解:×平成14年

◆買換資産の家屋と土地の面積要件

 買換資産とされる家屋については,その居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上(上限はない),買換資産とされる土地等については,その面積が500平方メートル以下〔下限はない〕のものであることが要件になっています。(租税特別措置法・施行令24条の2第3項1号イ,2号)

●買換資産の要件
 家屋  居住の用に供する部分の床面積が 50平方メートル以上
 土地等  500平方メートル以下

買換資産である家屋が耐火建築物である既存住宅の場合は,取得の日以前25年前に建築されたものであるか,一定の耐震基準に適合したものに限ることに注意。

4.「買換資産については,譲渡資産の譲渡をした年に取得をし,かつ,その年中に居住の用に供することが,適用要件とされている。」

【正解:×

◆買換資産の取得時期と入居時期の要件

 文章ではわかりにくいので,図解で理解しましょう。

■買換資産の取得時期

   譲渡の前年     譲渡した年       譲渡した翌年
 ――●――――――――●―――――――――――●――――――
    |← この期間内に買換資産を取得又は見込み→|

■買換資産への入居時期

 (i) 譲渡した年又はその前年中に買換資産を取得したとき ⇒ 譲渡した年の翌年まで
                                        に居住の用に供する

   譲渡の前年     譲渡した年   譲渡した翌年
 ――●―――――――――●―――――――――――
    |←買換資産を取得→|

 (ii) 譲渡した年の翌年中に買換資産を取得したとき ⇒ 譲渡した年の翌々年まで
                                    に居住の用に供する

   譲渡の前年     譲渡した年  譲渡した翌年    譲渡した年の翌々年
 ――――――――――――――――●――――――――――――
                         買換資産を取得


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(註) *のマークは,ワンポイントの出題,は買換・交換の課税の特例を主な出題テーマとするものです。

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