税法その他 実戦篇

所得税の過去問アーカイブス 平成6年・問29 

3,000万円特別控除と居住用財産の譲渡の場合の軽減税率


居住用財産を譲渡した場合における譲渡所得の所得税の課税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成6年・問29)

1.「居住の用に供している家屋をその者の長男に譲渡した場合には,その長男がその者と生計を一にしているか否かに関係なく,その譲渡について,居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。」

2.「居住の用に供していた家屋をその者が居住の用に供さなくなった日から2年を経過する日の翌日に譲渡した場合には,その譲渡について,居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。」

3.「譲渡した年の1月1日における所有期間が7年である居住用財産を国に譲渡した場合には,その譲渡について,居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。」

4.「譲渡した年の1月1日における居住期間が11年である居住用財産を譲渡した場合には,所有期間に関係なく,その譲渡について,居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。」

【正解】

× × ×

1.「居住の用に供している家屋をその者の長男に譲渡した場合には,その長男がその者と生計を一にしているか否かに関係なく,その譲渡について,居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。」

【正解:昭和61年,平成6年,15年

当該個人と特別な関係にある者に対する譲渡には適用されない

 3,000万円という数字は出てきませんが,『居住用財産の譲渡所得の特別控除』とは,3,000万円特別控除のことです。

 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は,当該個人と政令で定める特別な関係にある者に対する譲渡には適用されないことになっています。(租税特別措置法35条1項,施行令23条2項,施行令20条の3第1項)

●当該個人と政令で定める特別な関係にある者
・配偶者及び直系血族・親族で生計を一にする者

・内縁関係にある者及びその親族で生計を一にする者

・当該個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者及びその者の親族で生計を一にしている者

・譲渡者や上記の人を基礎に判定した場合の同族会社や同族法人 ←本肢のケース

以下の特例も政令で定める特別な関係にある者に対する譲渡に対しては適用されないので注意してください。

・居住用財産の軽減税率(租税特別措置法31条の3,施行令20条の3第1項)

・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(36条の2)

2.「居住の用に供していた家屋をその者が居住の用に供さなくなった日から2年を経過する日の翌日に譲渡した場合には,その譲渡について,居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。」

【正解:×昭和57年,平成6年,平成15年

◆自己の居住の用に供さなくなった日から3年経過する年の12月31日まで

 居住の用に供していた家屋をその者が自己の居住の用に供さなくなった日から3年を経過する年の12月31日までの間に譲渡したときは,3,000万円特別控除の適用を受けることができます。

 自己の居住の用に
 供さなくなった日       3年間経過    その年の12月31日

 ――――――――――――――――――――――――

    |←  譲渡がこの間にあればよい       →|      

3.「譲渡した年の1月1日における所有期間が7年である居住用財産を国に譲渡した場合には,その譲渡について,居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。」

【正解:×平成元年,6年,8年

◆国に譲渡したものであっても,所有期間10年超は変わらない

 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は,『譲渡した年の1月1日で所有期間が10年超』の場合に,適用を受けることができるのであり,譲渡の相手方は関係ありません。⇒居住用財産を国に譲渡した場合にこの特例の適用を受けることができるという規定はありません。

4.「譲渡した年の1月1日における居住期間が11年である居住用財産を譲渡した場合には,所有期間に関係なく,その譲渡について,居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。」

【正解:×

◆所有期間10年超が必要

 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率が適用されるには,『所有期間10年超』が必要です。居住期間が11年であったとしても,所有期間が10年超でなければ軽減税率の適用は受けられません。

 したがって,<居住期間が11年である居住用財産を譲渡した場合には,所有期間に関係なく,軽減税率の適用を受けることができる>としている本肢は×です。


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(註) *のマークは,ワンポイントの出題,は3,000万円特別控除を主な出題テーマとするものです。

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