Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記の過去問アーカイブス 平成4年・問14 改正対応

登記原因証明情報・共同申請・登記所への出頭義務の廃止


不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成4年・問14)

1.「登記済証が滅失した場合の出題なので削除。」

2.「権利に関する登記を申請する場合には,申請人は,法令に別段の定めがある場合を除き,その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。」

3.「抵当権の設定の登記の申請は,被担保債権の債権者が登記権利者,債務者が登記義務者となって行わなければならない。」

4.「所有権の移転の登記の申請は,郵送によりすることはできない。」

【正解】

× × ×

【原題】

1.「登記済証が滅失した場合には,当該登記をした登記所から登記済証の再発行を受けることができる。」

【正解:×の設定

登記済証が滅失⇒ 法改正により保証人・保証書は廃止 原題の解説

2.「権利に関する登記を申請する場合には,申請人は,法令に別段の定めがある場合を除き,その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。」

【正解:

登記原因証明情報の提供

 「登記原因を証する情報(不動産登記法・61条)」とは,登記すべき物権変動の法律行為の成立を証明する情報のことで,具体的には「売買契約書」などが該当します。

 登記原因証明情報が提供されることにより,登記官は,登記原因を確認して登記することができます。

3.「抵当権の設定の登記の申請は,被担保債権の債権者が登記権利者,債務者が登記義務者となって行わなければならない。」

【正解:×

◆抵当権の設定登記

 権利に関する登記では,双方の登記の意思が真正かどうかの判断に資するため,原則として,登記権利者と登記義務者の双方で共同申請することになっています(不動産登記法・60条)

 抵当権の設定登記の場合,登記権利者は抵当権者(債権者)ですが,登記義務者は「抵当権設定者(目的不動産の所有者)」であり,例えば,親が子の債務のために自己名義の土地に抵当権を設定する場合など,自分以外の債務のために抵当権を設定する者(物上保証人という:民法第351条)もいるため“債務者”が必ずしもいつも登記義務者であるとは限りません。

 抵当権者→登記権利者、抵当権設定者→登記義務者。

登記権利者  抵当権者(被担保債権の債権者)
登記義務者  抵当権設定者(目的不動産の所有者)

 抵当権設定者は被担保債権の債務者の場合と物上保証人の場合があります。本設問は、<債務者が登記義務者>となっているので×になります。

4.「所有権の移転の登記の申請は,郵送によりすることはできない。」

【正解:×

◆登記所への出頭義務の廃止

 平成16年の改正により,従来の「権利に関する登記での両当事者の出頭義務」は廃止されました。

 権利に関する登記  表示に関する登記
 申請  申請・嘱託がなければ
 原則として登記されない
 (職権による登記は限られる)
 申請・嘱託がなくても職権に
 より登記されることがある
 申請義務  任意

 対抗要件を取得したい
 者が申請すればよい

 義務 (罰則 : 過料×科料)

 物理的現況を明確にする
 1ヵ月以内

 登記官の審査権  形式的審査権  実質的審査権
 対抗力  物権変動の公示  原則としてはない
 〔例外〕
 ・規約共用部分の登記
 ・借地上の建物の表示登記

権利の登記のトップに戻る

(不動産登記法の) 過去問インデックスに戻る (不動産登記法の) 年度別の過去問に戻る

不動産登記のトップに戻る

Brush Up! 権利の変動に戻る