Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記の過去問アーカイブス 土地の合筆禁止 平成11年・問11 改正対応
関連出題・昭和54年平成2年問15


●メッセージ
本問題は,出題当時こそ難問だと騒がれましたが,今日ではもはや常識問題です。何度も出題歴がある以上コノママ出題されればかなりの正答率になると思われます。

土地の合筆の登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成11年・問11)

1.「所有権の登記がある土地と所有権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」

2.「地目が田である土地と地目が宅地である土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」

3.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」

4.「承役地である地役権の登記がある土地と地役権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」

【正解】

×

1.「所有権の登記がある土地と所有権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」関連出題・昭和54年平成2年問15

【正解:

◆合筆禁止−所有権の登記のある土地とない土地

 土地の合筆ができない場合として,以下のものは“常識的に”判断できます(不動産法41条)

相互に接続していない土地
所有者を異にする土地(表題部所有者又は所有権の登記名義人が異なる土地)
地目・地番区域を異にする土地
所有権の登記のある土地と所有権の登記のない土地

●合筆が禁止される原因のグループ分け
・物理的状況−接続していない土地

・表題部−地目・所有者・地番区域(管轄登記所が異なるものも含む。法35条)etcが異なる土地

・権利関係−1) 登記名義人が異なる土地
        2) 所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地
        (合筆後に登記できるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く)

2.「地目が田である土地と地目が宅地である土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」

【正解:

◆合筆禁止−地目の異なる土地

 地目が異なる場合は合筆の登記をすることはできません(不動産登記法41条2号)

登記簿上の地目が同じであったとしても現況の地目が異なる場合も合筆はできません

●類題

「登記簿上の地目は同一であっても,現況の地目が異なる土地の合併の登記は,することができない。」

【正解:

3.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」

【正解:

◆合筆禁止−所有権の登記名義人が異なる土地

 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地は当然,常識的に土地の合併はできないと判断できます。以下のものもこれに準じて禁止されています。

土地の表題部に記載された所有者土地の所有権保存登記の登記名義人が同一でも土地の合併はできない。

 (表題部に所有者として記載されていても,権利の登記は任意なので,実際の所有者が表題部に記載されている所有者と異なる場合があり得る。)

持分の異なる共有地も土地の合併はできない(不動産登記法41条4号)

 例・甲地は 1/3,2/3 とする共有の持分の登記があるが,乙地はAB共有の登記はあってもその持分の記載がない。

4.「承役地である地役権の登記がある土地と地役権の登記がない土地を合併する合筆の登記をすることはできない。」

【正解:×

◆合筆できる−承役地の登記がある土地

 『承役地である地役権の登記がある土地』と『地役権の登記がない土地』は,合筆の登記をすることができます。

 「所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地を合併(合筆)することは原則としてできませんが,次の場合は例外として合併できます。

 ・承役地の登記がある場合 ⇒ 地役権は土地の一部にも設定できるから。

 ・抵当権設定登記の登記原因登記原因の日付登記の目的受付番号が同じ場合
  (出題=昭和54年)

●類題

「要役地についてする地役権の登記のある甲地と所有権の登記以外の権利に関する登記のない乙地との合筆の登記の申請は,することはできない。」(土地家屋調査士・平成8年)

【正解:】 
 承役地である地役権の登記がある   合併できる
 要役地である地役権の登記がある  × 合併できない

●合筆の登記ができない場合

(1) 物理的状況

   ・接続していない土地

(2) 表題部

   ・地目が異なる (登記簿上の地目が同じでも現況の地目が異なる)
   ・地番区域管轄登記所が異なる
   ・所有者が異なる

(3) 権利関係

 所有権の登記のない土地と所有権の登記のある土地との合併

 登記名義人が異なる (登記名義人の異なる土地を合併して共有地とすることも含む)

 所有権の登記」以外の「権利の登記」がある土地
  ・所有権に関する仮登記
  ・所有権についての処分を制限する登記
  ・買戻し特約の登記
  ・財団に属する旨の登記
  ・敷地権である旨の登記
  ・要役地の登記がある土地

<例外>
・承役地の登記がある土地について合筆の登記を申請できる。

・抵当権設定登記の登記原因登記原因の日付登記の目的受付番号が同じならば,合併(合筆)することができる。


表示の登記のトップに戻る

(不動産登記法の) 過去問インデックスに戻る (不動産登記法の) 年度別の過去問に戻る

不動産登記のトップに戻る

Brush Up! 権利の変動に戻る