Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記法の過去問アーカイブス
登記申請 (権利の登記) 昭和57年・問16 改正対応
不動産の権利に関する登記の申請についての次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和57年・問16) |
1.「登記の申請は,物権の変動が生じたときから1ヶ月以内にしなければならない。」 |
2.「登記の申請は,必ず,政令で定める申請情報を提供して行わなければならない。」 |
3.「登記の申請は,申請人が登記所に必ずしも出頭しなくてもよい。」 |
4.「登記の申請は,原則として登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
類題・平成14年・問15
1.「登記の申請は,物権の変動が生じたときから1ヶ月以内にしなければならない。」 |
【正解:×】 ◆申請時期−当事者の申請 登記は,法律に別段の定めがある場合のほか,原則として,当事者の申請または官公署の嘱託によって行うことになっています(不動産登記法・16条1項)。(このほかには登記官の職権による登記があります。) 表示に関する登記は1ヶ月以内に申請義務のあるものがありますが,権利に関する登記については,申請は任意であり,特に申請時期に制限は設けられていません。 |
2.「登記の申請は,必ず,政令で定める申請情報を提供して行わなければならない。」 |
【正解:○】 ◆登記申請は必要な情報を提供する−電子申請or書面申請 登記申請では,登記の目的と原因に従い,法定の事項を記載した申請書等によって行い,登記の種類によって必要な情報を提供することが要求されています(不動産登記法・18条)。口頭による申請は認められていません。 登記官には,表示に関する登記では実質的な審査権,権利に関する登記では形式的な審査権が与えられており,申請に申請情報や添付情報を課すことによって登記手続が正確かつ迅速に実行されることを企図しています。 申請方法には,電子申請と書面申請があります(登記規則・1条3号,4号)。 |
●申請の方法 |
(申請の方法) 第18条 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。 一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(登記所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法 ⇒ 電子申請 (登記規則・1条3号,4号) 二 申請情報を記載した書面(法務省令で定めるところにより申請情報の全部又は一部を記録した磁気ディスクを含む。)を提出する方法 ⇒ 書面申請 (登記規則・1条3号,4号) ※申請書・・・申請情報を記載した書面をいい,磁気ディスクを含む(登記規則・1条5号)。 ※添付書面・・・添付情報を記載した書面をいい,登記令15条の添付情報を記録した磁気ディスクを含む(登記規則・1条6号)。 |
3.「登記の申請は,申請人が登記所に必ずしも出頭しなくてもよい。」 |
【正解:○】 ◆当事者の出頭主義は廃止 権利に関する登記の申請をするときは,申請人(登記権利者及び登記義務者)又はその代理人は,その不動産を管轄する登記所に出頭しなくても郵送や使者による登記申請も認められています。
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4.「登記の申請は,原則として登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。」 |
【正解:○】 ◆共同申請 登記の申請は,登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則です(不動産登記法・60条)。登記法上登記官には,権利の登記では形式的な審査権しかなく,例えば所有権移転の登記申請で本当にその移転があったのか審査することはできません。そのため登記権利者だけではなく,登記義務者も申請人にすることで登記の真正を担保しようとしています。 |
●権利に関する登記申請の原則 |
・当事者による申請・官公署の嘱託による。
・書面によって申請する。 ・当事者またはその代理人が申請する。 ・登記義務者と登記権利者の共同申請 |