法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成17年・問21 

単体規定・建築基準法総則・定期報告・違反是正措置命令


建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成17年・問21)

1.「2階建てで延べ面積が100平方メートルの鉄骨造の建築物を建築する場合、構造計算は必要としない。」

2.「5階建てで延べ面積が1,000平方メートルの共同住宅の所有者は、当該共同住宅の敷地、構造及び建築設備について、定期的に一級建築士等に調査させなければならず、調査を担当した一級建築士等は、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

3.「特定行政庁は、建築基準法施行令第9条に規定する建築基準関係規定である都市計画法第29条に違反した建築物について、当該建築物の所有者に対して、違反を是正するための措置を命ずることができる。」

4.「便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならないが、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、必ずしも設ける必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「2階建てで延べ面積が100平方メートルの鉄骨造の建築物を建築する場合、構造計算は必要としない。」

【正解:×

◆構造計算

 木造以外の建築物で2以上の階数を有しているもの又は延べ面積が200平方メートルを超えるものは,政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有するものでなければならない(建築基準法20条3号)

 【出題歴】昭和60年・問20・肢4平成7年・問21・肢4平成9年・問25・肢2

2.「5階建てで延べ面積が1,000平方メートルの共同住宅の所有者は、当該共同住宅の敷地、構造及び建築設備について、定期的に一級建築士等に調査させなければならず、調査を担当した一級建築士等は、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

【正解:×

◆特定行政庁への定期報告を要する建築物

 100平方メートル超の特殊建築物その他政令で定める建築物特定行政庁が指定するものの所有者〔所有者と管理者が異なる場合は管理者〕は,当該建築物の敷地,構造及び建築設備について,定期に,その状況を一級建築士・二級建築士・国土交通大臣が定める資格を有する者に調査させて,その結果を特定行政庁に報告しなければならない(建築基準法12条1項,建築基準法施行令16条)

(註) 政令で定める建築物とは,特殊建築物を除いて,事務所その他これに類する用途に供する建築物のうち,階数が5以上で,延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物をいう(建築基準法施行令16条)

 本肢の共同住宅 (100平方メートル超の特殊建築物)は,特定行政庁から指定されていれば,定期報告の対象となる。

 特定行政庁に報告するのは一級建築士等ではなく,建築物の所有者〔所有者と管理者が異なる場合は管理者〕なので本肢は誤りである。

3.「特定行政庁は、建築基準法施行令第9条に規定する建築基準関係規定である都市計画法第29条に違反した建築物について、当該建築物の所有者に対して、違反を是正するための措置を命ずることができる。」

【正解:×

◆違反是正命令

 特定行政庁は,建築基準法令の規定〔建築基準法・建築基準法に基づく命令・条例の規定〕又はこの法律に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地について,当該建築物の建築主,工事の請負人・現場管理者,所有者・管理者・占有者に対して,違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(建築基準法9条1項)

 問題文では,<建築基準法施行令第9条に規定する建築基準関係規定である都市計画法第29条に違反した建築物について>違反是正命令を出せるとなっているが,

 都市計画法29条が建築基準関係規定ではあることはマチガイないにしても,建築基準法9条の条文をそのまま出題したとすれば〔解釈や運用を考えなければ〕,特定行政庁が違反是正命令を出せるのは<建築基準法令に違反した建築物又は建築物の敷地>なので,本肢は誤りとせざるを得ない。

●建築規準関係規定とは何か

 建築基準法では,一定の建築物を建築しようとする場合,建築基準関係規定〔建築基準法令の規定その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるもの〕に適合するものであることについて,建築主事などの確認を受けることになっている(建築基準法6条1項,建築基準法施行令9条12号)。この建築基準関係規定の中に,都市計画法29条1項・2項が政令で定めるものとして施行令で指定されている。

 ⇒ 建築確認の法的性格については,指定確認検査機関制度が施行されるまでは,行政行為としては,「確認行為説」,「許可行為説(建築基準法6条6項を根拠とする)」の2つがあり,現在は裁判例でも「確認行為説」が優勢である。しかし,行政機関による裁量の余地が全くないというわけではない。

4.「便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならないが、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、必ずしも設ける必要はない。」

【正解:

◆便所の採光及び換気

  便所には,採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならないが,水洗便所で,これに代わる設備をした場合には,必ずしも窓を設ける必要はない(建築基準法施行令28条)

マンションや複合ビル等では,窓のない水洗トイレが多いことに思い至れば,正解肢に達することができた。


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