宅建過去問 法令上の制限
建築基準法の過去問アーカイブス 平成20年・問20 建ぺい率と容積率
建築物の建築面積の敷地面積に対する割合 (以下この問において 「建ぺい率」 という。) 及び建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合 (以下この問において 「容積率」 という。) に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (平成20年・問20) |
1 建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率による制限は適用されない。 |
2 建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該敷地の容積率の限度の算定に当たっては、当該敷地の前面道路の幅員は、当該延長及び前面道路の幅員を基に一定の計算により算定した数値だけ広いものとみなす。 |
3 容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。 |
4 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、当該許可の範囲内において建ぺい率による制限が緩和される。 |
<コメント> |
肢2や肢4は初出題ですが,肢1と正解肢となった肢3は過去問に出題歴があります。
肢1 既知〔出題歴あり〕○ 一般に初出題のものがある場合は,知っている肢〔出題歴あり〕で正誤を判断するしかありません。この問題の正答率はやや低い数字ですが,肢2や肢4を知らないからといって,諦める必要は全くなく,実際に合格者の正答率を見ると全体の正答率よりも高くなっています。 |
●出題論点● |
(肢1) 建ぺい率80%+防火地域内+耐火建築物 ⇒ 建ぺい率制限は適用されない (肢2) 特定道路による容積率の緩和措置 (肢3) 共同住宅では,共用の廊下や階段は延べ面積不算入〔範囲制限はない〕 (肢4) 壁面線の指定がある場合の建ぺい率の緩和措置 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
正答率 | 57.6% |
1 建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率による制限は適用されない。 |
【正解:○】平成11年・問21・肢4,平成13年・問21・肢4, ◆建ぺい率80%+防火地域内+耐火建築物 ⇒ 建ぺい率制限は適用されない 建ぺい率の限度が80%とされている区域内にあり,かつ,防火地域内にもある耐火建築物には,建ぺい率による制限は適用されません(建築基準法53条5項1号,1項2号〜4号)。 ●建ぺい率が80%になる用地地域
「この他の用途地域」や「用途地域の指定のない区域」では,建ぺい率が80%になることはありません。 |
2 建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該敷地の容積率の限度の算定に当たっては、当該敷地の前面道路の幅員は、当該延長及び前面道路の幅員を基に一定の計算により算定した数値だけ広いものとみなす。 |
【正解:○】初出題 ◆特定道路による容積率の緩和 (1)建築物の敷地〔特定道路側の境界線〕が,特定道路(幅員15m以上の道路)から70m以内にあり,かつ,(2)敷地の前面道路が幅員6m以上12m未満の場合 の容積率の限度の算定では, 前面道路の幅員を,一定の計算のもとに算定する数値だけ広いものとして※,前面道路による容積率計算をすることができます(建築基準法52条9項)。
前面道路の実際の幅員よりも一定数値だけ広くして前面道路による容積率を計算するのですから,その分だけ容積率は緩和されることになります。
※実際の幅員に,当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの。 |
3 容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。 |
【正解:×】平成11年・問21・肢2, ◆〔共同住宅〕共用廊下等の延べ面積不算入 建築物の容積率を算定する際の延べ面積には,共同住宅の共用の廊下または階段〔階段に代わる共用の斜面路も含む。〕の用に供する部分の床面積は,算入しません(建築基準法52条6項)。 共同住宅の共用の廊下として,マンションのエントランスルーム,エレベーターホールの床面積も延べ面積不算入の対象になりますが,エレベーターの面積は延べ面積に算入されるので注意してください。 ▼事務所・店舗などの非居住用部分がある複合用途のマンションの場合は,共用の廊下や階段のすべてが延べ面積不算入となるのではないことに注意。 |
4 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、当該許可の範囲内において建ぺい率による制限が緩和される。 |
【正解:○】初出題 ◆壁面線の指定がある場合の建ぺい率の緩和 「隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合」または「地区整備計画等として条例で定める壁面の位置の制限がある場合」は, 当該壁面線又は壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。)で,特定行政庁が安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は,その許可の範囲内で,建ぺい率の限度を超えることができます(建築基準法53条4項)。 ▼「隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合」または「地区整備計画等として条例で定める壁面の位置の制限がある場合」は,容積率の算定についても,緩和措置があります(建築基準法53条11項〜13項)。 ▼本肢の建ぺい率の緩和措置については,1000本ノックでも説明していました。 |