宅建業法 実戦篇

宅建業者の過去問アーカイブス 平成元年・問36 

免許換え・案内所等の届出・廃業等の届出


次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成元年・問36)

1.「県知事から免許を受けている宅地建物取引業者が,県内における事務所を廃止し,県内に新たに事務所を設置して,引き続き宅地建物取引業を営もうとする場合には,県知事に直接免許申請書を提出して,その免許を受けなければならない。」

2.「県知事から免許を受けている宅地建物取引業者が,新たに県内にも事務所を有することとなった場合には,当該事務所において事業を開始してから2週間以内に,国土交通大臣に免許申請書を提出しなければならない。」

3.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第50条第2項の規定により同法第15条第1項の国土交通省令で定める場所について届出をする場合には,国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に対して行わなければならない。」

4.「国土交通大臣の免許を受けている法人である宅地建物取引業者が合併により消滅した場合には,その法人を代表する役員であった者は,国土交通大臣及び事務所の所在地を管轄するすべての都道府県知事に,その旨を届け出なければならない。」

【正解】

× ×

1.「県知事から免許を受けている宅地建物取引業者が,県内における事務所を廃止し,県内に新たに事務所を設置して,引き続き宅地建物取引業を営もうとする場合には,県知事に直接免許申請書を提出して,その免許を受けなければならない。」

【正解:

◆免許換え−他の都道府県知事免許−

 他の都道府県知事免許に免許換えするときは,新たに免許を受けようとする都道府県知事に直接免許申請をします(宅建業法・7条1項2号,同2項,4条1項)

 本肢では,主たる事務所が県内に設置されるので,県知事に直接免許申請書を提出して,その免許を受けることになります。

都道府県知事は,免許換えによる免許をしたときは,遅滞なく,その旨を従前の免許権者に通知することになっています(宅建業法施行規則4条の5)

 KEY 

県内の事務所を全部廃止して,県内に新たに事務所を設置 

B県知事免許に免許換え

●法改正による正誤の変更
 肢1は,出題当時は誤りとして設定されました。しかし,その後の法改正により,正しい記述となったので,問題を改変せず,正解を○に変更しています。

2.「県知事から免許を受けている宅地建物取引業者が,新たに県内にも事務所を有することとなった場合には,当該事務所において事業を開始してから2週間以内に,国土交通大臣に免許申請書を提出しなければならない。」

【正解:×

◆免許換え−国土交通大臣免許−

 宅建業者は,営業保証金を供託した旨の届出をするか,保証協会に加入した後でなければ,事業を開始できないので,当該事務所において事業を開始してから2週間以内に,国土交通大臣に免許申請書を提出しなければならない。とする本肢は誤りです。

 免許換え    供託   供託した旨の届出

 ―――――――――●―

                 |→事業開始

 KEY 

 知事免許業者が他の都道府県に事務所を開設

国土交通大臣免許に免許換えしなければならない

営業保証金を供託して,供託した旨を届出※

事業の開始

 ※保証協会社員の場合は,保証協会が,弁済業務保証金分担金の納付を
  受けた日から1週間以内に供託所に供託し,当該社員に係る供託をした旨
  を免許権者に届け出る。

●免許換え

 県知事から免許を受けている宅地建物取引業者が,新たに県内にも事務所を有することとなった場合には,国土交通大臣免許への免許換えをしなければなりません(宅建業法・7条1項1号)

 国土交通大臣免許への免許換えは,『主たる事務所を管轄する都道府県知事』を経由して申請します(宅建業法・7条1項1号,同2項,4条1項,78条の3第1項)

 ⇒ 本肢では,主たる事務所の所在地が県のまま変わらないのならば県知事を経由して,主たる事務所の所在地が県に移るのならば県知事を経由して,国土交通大臣に免許を申請します。

国土交通大臣は,免許換えによる免許をしたときは,遅滞なく,その旨を従前の免許権者に通知することになっています(宅建業法施行規則4条の5)

3.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第50条第2項の規定により同法第15条第1項の国土交通省令で定める場所について届出をする場合には,国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に対して行わなければならない。」

【正解:

◆案内所等の届出

 国土交通大臣の免許を受けている宅建業者が,宅建業法50条2項の規定により契約行為等を行う案内所等について届出をする場合には,国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に対して,業務を開始する10日前までに,行わなければなりません(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)

 ただし,国土交通大臣への届出は,その届出に係る業務を行う場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して行います(宅建業法・50条2項,78条の3第2号)

 KEY 

            契約行為等を行う案内所等の届出 
                 ↓業務を開始する10日前までに
 免許権者当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に届出

県知事免許業者が,県内の契約行為等を行う案内所等の設置について届出をする場合は,県知事,県知事の双方に直接届け出ることに注意してください。

●50条2項の届出事項
  所在地,業務内容,業務を行う期間,専任の取引主任者の氏名
●事務所以外で専任の主任者の設置義務がある国土交通省令で定める場所
 事務所以外であっても,宅地建物の売買・交換の契約の締結,媒介代理契約の締結,契約の申込を受ける場所には,専任の取引主任者を置かなければならず(宅建業法・15条1項,施行規則・6条の2),以下の国土交通省令で定める場所を設置しようとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければいけません(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
一団の宅地建物の分譲を案内所を設置して行う場合の案内所
<他の宅建業者が行う一団の宅地建物の分譲>の代理又は媒介を
案内所を設置して行う場合の案内所
展示会その他これに類する催しを実施する場所

4.「国土交通大臣の免許を受けている法人である宅地建物取引業者が合併により消滅した場合には,その法人を代表する役員であった者は,国土交通大臣及び事務所の所在地を管轄するすべての都道府県知事に,その旨を届け出なければならない。」

【正解:×

合併による消滅

 宅建業者である法人が合併により消滅したときは,その日から30日以内に,消滅した法人を代表する役員であった者が,免許権者〔本肢では,国土交通大臣〕に,その旨の届出をしなければなりません(宅建業法・11条1項2号)

 本肢では,<国土交通大臣及び事務所の所在地を管轄するすべての都道府県知事>となっているので,誤りです。

   いつ届け出るか  誰が届け出るか
 宅建業者である法人が
 合併により消滅
 その日から30日以内  消滅した法人を代表する役員であった者

◆廃業等の届出

          ―  誰が届け出るか
 宅建業者であった個人が死亡したとき  その相続人
 合併により法人が消滅したとき  その法人を代表する役員であった者
 宅建業者が破産したとき  その破産管財人
 法人が合併・破産以外で解散したとき  その清算人
 宅建業を廃止したとき  宅建業者であった個人 または
 宅建業者であった法人を代表する役員

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