宅建業法 実戦篇

宅建業者の過去問アーカイブス 平成2年・問43 

業者死亡によるみなし業者・廃業等の届出・破産手続開始の決定の届出による免許失効


宅地建物取引業法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成2年・問43)

1.「甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者が死亡した場合,の一般承継人は,が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において,なお宅地建物取引業者とみなされる。」

2.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者B社と乙県知事の免許を受けている宅地建物取引業者社が合併し,社が消滅した場合,社を代表する役員であった者は,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

3.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者法人が設立許可の取り消しにより解散した場合,法人の清算人は,当該解散の日から60日以内に,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

4.「丙県知事の免許を受けている宅地建物取引業者が破産した場合,の免許は,当該破産手続開始の決定のときから,その効力を失う。」

【正解】

× × ×

1.「甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者が死亡した場合,の一般承継人は,が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において,なお宅地建物取引業者とみなされる。」

【正解:

◆取引を結了する目的の範囲内でのみなし宅建業者

 個人の宅建業者が死亡した場合,その相続人は,その事実を知った日から30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法11条1項1号)

 宅建業者の一般承継人〔本肢では相続人〕は,その宅建業者が死亡する前に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において,宅建業者とみなされます(宅建業法76条)

 このようにしないと死亡した宅建業者と契約を締結した相手方が困ってしまうからです。

●宅建業法76条
(免許の取消し等に伴う取引の結了)
第76条
 第3条第2項の有効期間が満了したとき、第11条第2項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第11条第1項第1号若しくは第2号に該当したとき、若しくは第25条第7項、第66条若しくは第67条第1項の規定により免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であつた者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。

2.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者社と乙県知事の免許を受けている宅地建物取引業者社が合併し,社が消滅した場合,社を代表する役員であった者は,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

【正解:×

◆合併による消滅

 宅建業者である法人が合併により消滅した場合,その法人を代表する役員であった者は,その日から30日以内に,その旨を<合併により消滅した法人の免許権者>に届け出なければなりません(宅建業法11条1項2号)

 本肢は<(吸収合併した宅建業者の免許権者である) 国土交通大臣に届出> となっているので,誤りです。

3.「国土交通大臣の免許を受けている宅地建物取引業者法人が設立許可の取り消しにより解散した場合,法人の清算人は,当該解散の日から60日以内に,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

【正解:×

◆法人が,合併・破産以外の理由で解散した場合

 法人が合併及び破産手続き開始の決定以外の理由で解散した場合,その清算人は,その日から30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法11条1項4号)

 本肢は,<解散の日から60日以内>となっているので,誤りです。

4.「丙県知事の免許を受けている宅地建物取引業者が破産した場合,の免許は,当該破産手続開始の決定のときから,その効力を失う。」

【正解:×

◆破産手続開始の決定があった場合,届出により免許はその効力を失う

 宅建業者について破産手続開始の決定があった場合,破産管財人が30日以内に免許権者にその旨の届出をしなければなりません(宅建業法11条1項3号)

 当該宅建業者の免許の効力は,その届出のあった日からその効力を失います(宅建業法11条2項)

 (また,この届出がなくても,その事実が判明したときは,免許権者は免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項7号)。)

 本肢は,<破産手続開始の決定のときから,その効力を失う>となっているので,誤りです。

 KEY 

 破産手続開始の決定を破産管財人が30日以内に届出

宅建業の免許は,届出があったときに,その効力を失う。

●届出があったときに,免許の効力がなくなる三つのケース (宅建業法11条2項)
・〔法人・個人〕破産手続開始の決定があった場合

・法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合

・〔法人・個人〕宅建業を廃止した場合

宅建業者の廃業等の届出 (宅建業法・11条)

   いつ届け出るか  届け出る人
 死亡した  事実を知った日から
 30日以内
 その相続人
 法人が合併により消滅  その日から30日以内  その法人を代表する役員
 であった者
 破産手続開始の決定があった  その破産管財人
 法人が合併・破産以外の理由で

 解散

 その清算人
 宅建業を廃止した  宅建業者であった個人

 法人を代表する役員

の届出があったとき,免許はその効力を失う。この届出がなくても,その事実が判明したとき
は,免許権者は免許を取り消さなければならない。


宅建業法の過去問アーカイブスに戻る  『宅建業者』の過去問アーカイブスに戻る

1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る  Brush Up! 宅建業者免許のトップに戻る

宅建過去問に戻る