宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 平成3年・問37 免許の要否・
宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成3年・問37) |
1.「甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが,乙県内に事務所を設置することなく,乙県の区域内で業務を行おうとする場合,国土交通大臣の免許を受けなければならない。」 |
2.「宅地建物取引業者である個人Bが宅地建物取引業を営む目的で株式会社Cを設立し,Bがその代表取締役となって業務を行う場合,株式会社Cは,宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。」 |
3.「宅地建物取引業者である個人Dが死亡し,その相続人EがDの所有していた土地を20区画に区分し,宅地として分譲する場合,相続人Eは,宅地建物取引業の免許を受けなければならない。」 |
4.「宅地建物取引業者である法人Fと宅地建物取引業者でない法人Gが合併し,法人Fが消滅した場合において,法人Gが法人Fの締結していた売買契約に基づくマンションの引渡しをしようとするときは,法人Gは,宅地建物取引業の免許を受けなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが,乙県内に事務所を設置することなく,乙県の区域内で業務を行おうとする場合,国土交通大臣の免許を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆業務を行う区域に制限はない 宅建業者は,知事免許・国土交通大臣免許に関係なく,他の都道府県内や全国で事務所を設置することなく業務を行うことができます。 免許を受けている都道府県知事の管轄の内外を問わず,国土交通省令で定める場所〔一団の宅地建物の分譲や展示会等〕で業務を開始する場合には,免許権者やその所在地を管轄する知事に届け出なければいけませんが(宅建業法50条2項), 知事免許業者が,他の都道府県内で業務をするためには国土交通大臣の免許を受けなければならないという規定はありません。
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2.「宅地建物取引業者である個人Bが宅地建物取引業を営む目的で株式会社Cを設立し,Bがその代表取締役となって業務を行う場合,株式会社Cは,宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。」 |
【正解:×】類・昭和55年・問40・肢2 ◆法人を設立して宅建業を営むには,新たに免許を受けなければならない 宅建業者である個人が,自らを代表者とする法人として宅建業を営む場合は,新たに法人についての免許を受けなければいけません。 個人免許と法人免許では,免許申請書の記載事項・添付書類,宅地建物取引業者名簿の登載事項で,一部異なるものがあります。 したがって,<免許を受ける必要はない。>とする本肢は誤りです。 ▼個人と法人 宅建業法での"個人"は<法人化していない業者>と捉えることができます。政令に定める使用人は法人の場合だけでなく,個人の場合にもあるとされていますから,条文中では"個人"となっていても,<使用人を全く置かず,一匹狼で営業する個人業者>のみを指しているわけではありません。 |
3.「宅地建物取引業者である個人Dが死亡し,その相続人EがDの所有していた土地を20区画に区分し,宅地として分譲する場合,相続人Eは,宅地建物取引業の免許を受けなければならない。」 |
【正解:○】類・平成17年・問30・肢4 ◆個人業者の死亡による免許の失効 個人業者が死亡した場合,免許は失効しますが,その相続人は,個人業者が死亡する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内であれば,なお宅建業者とみなされます(宅建業法76条)。 しかし,Eは,単に被相続人Dが所有していた土地を区画割して不特定多数の者に宅地として分譲するのですから,個人業者が死亡する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内でのものとはいえず,Dの有していた免許とは何の関係もありません。 したがって,Eの行為は宅建業に該当し,免許を受けなければなりません。 |
4.「宅地建物取引業者である法人Fと宅地建物取引業者でない法人Gが合併し,法人Fが消滅した場合において,法人Gが法人Fの締結していた売買契約に基づくマンションの引渡しをしようとするときは,法人Gは,宅地建物取引業の免許を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引を結了する範囲内でのみなし宅建業者 宅建業者である法人Fと宅建業者でない法人Gが合併し,法人Fが消滅した場合,法人Fを代表する役員であった者は30日以内に免許権者に届け出なければいけません(宅建業法11条1項2号)。 この場合に,法人Fの一般承継人である法人Gは,宅建業の免許がなくても,法人Fが合併により消滅する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内であれば,なお宅建業者とみなされます(宅建業法76条)。 したがって,法人Gは,法人Fが合併により消滅する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内であれば,宅地建物取引業の免許を受ける必要はありません。 |
●宅建業法76条 |
(免許の取消し等に伴う取引の結了) 第76条 第3条第2項の有効期間が満了したとき、第11条第2項の規定により免許が効力を失ったとき、又は宅地建物取引業者が第11条第1項第1号若しくは第2号に該当したとき、若しくは第25条第7項、第66条若しくは第67条第1項の規定により免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であつた者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。 |
【取引を結了する目的の範囲内でのみなし宅建業者】 ・免許の有効期間の満了 ・廃業等の届出〔破産手続開始の決定・法人の解散・廃止〕の届出があったことにより免許の効力が失われた場合 ・宅建業者の死亡 ・法人が合併により消滅 ・催告したにも係らず営業保証金を供託した旨の届出がない場合の任意的免許取消し ・66条又は67条1項の規定によ免許取消 |
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