宅建業法 実戦篇
事務所等の過去問アーカイブス 平成11年・問43 標識 (展示会場・案内所)
宅地建物取引業法に規定する標識に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成11年・問43) |
1.「複数の宅地建物取引業者が,業務に関し展示会を共同で実施する場合,その実施の場所に,すべての宅地建物取引業者が自己の標識を掲示しなければならない。」 |
2.「宅地建物取引業者は,一団の宅地の分譲を行う案内所で契約の締結を行わない場合,その案内所には標識を掲示しなくてもよい。」 |
3.「宅地建物取引業者は,一団の建物の分譲を,当該建物の所在する場所から約800m離れた駅前に案内所を設置して行う場合で,当該建物の所在する場所に標識を掲示したとき,案内所には標識を掲示する必要はない。」 |
4.「宅地建物取引業者の標識の様式及び記載事項は,その掲示する場所が契約の締結を行う案内所であれば,事務所と同一でなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「複数の宅地建物取引業者が,業務に関し展示会を共同で実施する場合,その実施の場所に,すべての宅地建物取引業者が自己の標識を掲示しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆複数の宅建業者が共同で実施する展示会場 複数の宅地建物取引業者が,業務に関し展示会を共同で実施する場合,その実施の場所に,契約行為を行うかどうかに関係なく,すべての宅地建物取引業者が自己の標識を掲示しなければなりません(宅建業法50条1項,施行規則6条の2第4号,19条第1項5号)。
▼専任の取引主任者は,契約行為等(契約の締結・契約の申込みの受理)を行う場所に設置義務があります。 |
2.「宅地建物取引業者は,一団の宅地の分譲を行う案内所で契約の締結を行わない場合,その案内所には標識を掲示しなくてもよい。」 |
【正解:×】 ◆契約行為等を行わない案内所 一団の宅地の分譲を行う案内所で契約の締結を行わない場合〔業務の態様が案内等である案内所〕でも,その案内所には標識を掲示しなければなりません。 ▼案内所は,契約行為等をおこなうかどうかによって,次の2つがあります。 ・その業務の態様が「契約の締結・契約の申込みの受理等」 (契約行為等を行う) ・その業務の態様が「案内等」 (契約行為等を行わない) ▼案内所では,標識に,「その場所での業務の内容」として,以下のものを記載します。 ・取り扱う宅地建物の内容〔名称と所在地〕 ・業務の態様の別 〔契約の締結・契約の申込みの受理等 or 案内等〕 |
3.「宅地建物取引業者は,一団の建物の分譲を,当該建物の所在する場所から約800m離れた駅前に案内所を設置して行う場合で,当該建物の所在する場所に標識を掲示したとき,案内所には標識を掲示する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆標識−「案内所」と「宅地建物の所在する場所」 宅建業者が一団の宅地建物の分譲を案内所を設置して行う場合は, ・当該宅地建物の所在する場所 ・案内所 〔契約行為等を行うかどうかに関係ない〕 の両方に標識を掲示しなければならないので,本肢は誤りです。 ●整理●
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4.「宅地建物取引業者の標識の様式及び記載事項は,その掲示する場所が契約の締結を行う案内所であれば,事務所と同一でなければならない。」 |
【正解:×】 ◆標識の様式・記載内容 宅地建物取引業者の標識の様式及び記載事項は,その掲示する場所の区分によって異なり,大別すると6種類になります(宅建業法50条1項,施行規則6条の2,16条の5,19条,別記様式9号〜11号の3)。 事務所,契約行為等を行う案内所,契約行為等を行わない案内所,一団の宅地建物の所在する場所の全てで,標識の様式・記載内容は同一ではないので,本肢は誤りです。
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●標識〔宅地建物取引業者票〕の記載事項について |
1) 専任の取引主任者の氏名 業務の内容のうち,業務の態様が「契約の締結・契約の申込みの受理等」である場所では,専任の取引主任者の氏名を記載しなければなりません。 業務の内容のうち,業務の態様が「案内等」である場所では,専任の取引主任者の氏名を記載する欄はありません。 2) 媒介代理をする場合の案内所 他の宅建業者が行う一団の宅地建物の分譲の媒介・代理をする場合の案内所では, ・業務の態様 ・取り扱う宅地建物の内容(名称・所在地) ・売主である宅建業者の商号または名称,免許証番号 を記載します。 3) 共通に記載するもの 免許証番号,免許有効期間,商号または名称,代表者氏名,主たる事務所の所在地(電話番号), |
●参考●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 (国土交通省) |
第15条第1項関係 (1) 規則第6条の2各号に掲げる場所における「契約の締結」について 本条各号に掲げる場所において、宅地建物の売買若しくは交換の契約又は宅地建物の売買、交換若しくは賃借の代理若しくは媒介の契約を締結する際には、当該場所で取り扱う物件について、契約を締結する権限の委任を受けた者を置くものであるか、又は契約締結権限を有する者が派遣されているものとする。 (2) 「契約の申込み」について 「契約の申込み」とは、契約を締結する意思を表示することをいい、物件の購入のための抽選の申込み等金銭の授受を伴わないものも含まれることとする。 (3) 規則第6条の2第1号関係 本号に該当する場所は、令第1条の2と同等程度の事務所としての物的施設を有してはいるが、宅地建物取引業に係る契約締結権限を有する者が置かれない場所であり、特定の物件の契約又は申込みの受付等を行う場所、特定のプロジェクトを実施するための現地の出張所等が該当し、不特定の物件の契約を行う等継続的に取引の相手方に対して契約締結権限を行使する者が置かれることとなる場合は、令第1条の2第2号に規定する「事務所」に該当するものとする。 (4) 規則第6条の2第4号関係 本号に該当する場所は、宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行う不動産フェア、宅地建物の買い換え・住み替えの相談会、住宅金融公庫融資付物件等のように一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会、売買契約の事務処理等を行う場所その他催しとして期間を限って開催されるものとする。 (5) その他 1 複数の宅地建物取引業者が設置する案内所について 同一の物件について、売主である宅地建物取引業者及び媒介又は代理を行う宅地建物取引業者が同一の場所において業務を行う場合には、いずれかの宅地建物取引業者が専任の取引主任者を1人以上置けば法第15条第1項の要件を満たすものとする。 なお、不動産フェア等複数の宅地建物取引業者が異なる物件を取り扱う場合には、各宅地建物取引業者ごとに1人以上の専任の取引主任者を置くものとする。 2 臨時に開設する案内所について 週末に取引主任者や契約締結権者が出張して申込みの受付や契約の締結を行う別荘の現地案内所等、週末にのみ営業を行うような場所についても、専任の取引主任者を置くものとする。 |
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