宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 平成12年・問30
事務所・免許権者・免許の基準(欠格要件)・免許証の返納義務
宅地建物取引業の免許 (以下「免許」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成12年・問30) |
1.「A社が,甲県に本店を,乙県に支店をそれぞれ有する場合で,乙県の支店のみで宅地建物取引業を営もうとするとき,A社は,乙県知事の免許を受けなければならない。」 |
2.「B社の政令で定める使用人が,かつて不正の手段により免許を受けたとして当該免許を取り消された場合で,その取消しの日から5年を経過していないとき,B社は,免許を受けることができない。」 |
3.「C社の取締役について,かつて破産手続開始の決定があった場合で,復権を得てから5年を経過していないとき,C社は,免許を受けることができない。」 |
4.「D社が,免許の更新の申請を怠り,その有効期間が満了した場合は,D社は,遅滞なく,免許証を返納しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「A社が,甲県に本店を,乙県に支店をそれぞれ有する場合で,乙県の支店のみで宅地建物取引業を営もうとするとき,A社は,乙県知事の免許を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆宅建業を営まない本店も,宅建業法上は"事務所"に該当する 本店で宅建業を営まず,支店で宅建業を営もうとする場合でも,本店は主たる事務所として宅建業法での事務所に該当します。 したがって,A社は,本肢の場合,2以上の都道府県の区域内に事務所を設置して事業を営むことになるので,国土交通大臣の免許を申請しなければなりません(宅建業法5条1項2号,7号)。 本肢は,宅建業を営む支店を管轄する乙県知事の免許を受けなければならないとしているので,誤りです。
▼本店で宅建業を営んでいなくても,本店は宅建業法上の事務所に該当するため,本店には,「営業保証金の供託義務」と「本店で宅建業に従事するものの数に応じた,専任の取引主任者の設置義務」があります。
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●宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 |
2 業務に従事する者の範囲について(規則第6条の3関係) 原則として、代表者、役員(非常勤の役員を除く。)及びすべての従業員等が含まれ、受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も対象となるが、宅地建物の取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者はこれに該当しないこととする。 (2) 他の業種を兼業している者の場合について 代表者、宅地建物取引業を担当する役員(非常勤の役員及び主として他の業種も担当し宅地建物取引業の業務の比重が小さい役員を除く。)及び宅地建物取引業の業務に従事する者が含まれ、宅地建物取引業を主として営む者にあっては、全体を統括する一般管理部門の職員も該当することとする。 |
2.「B社の政令で定める使用人が,かつて不正の手段により免許を受けたとして当該免許を取り消された場合で,その取消しの日から5年を経過していないとき,B社は,免許を受けることができない。」 |
【正解:○】 ◆免許の欠格要件−不正手段による免許取得等で免許取消 免許を申請する法人の役員・政令で定める使用人の中に,かつて不正手段による免許取得等で宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより免許を取り消されていた者がいる場合は,その取消の日から5年を経過しないと,その法人は免許を受けることができないので(宅建業法5条1項2号,7号),本肢は正しい記述です。 |
3.「C社の取締役について,かつて破産手続開始の決定があった場合で,復権を得てから5年を経過していないとき,C社は,免許を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆免許の欠格要件−破産手続開始の決定 免許を申請する法人の役員・政令で定める使用人の中に,破産手続開始の決定があり,復権を得ていない者がいる場合には,国土交通大臣または都道府県知事が免許をすることができない欠格要件に該当します(宅建業法5条1項1号,7号)。 しかし,すでに復権を得ている場合には,復権から5年を経過しなくても,復権すれば直ちに免許を受けることができるので,本肢は誤りです。 |
4.「D社が,免許の更新の申請を怠り,その有効期間が満了した場合は,D社は,遅滞なく,免許証を返納しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆有効期間の満了により失効した場合,免許証の返納義務はない 平成12年施行の改正により,<免許の更新の申請を怠り,その有効期間が満了して免許証が失効した場合に,免許証を返納する義務>はなくなったので,本肢は誤りです。
▼重要な改正点は,本肢のように,改正直後に出題されることがあるので,注意しましょう。 |
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