宅建業法 実戦篇
事務所等の過去問アーカイブス 平成14年・問36 総合問題
宅建業を行わない支店・営業保証金の供託・専任の取引主任者・クーリングオフ
宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という。) に規定する「事務所」に関する次の記述のうち,法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成14年・問36) |
1.「「事務所」とは、本店又は支店やその他の政令で定めるものを指すものであるが,宅地建物取引業を行わず他の兼業業務のみを行っている支店は「事務所」に含まれない。」 |
2.「新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は,免許を受ける前に営業保証金を主たる「事務所」のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
3.「宅地建物取引業者は,その「事務所」だけでなく国土交通省令で定める場所ごとに一定の専任の取引主任者を置かなければならないが,これに抵触することとなった場合は,2週間以内に必要な措置を執らなければならない。」 |
4.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買契約について,当該宅地建物取引業者の「事務所」において契約の申込み及び締結をした買主は,法37条の2の規定による売買契約の解除をすることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「「事務所」とは、本店又は支店やその他の政令で定めるものを指すものであるが,宅地建物取引業を行わず他の兼業業務のみを行っている支店は「事務所」に含まれない。」 |
【正解:○】 ◆事務所の定義 宅建業法での事務所とは,本店,支店その他の政令で定めるものをいいます(宅建業法3条1項)。 政令での事務所の定義は,次のようになっています。
本店で宅建業を営んでいなくても,本店(主たる事務所)は,宅建業法での事務所ですが,宅建業を行わず他の兼業業務のみを行っている支店は「事務所」に含まれません(太字部分,宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方・第3条第1項関係,国土交通省)。 |
●継続的に業務を行うことができる施設を有する場所 |
<継続的に業務を行うことができる施設を有する場所>は紛らわしいのですが,宅建業法では,次のように,分類されています。
●事務所 (施行令1条の2第2号) 専任の取引主任者〔従事者5人に1人以上〕の設置義務がある。 ⇒ クーリングオフできない場所。 契約締結権限を有する者が常駐している。 ●契約行為を行う出張所等 (施行規則6条の2第1号,16条の5第1号イ) 専任の取引主任者〔1名以上〕の設置義務がある。 ⇒ クーリングオフできない場所,設置に当たって,50条2項の届出を義務付けられている場所。 契約を締結し,又は,契約の申込を受ける場所。 ただし,当該場所で扱う物件について,契約締結権限を有する者が派遣されているか,委任を受けた者を置いている場所とする。(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方) 注意 不特定の物件の契約を行う等継続的に取引の相手方に対して契約締結権限を行使する者が置かれることとなる場合は,事務所に該当する。 ●契約行為等を行わない出張所等 (施行規則19条1項1号) 施行規則6条の2に規定する場所以外のもの。このため,契約行為等を行わない。 ⇒ クーリングオフできる場所 |
2.「新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は,免許を受ける前に営業保証金を主たる「事務所」のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆供託は,免許を受けた後 営業保証金の供託をするのは,免許を受けた後なので,本肢は誤りです。 宅建業者は,免許を取得した後に,主たる事務所のもよりの供託所に営業保証金を供託します(宅建業法25条1項)。。 |
3.「宅地建物取引業者は,その「事務所」だけでなく国土交通省令で定める場所ごとに一定の専任の取引主任者を置かなければならないが,これに抵触することとなった場合は,2週間以内に必要な措置を執らなければならない。」 |
【正解:○】 ◆法定設置数に抵触する場合は,2週間以内に補充する 宅建業者は,事務所には5人に1人以上,国土交通省令で定める場所〔契約行為等を行う出張所・案内所・展示会場〕には1名以上,専任の取引主任者を設置する義務があります(宅建業法15条1項,施行規則6条の2)。 これに抵触することとなった場合〔不足することになった場合〕は,2週間以内に必要な措置を執らなければいけません(宅建業法15条3項)。 |
4.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買契約について,当該宅地建物取引業者の「事務所」において契約の申込み及び締結をした買主は,法37条の2の規定による売買契約の解除をすることはできない。」 |
【正解:○】 ◆クーリングオフ適用の可否 宅建業者が自ら売主となる売買契約について,当該宅建業者の事務所等〔事務所及び国土交通省令で定める場所(施行規則16条の5)〕で,買受けの申込みや売買契約の締結をした買主は,クーリングオフの規定による解除をすることはできません。 |
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