宅建業法 実戦篇

監督処分の過去問アーカイブス 平成14年・問39 


宅地建物取引業者に対する監督処分に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成14年・問39)

1.「が,宅地建物取引業法の業務に関して,建築基準法の規定に違反して罰金に処せられた場合,これをもって業務停止処分を受けることはない。」

2.「は,自ら貸主となり,借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において,賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが,重要事項の説明を行わなかった場合,これをもって指示処分を受けることはない。」

3.「都道府県知事は,に対し,業務停止処分をしようとするときは,聴聞を行わなければならないが,指示処分をするときは,聴聞を行う必要はない。」

4.「の取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが,脱税し,所得税法に違反したとして罰金刑に処せられた場合,は指示処分を受けることがある。」

【正解】

× × ×

1.「が,宅地建物取引業法の業務に関して,建築基準法の規定に違反して罰金に処せられた場合,これをもって業務停止処分を受けることはない。」

【正解:×出題歴・平成4年・問49・肢1

◆他の法令に違反したとき

 宅建業者が,業務に関して,他の法令(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律及びこれに基づく命令を除く。)に違反し,宅建業者として不適当であると認められるときは,指示処分の対象になり,また免許権者は業務停止処分とすることもできるので,本肢は誤りです(宅建業法65条1項3号,2項1号の2)

2.「は,自ら貸主となり,借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において,賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが,重要事項の説明を行わなかった場合,これをもって指示処分を受けることはない。」

【正解:

◆自ら賃貸では,宅建業法は適用されない

 自ら貸借は宅建業には該当しないため,宅建業法は適用されません(宅建業法2条2号)

 したがって,自ら貸主となる賃貸借契約について,あらかじめ重要事項の説明を行わなくても,宅建業法に違反することはなく,本肢では,指示処分を受けることはありません。

3.「都道府県知事は,に対し,業務停止処分をしようとするときは,聴聞を行わなければならないが,指示処分をするときは,聴聞を行う必要はない。」

【正解:×

◆聴聞の特例

 免許権者は,免許取消処分だけでなく,指示処分や業務停止処分をしようとするときにも,聴聞を行わなければならないので(宅建業法69条1号),本肢は誤りです。

行政手続法13条1項では,行政庁がしようとする不利益処分によって,意見陳述のための手続は,<聴聞>または<弁明の機会の付与>をすることになっています(聴聞は,許認可を取り消そうとするときや,資格や地位を剥奪しようとするときのように重い処分を行おうとするときに義務付けられています。)

 しかし,宅建業法69条1項では,この区分によらず,免許権者は処分を行うときは聴聞を行わなければならないとしているのです。

4.「の取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが,脱税し,所得税法に違反したとして罰金刑に処せられた場合,は指示処分を受けることがある。」

【正解:×

◆役員が宅建業に関して他の法令に違反したとき

 都道府県知事は,その免許を受けた宅建業者,管轄する区域内で業務を行っている宅建業者(他の都道府県知事免許業者,国土交通大臣免許業者)に対して,<その宅建業者が,業務に関して,他の法令(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律及びこれに基づく命令を除く。)に違反し,宅建業者として不適当と認められるとき>は,必要な指示をすることができます(宅建業法65条1項3号,3項)

 しかし,業務に関するものでない場合は,指示処分を受けることはありません。

▼関連  法人の役員または政令で定める使用人のうちに5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるときは,その法人は,業務停止処分を受けることがあります(宅建業法65条2項7号)

●役員または政令で定める使用人
2   国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

七  法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。

八  個人である場合において、政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。


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