宅建業法 実戦篇

宅建業者の過去問アーカイブス 平成17年・問31 免許の欠格要件〔法人〕


宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(平成17年・問31)

1.「宅地建物取引業者社は、取締役が道路交通法に違反し、懲役1年執行猶予3年の刑に処せられたため、免許取消処分を受けた。が取締役を退任した後、社は改めて免許申請をしてもの執行猶予期間が経過するまで免許を受けることができない。」

2.「社の取締役が刑法第198条 (贈賄) の罪により罰金の刑に処せられ、その執行を終えてから3年を経過した場合であっても、社は免許を受けることができない。」

3.「社の取締役が、刑法第204条 (傷害) の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく、かつ猶予期間の満了の日から5年を経過しなければ、社は免許を受けることができない。」

4.「甲県知事の免許を受けている社の取締役が、刑法第208条 (暴行) の罪により罰金の刑に処せられた場合、社の免許は取り消される。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者社は、取締役が道路交通法に違反し、懲役1年執行猶予3年の刑に処せられたため、免許取消処分を受けた。が取締役を退任した後、社は改めて免許申請をしてもの執行猶予期間が経過するまで免許を受けることができない。」

【正解:×

◆法人の免許取消後の免許申請

 取締役が懲役1年執行猶予の刑を受けたために,社は免許取消しを受けています(宅建業法66条1項3号,5条1項3号)が引き続き取締役等支配力を有する者にとどまるならば,の執行猶予が満了するまでは免許を受けることができませんが(宅建業法5条1項3号,7号),本肢では,が取締役を退任しているので,社は改めて免許申請して免許を受けることができます。

 したがって,本肢は誤りです。

 KEY 

欠格要件に該当する役員・政令で定める使用人がいない 

〔法人〕 免許取消後の免許申請

2.「社の取締役が刑法第198条 (贈賄) の罪により罰金の刑に処せられ、その執行を終えてから3年を経過した場合であっても、社は免許を受けることができない。」

【正解:×

◆贈賄罪での罰金刑

 法人の役員が罰金刑に処せられても,暴行等の罪や宅建業法違反でのものでないかぎり,欠格要件には該当しません(宅建業法5条1項3号の2,7号)

 贈賄罪での罰金刑は免許の欠格要件には該当せず,社は免許を受けることができるので,本肢は誤りです。

 KEY 

贈賄罪での罰金刑 

免許の欠格要件には該当しない

宅建業者が業務に関して他の法令に違反した場合は,指示処分・業務停止処分・免許取消処分を受けることがありますが(宅建業法65条1項3号,同2項1号の2,66条1項9号),本肢ではそこまで考える必要はありません。

3.「社の取締役が、刑法第204条 (傷害) の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく、かつ猶予期間の満了の日から5年を経過しなければ、社は免許を受けることができない。」

【正解:×

◆執行猶予の満了

 社の取締役が,懲役1年執行猶予2年の刑に処せられていても,執行猶予期間が満了しているので,刑の言い渡しは効力を失っています

 したがって,社は免許を受けることができるので,本肢は誤りです。

 KEY 

執行猶予期間が満了 

免許の欠格要件に該当しない

禁錮以上の刑の執行が終わり5年を経過しない者が役員にいるときは,欠格要件になります。

4.「甲県知事の免許を受けている社の取締役が、刑法第208条 (暴行) の罪により罰金の刑に処せられた場合、社の免許は取り消される。」

【正解:

◆役員が暴行などにより罰金刑

 E社の取締役が暴行の罪により罰金の刑に処せられた場合,法人の欠格要件に該当し(宅建業法5条1項3号の2,7号),免許権者 (都道府県知事又は国土交通大臣) は社の免許を取り消さなければならないので(宅建業法66条1項3号),本肢は正しい記述です。


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