宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 昭和60年・問36 免許の基準(欠格要件)
宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和60年・問36) |
1.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが不正の手段により免許を取得したことが判明したので,昭和60年4月23日に聴聞の期日及び場所を公示し,同年5月7日に聴聞を行い,同月30日にBの免許を取り消した。この場合,Bの取締役を同年2月1日に退任したCは,Bの免許の取消しの日から5年間免許を受けることができない。」 |
2.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが業務停止処分事由に該当し,情状が特に重いと認められたので,昭和60年5月15日に免許の取消処分の聴聞の期日及び場所を公示したところ,当該処分を行う前の同月30日にBは相当の理由なく関連会社との合併により消滅した。この場合,Bの専任の取引主任者として同年2月28日まで勤務していたCは,Bが消滅した日から5年間免許を受けることができない。」 |
3.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが業務停止処分に違反したので,昭和60年6月1日に免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示をしたところ,聴聞を行う前の同月5日にBから相当の理由なく廃業の届出があった。この場合,Bの取締役を同年5月1日に退任したCは,廃業の届出があった日から5年間免許を受けることができない。」 |
4.「宅地建物取引業者Aの代表取締役Bは,昭和60年5月1日に公職選挙法違反により罰金10万円の刑に処せられた。この場合,Aの免許は取り消されるほか,B個人としてはもちろん,Bが取締役である法人も,Bが罰金の刑に処せられてから5年間免許を受けることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが不正の手段により免許を取得したことが判明したので,昭和60年4月23日に聴聞の期日及び場所を公示し,同年5月7日に聴聞を行い,同月30日にBの免許を取り消した。この場合,Bの取締役を同年2月1日に退任したCは,Bの免許の取消しの日から5年間免許を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆宅建業法に違反し,聴聞の上,免許取消処分になった法人の役員だった者 聴聞の期日・場所 聴聞 Bの免許の取消 <宅建業法に違反して免許取消処分になった法人で,その免許の取消処分の聴聞の期日・場所の公示日前の60日以内に役員であった者>は,その法人が免許を取り消された日から5年を経過しなければ免許を受けることができません(宅建業法・5条・1項・2号)。 また,その法人が免許を取り消された日から5年を経過しなければ取引主任者の登録を受けることもできません(宅建業法・19条・1項・4号)。〔その法人の役員だったときに,取引主任者であった者は登録が消除される(宅建業法・68条の2・第1項・第1号)。〕
▼聴聞の上,免許取消になった法人の<政令で定める使用人だった者>が,個人で宅建業の免許を申請するときには,欠格事由には該当しない。 |
●法人の欠格事由 | ||
聴聞の期日・場所 聴聞 免許の取消 60日前
▼聴聞の上,免許取消になった法人の<政令で定める使用人だった者>が役員・政令で定める使用人になっている法人は,欠格事由にはならない。 |
2.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが業務停止処分事由に該当し,情状が特に重いと認められたので,昭和60年5月15日に免許の取消処分の聴聞の期日及び場所を公示したところ,当該処分を行う前の同月30日にBは相当の理由なく関連会社との合併により消滅した。この場合,Bの専任の取引主任者として同年2月28日まで勤務していたCは,Bが消滅した日から5年間免許を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆聴聞の公示日後に,相当な理由なく,合併により消滅した法人の役員 聴聞の期日・場所 合併により消滅 60日前 5/15 5/30 <免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示があった後に,処分をするかしないか決定する日までの間に,相当な理由なく『合併・解散・廃業の届出>があった法人(宅建業者)で,その免許の取消処分の聴聞の期日・場所の公示日前の60日以内に役員であった者>は,その法人の消滅又は廃業の届出の日から5年を経過しなければ免許を受けることができません(宅建業法・5条・1項・2号の3)。 本肢では,<消滅した法人で専任の取引主任者であった者>なので,この欠格要件の規定には該当しません。したがって,本肢は誤りです。
▼聴聞の公示日の後,処分が決まる日までの間に,相当な理由なく『合併・解散・廃業の届出>があった法人の<政令で定める使用人だった者>が,個人で宅建業の免許を申請するときには,欠格事由には該当しない。 |
●法人の欠格事由 | ||
聴聞の期日・場所 合併により消滅 60日前
▼聴聞の公示日の後,処分が決まる日までの間に,相当な理由なく『合併・解散・廃業の届出>があった法人の<政令で定める使用人だった者>が役員・政令で定める使用人になっている法人は,欠格事由にはならない。 |
3.「A県知事は,宅地建物取引業者Bが業務停止処分に違反したので,昭和60年6月1日に免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示をしたところ,聴聞を行う前の同月5日にBから相当の理由なく廃業の届出があった。この場合,Bの取締役を同年5月1日に退任したCは,廃業の届出があった日から5年間免許を受けることができない。」 |
【正解:○】 ◆公示日後に,相当な理由なく,廃業の届出をした法人の役員 聴聞の期日・場所 廃業の届出 処分決定 60日前 6/1 6/5 <免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示があった後に,処分をするかしないか決定する日までの間に,相当な理由なく『合併・解散・廃業の届出>があった法人(宅建業者)で,その免許の取消処分の聴聞の期日・場所の公示日前の60日以内に役員であった者>は,その法人の消滅又は廃業の届出の日から5年を経過しなければ免許を受けることができません(宅建業法・5条・1項・2号の3・)。 肢2と肢3は,ワンセットにして対比すると,整理しやすい問題です。
▼聴聞の公示日の後,処分が決まる日までの間に,相当な理由なく『合併・解散・廃業の届出>があった法人の<政令で定める使用人だった者>が,個人で宅建業の免許を申請するときには,欠格事由には該当しない。 |
4.「宅地建物取引業者Aの代表取締役Bは,昭和60年5月1日に公職選挙法違反により罰金10万円の刑に処せられた。この場合,Aの免許は取り消されるほか,B個人としてはもちろん,Bが取締役である法人も,Bが罰金の刑に処せられてから5年間免許を受けることはできない。」 |
【正解:×】 ◆罰金刑で欠格要件になるものとならないものの区別 宅建業法,刑法〔傷害,現場助勢,暴行,凶器準備集合及び結集,脅迫,背任〕,暴力行為等処罰に関する法律,暴力団による不当な行為の防止等の法律によって罰金刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は,欠格要件に該当し,<その者>や<その者が役員・政令で定める使用人になっている法人>は,免許を受けることができませんが(宅建業法・5条1項3号の2,7号), 公職選挙法によって罰金刑に処せられた場合は,この欠格要件には該当しません。 |
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