宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 昭和60年・問42 変更の届出・案内所等の届出・
専任主任者の補充の変更の届出・死亡の届出
Aは,B県知事の免許を受けている宅地建物取引業者である。この場合のB県知事への届出に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法違反となるものはどれか。(昭和60年・問42) |
1.「Aは,B県内に事務所を新設したので,設置してから10日後に変更の届出を行った。」 |
2.「Aは,20戸の一団の建物の分譲を案内所を設置して行うことになったので,分譲開始10日後にその旨の届出を行った。 註 この場合の案内所は,契約を締結し,又は申込を受けるものとする。」 |
3.「Aは,専任の取引主任者が不在となったので,その7日後に新たな専任の取引主任者を設置し,さらにその3日後に変更の届出を行った。」 |
4.「Aが死亡したため,その相続人であるCは,その事実を知った日の2週間後にその旨の届出を行った。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反しない | 違反する | 違反しない | 違反しない |
1.「Aは,B県内に事務所を新設したので,設置してから10日後に変更の届出を行った。」 |
【正解:違反しない】 ◆変更の届出 宅建業者Aは,B県知事の免許を受けている宅建業者なので,B県内に事務所を新設したときは,30日以内に,B県知事に変更の届出をしなければなりません(宅建業法・9条,8条2項5号)。設置してから10日後ならば違反しません。
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●変更の届出 をしなければならないもの |
・商号又は名称 ・<法人である場合>その役員の氏名,政令で定める使用人があるときは,その者の氏名 ・<個人である場合>その者の氏名,政令で定める使用人があるときは,その者の氏名 ・事務所の名称及び所在地 ・事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引主任者の氏名 |
2.「Aは,20戸の一団の建物の分譲を案内所を設置して行うことになったので,分譲開始10日後にその旨の届出を行った。 註 この場合の案内所は,契約を締結し,又は申込を受けるものとする。」 |
【正解:違反する】 ◆案内所を設置して一団の宅地・建物を分譲する場合の案内所の設置の届出 <分譲開始10日後にその旨の届出を行った。>というのが,宅建業法の規定に違反します。 事務所以外の<専任の取引主任者の設置義務のある国土交通省令で定める場所>〔契約行為等を行う案内所等〕についても,免許権者及び案内所等の所在地を管轄する都道府県知事が把握・監督する必要があります。 そのため,専任の取引主任者の設置義務のある案内所等を設置しようとする場合には,業務を開始する日の10日前までに,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事及び免許権者に所定の事項の届出をしなければいけません(宅建業法・50条2項,施行規則19条3項)。<国土交通大臣が免許権者であるとき,国土交通大臣への届出は,案内所等の所在地を管轄する都道府県知事を経由して行います。>(宅建業法・78条の3第2項) 本肢では,どこに案内所を設置するのか問題文では指定がありませんが,契約行為等を行う案内所等は,免許を受けている都道府県の区域内で設置する場合にも届出が必要であり,免許を受けていない他の都道府県に設置する場合にのみ,50条2項の届出が必要なわけではありません。
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●事務所以外で専任の主任者の設置義務がある国土交通省令で定める場所 | ||||
事務所以外であっても,宅地建物の売買・交換の契約の締結,媒介代理契約の締結,契約の申込を受ける場所には,専任の取引主任者を置かなければいけません。(宅建業法・15条1項,施行規則・6条の2)
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(法第15条第1項 の国土交通省令で定める場所) 第6条の2 法第15条第1項 の国土交通省令で定める場所は、次に掲げるもので、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。以下この項において同じ。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。 一 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの 二 宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この条、第16条の5及び第19条第1項において「一団の宅地建物の分譲」という。)を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所 三 他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所 四 宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合にあつては、これらの催しを実施する場所 |
3.「Aは,専任の取引主任者が不在となったので,その7日後に新たな専任の取引主任者を設置し,さらにその3日後に変更の届出を行った。」 |
【正解:違反しない】 ◆専任の取引主任者の欠員 ⇒ 2週間以内に補充, 専任の取引主任者の氏名の変更 ⇒ 30日以内に変更の届出 本肢では【専任の主任者が不在となった】とあるので,一瞬マゴツきますが,<不在=いなくなった,専任の主任者の設置数が従事者5人に1人以上の法定設置数を満たさなくなった>と解すれば,<専任の取引主任者数に不足が生じたときは2週間以内に補充しなければならない>規定のこと(宅建業法・15条3項)を訊ねているのだなとわかります。 また,専任の取引主任者が変更になったときは,30日以内に変更の届出をしなければなりませんでした(宅建業法・9条,8条2項6号)。 本肢では,欠員が生じた7日後に新たな専任の取引主任者を設置し,またその3日後に変更の届出を行っているので,宅建業法・15条3項,9条のいずれにも,違反しません。 |
4.「Aが死亡したため,その相続人であるCは,その事実を知った日の2週間後にその旨の届出を行った。」 |
【正解:違反しない】 ◆宅建業者の死亡 宅建業者が死亡したときは,その事実を相続人が知った日から30日以内に,相続人がその旨の届出をしなければなりません(宅建業法・11条1項1号)。 本肢では,2週間後に届け出ているので,違反しません。 ●死亡 (宅建業法・11条1項1号,21条1号)
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●宅建業者の廃業等の届出 (宅建業法・11条)
いつ届け出るか | 届け出る人 | |
死亡した | 事実を知った日から 30日以内 |
その相続人 |
法人が合併により消滅 | その日から30日以内 | その法人を代表する役員 であった者 |
破産手続開始の決定があった※ | その破産管財人 | |
法人が合併・破産以外の理由で
解散※ |
その清算人 | |
宅建業を廃止した※ | 宅建業者であった個人
法人を代表する役員 |
※の届出があったとき,免許はその効力を失う。この届出がなくても,その事実が判明したとき
は,免許権者は免許を取り消さなければならない。
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