宅建業法 実戦篇
媒介契約・自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和62年・問46
媒介契約の有効期間・クーリングオフ・割賦販売契約の契約の解除等の制限・
重要事項の説明
宅地建物取引業法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和62年・問46) |
1.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介に際し,依頼者と専任媒介契約を締結した。このとき,当該専任媒介契約の有効期間を4ヵ月とした場合には,宅地建物取引業法第34条の2第3項の規定に違反し無効なので,期間の定めのないものとされる。」 |
2.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買において,宅地建物取引業者でない買主が現地付近のホテルの客室での買受けの申込みをした場合,当該買主は宅地建物取引業者よりその申込みの撤回ができる旨及び申込みの撤回の方法について告げられた日から起算して7日間は申込みの撤回ができる。」 |
3.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の割賦販売の契約において,宅地建物取引業者でない買主が賦払金の支払の義務を履行しなかった場合,当該宅地建物取引業者は30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し,その期間内にその義務の履行がなされないときでなければ,賦払金の支払の遅滞を理由として当該売買契約を解除することはできない。」 |
4.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介をして売主と買主との間で売買契約が成立した場合には,当該宅地建物取引業者は売買契約締結後遅滞なく,当該宅地の買主に対し,取引主任者をして宅地建物取引業法第35条第1項に定める重要事項の説明をさせなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介に際し,依頼者と専任媒介契約を締結した。このとき,当該専任媒介契約の有効期間を4ヵ月とした場合には,宅地建物取引業法第34条の2第3項の規定に違反し無効なので,期間の定めのないものとされる。」 |
【正解:×】 ◆専任媒介契約の有効期間は3ヵ月 専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3月を超えることはできず,これより長い期間を定めても,有効期間は3月になります(宅建業法34条の2第3項)。 つまり,3月より長い有効期間を定めたときは,3月を超える期間について無効であるのにとどまり,その媒介契約そのものがすべて無効になるわけではありません。 <無効なので,期間の定めのないものとされる>とする本肢は誤りです。
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2.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買において,宅地建物取引業者でない買主が現地付近のホテルの客室での買受けの申込みをした場合,当該買主は宅地建物取引業者よりその申込みの撤回ができる旨及び申込みの撤回の方法について告げられた日から起算して7日間は申込みの撤回ができる。」 |
【正解:×】 ◆クーリングオフができるのは,告げられた日から起算して8日間 買受けの申込場所が現地付近のホテルの客室であり,<事務所等以外>に該当するので,買主は宅建業者よりその申込みの撤回ができる旨及び申込みの撤回の方法について書面を交付して告げられた日から起算して8日間は申込みの撤回ができる(宅建業法37条の2第1項第1号)ので,<7日間>とする本肢は誤りです。
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●参考●クーリングオフの可否 | |||||||||||
【原則】クーリング・オフの可否は,場所・時期・履行の三つで考えます。 買受けの申込場所と契約締結の場所が異なる場合は,申込場所でクーリングオフの可否を判断します。
次の場合は,申込場所等に関係なく,クーリングオフをすることができません。 ・引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払った場合 ・クーリングオフの説明を受けた日から起算して8日を経過した場合 |
3.「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の割賦販売の契約において,宅地建物取引業者でない買主が賦払金の支払の義務を履行しなかった場合,当該宅地建物取引業者は30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し,その期間内にその義務の履行がなされないときでなければ,賦払金の支払の遅滞を理由として当該売買契約を解除することはできない。」 |
【正解:○】 ◆割賦販売契約の解除の制限 自ら売主となる宅地建物の割賦販売の契約で,宅建業者でない買主が賦払金の支払の義務を履行しなかった場合,宅建業者は30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し,その期間内にその義務の履行がなされないときでなければ,賦払金の支払の遅滞を理由として当該売買契約を解除することはできない(宅建業法42条1項)ので,正しい記述です。
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4.「宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介をして売主と買主との間で売買契約が成立した場合には,当該宅地建物取引業者は売買契約締結後遅滞なく,当該宅地の買主に対し,取引主任者をして宅地建物取引業法第35条第1項に定める重要事項の説明をさせなければならない。」 |
【正解:×】 ◆重要事項の説明時期は,契約成立前 重要事項の説明は契約が成立するまでの間に,書面を交付して取引主任者にさせなければならない(宅建業法35条第1項)。ので,<売買契約締結後遅滞なく>とする本肢は誤りです。
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