宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 昭和63年・問43
手付金の額の制限・重要事項の説明・手付金等の保全措置
宅地建物取引業者Aは,自ら売主として建築工事完了前のマンションを宅地建物取引業者でないBに売却する契約を締結した。売買代金について手付金等を受領しようとする場合における宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和63年・問43) |
1.「Aは,Bが支払う手付金等について保全措置を講ずることとなるので,契約締結の際,売買代金の額の30パーセントの額の手付を受領することができる。」 |
2.「手付金等の保全措置の概要は,宅地建物取引業法第37条に規定する書面に記載しなければならない事項ではないが,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項として説明しなければならない。」 |
3.「手付金等として売買代金の額の20パーセントを受領した場合の手付金等の保全措置は,売買代金の額の5パーセントを超える部分である15パーセントについてのみ行えばよい。」 |
4.「Aが銀行等との間において,保証委託契約を締結して手付金等の保全措置を講じるときは,Aは,銀行等が手付金等の返還義務を連帯してBに対し保証することを約する書面に,宅地建物取引主任者をして記名押印させなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Aは,Bが支払う手付金等について保全措置を講ずることとなるので,契約締結の際,売買代金の額の30パーセントの額の手付を受領することができる。」 |
【正解:×】 ◆手附の額の制限 宅建業者は,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結する際に,手付金等の保全措置を講じていても,手附としては代金の額の20%を超える額を受領することはできないので,誤りです(宅建業法39条1項)。
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2.「手付金等の保全措置の概要は,宅地建物取引業法第37条に規定する書面に記載しなければならない事項ではないが,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項として説明しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆手付金等の保全措置の概要 手付金等の保全措置の概要は,35条に規定する重要事項として説明しなければなりません(宅建業法35条1項10号)が,37条書面の記載事項ではないので,正しい記述です。
▼支払金または預かり金の保全措置等の有無も,重要事項で説明しなければなりません。(宅建業法35条1項11号,施行規則16条の3)。これについても,37条書面の記載事項にはなっていません。
⇒ 「受領する額が50万円未満のもの」,「手付金等」,「売主・交換の当事者である宅建業者が登記以後に受領するもの」,「報酬」については,支払金・預り金の保全措置等を講じるかどうかやその概要を重要事項として説明する必要はありません。 |
3.「手付金等として売買代金の額の20パーセントを受領した場合の手付金等の保全措置は,売買代金の額の5パーセントを超える部分である15パーセントについてのみ行えばよい。」 |
【正解:×】 ◆手付金等は,その全額について保全措置を講じる 本問題での物件は,建築工事完了前のマンションで未完成物件ですから,手付金等を受領しようとするときに,手附・中間金の合計が5%または1,000万円を超える場合には,その全額について保全措置を講じなければいけません(宅建業法41条1項)。 本肢では,5%を超える部分についてのみ保全措置を講じればよいとしているので誤りです。 |
4.「Aが銀行等との間において,保証委託契約を締結して手付金等の保全措置を講じるときは,Aは,銀行等が手付金等の返還義務を連帯してBに対し保証することを約する書面に,宅地建物取引主任者をして記名押印させなければならない。」 |
【正解:×】 ◆銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面 未完成物件での保全措置の方法には,(i) 銀行等との保証委託契約,(ii) 保険事業者との保証保険契約の2つがあり,宅建業者が銀行等との保証委託契約を締結した場合には,当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付しなければなりません(宅建業法41条1項1号)。 しかし,買主に交付する上記の書面に取引主任者をして記名押印させるという規定はないので,本肢は誤りです。 |
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