宅建業法
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限 33条の2
他人物売買の禁止(2)
次の記述は,宅地建物取引業法の規定によれば,○か×か。 |
1.宅地建物取引業者AがBから土地を取得して,宅地に造成し,自ら売主となって,Cに分譲する場合において,AB間の売買契約が締結されても,土地の引渡しがすむまでの間は,Aは,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。(平成5年・問39・肢3) |
2.Dの所有地について,宅地建物取引業者Aが,Dと売買契約を締結し,その売買代金完済の前に,自ら売主となって宅地建物取引業者でないEと売買契約を締結した場合,Aの行為は宅地建物取引業法に違反する。(平成3年・問42・肢2) |
3.I の所有する宅地について,宅地建物取引業者Aは I と停止条件付で取得する売買契約を締結し,その条件が成就する前に当該物件についてJと売買契約を締結した。Aの行為は宅地建物取引業法に違反しない。(平成17年・問35・肢4) |
4.宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,B所有の宅地(造成工事完了後)をCに売却しようとしている。Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがCから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは,AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず,Aは,Cと売買契約を締結できる。(平成9年・問45・肢4) |
5.宅地建物取引業者は,いかなる場合も売主の所有に属しない建物の売買の媒介をしてはならない。(昭和57年・問46・肢4) |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | × | × | × | × |
1.宅地建物取引業者AがBから土地を取得して,宅地に造成し,自ら売主となって,Cに分譲する場合において,AB間の売買契約が締結されても,土地の引渡しがすむまでの間は,Aは,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。(平成5年・問39・肢3) |
【正解:×】 ◆売買契約を締結していれば,引渡しがすんでいなくても売ることができる AB間の売買契約が締結されていれば,土地の引渡しがすんでいなくても,Aは,宅建業者でないCと,売買契約を締結できます(宅建業法33条の2第1号)。 |
2.Dの所有地について,宅地建物取引業者Aが,Dと売買契約を締結し,その売買代金完済の前に,自ら売主となって宅地建物取引業者でないEと売買契約を締結した場合,Aの行為は宅地建物取引業法に違反する。(平成3年・問42・肢2) |
【正解:×】 ◆取得する契約が締結されていれば,売買代金完済前でもよい
DA間で売買契約が締結されていれば,代金完済前であっても,宅建業者Aは宅建業者でないEと売買契約を締結することができるので,宅建業法には違反しません。 |
3.I の所有する宅地について,宅地建物取引業者Aは I と停止条件付で取得する売買契約を締結し,その条件が成就する前に当該物件についてJと売買契約を締結した。Aの行為は宅地建物取引業法に違反しない。(平成17年・問35・肢4) |
【正解:×】 ◆停止条件付契約を締結して,条件成就前に売却 I ――――――――― A(宅建業者) ―― J [Aは条件成就前に売却] 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていても,その契約が停止条件付であり,条件の成就する前であるときは,Aがその土地を取得することは確定していないので,宅建業者でない者と売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2)。 したがって,本肢の場合,Aは,宅建業法に違反します。 ▼停止条件付売買契約を締結した場合であっても,停止条件が成就しているのであれば,自ら売主として,宅建業者でない者と売買契約を締結することができます。 |
4.宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,B所有の宅地(造成工事完了後)をCに売却しようとしている。Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがCから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは,AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず,Aは,Cと売買契約を締結できる。(平成9年・問45・肢4) |
【正解:×】 ◆手付金等保全措置は関係ない
手付金等保全措置を講じていても,AB間で当該宅地の譲渡に関する契約〔予約を含み,停止条件付のものを除く。〕が締結されていなければ,Aは,自ら売主として,宅建業者でないCと売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1号)。 |
5.宅地建物取引業者は,いかなる場合も売主の所有に属しない建物の売買の媒介をしてはならない。(昭和57年・問46・肢4) |
【正解:×】 ◆媒介では禁止されていない 宅建業者が自ら売主となる場合では,他人物や未完成物件(建築確認などを受けている場合)の売買契約の締結は原則として禁止されていますが,宅建業者ではない者が売主の場合の媒介や代理は禁止されていません。(宅建業法・33条の2) 宅建業者ではない 宅建業者ではない \ / 宅建業者 (媒介) ▼問題がある物件(売主が当該宅地または建物を取得できないことが明らかな場合)の売買を媒介・代理する場合は,当然のことながら監督処分の対象になりますが,他人物や未完成物件の売買契約の全ての媒介・代理が禁止されているわけではありません。 |
●業務処理の原則 31条1項 |
(業務処理の原則) 第31条 宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない。 |
宅建業者が,業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき,又は損害を与えるおそれが大であるときは,免許権者は,指示処分,業務停止処分(情状が特に重いときは免許取消し)をすることができます(65条1項,2項)。 また,免許権者ではない都道府県知事も,その管轄する区域内で業務を行う宅建業者が,<業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき,又は損害を与えるおそれが大であるとき>は,指示処分,業務停止処分をすることができます(65条3項,4項)。 |
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