税法その他 実戦篇

住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 平成11年・問48 


住宅金融公庫の貸付金に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (平成11年・問48)

1.「住宅の建設のための貸付金の利率は,当該貸付けに係る住宅の床面積によって異なることがある。」

2.「住宅の改良のための貸付金の1戸当たりの金額の限度は,改良後の住宅の構造又は設備によって異なることがある。」

3.「災害復興住宅の建設のための貸付金の据置期間は,当該災害復興住宅の償還期間によって異なることがある。」

4.「住宅を建設して賃貸する事業を行う者に係る貸付金の償還は,割賦償還の方法によらないことがある。」

【正解】

×

1.「住宅の建設のための貸付金の利率は,当該貸付けに係る住宅の床面積によって異なることがある。」

【正解:昭和56年,昭和59年,平成6年,平成11年,

◆床面積による利率の違い

 貸付金の利率は次の表のように,区分に応じて定めています。(住宅金融公庫法・21条1項・表1項)

 ― 当初期間 当初期間後
住宅の構造その他の主務省令で定める事項について
主務省令で定める基準に適合する住宅
5.5%以内 7.5%以内
上記以外の住宅 6.5%以内

 ※各区分の利率は,その範囲内で公庫が定める率になっている。

 貸付金の利率は,この範囲内で,住宅の建設・購入が促進されるように,公庫が決定します。現在の公庫の融資では,住宅を購入する場合の貸付金の利率は,床面積・バリアフリー・省エネルギー・住宅の性能・築年数・購入価額・貸付を受ける者の収入によっても異なっています。

当初期間」・・・貸付けの日から起算して10年を経過する日までの期間

2.「住宅の改良のための貸付金の1戸当たりの金額の限度は,改良後の住宅の構造又は設備によって異なることがある。」

【正解:

◆改良のための貸付金の限度額

 住宅の改良のための貸付金の一戸当たりの金額の限度は,原則として,住宅の改良に要する費用の額の8割に相当する金額ですが,改良に必要な金額が政令で定める金額を超えるときは,改良後の住宅の構造又は設備によって当該政令で定める金額になっています。(住宅金融公庫法・20条・4項)

 具体的には,政策誘導型のリフォーム<バリアフリー,省エネルギー,シックハウス対策,長期耐用改修工事,積雪対応住宅工事>,耐震改修工事,歴史・文化承継住宅工事では1,000万円が限度で,それ以外のリフォームでは530万円と,貸付限度額が異なっているので,<改良後の住宅の構造又は設備によって異なることがある。>とする本肢は正しい記述です。(住宅金融公庫法施行令・6条の2)

住宅の改良に要する費用・・・マンション等の特定建築物の共用部分の改良に要する費用では,当該共用部分の改良に要する費用のうち,当該特定建築物に占める住宅部分の割合に対応するもの

●住宅金融公庫法施行令
第6条の2  法第20条第4項 に規定する政令で定める金額は、次に掲げる貸付金にあつては1,000万円、その他の貸付金にあつては530万円とする。

一  改良後の住宅がその構造又は設備について次に掲げる基準として公庫の定める基準のいずれかに適合することを主たる目的とする住宅の改良(ニに掲げる基準として公庫の定める基準に適合することを主たる目的とするものにあつては、豪雪地帯対策特別措置法 (昭和37年法律第73号)第2条第1項 の規定により指定された豪雪地帯において行われるものに限る。)に係る貸付金

イ 高齢者又は身体障害者が日常生活を支障なく営むための基準
ロ エネルギーの使用の合理化に関する基準
ハ 耐久性又は地震に対する安全性に関する基準
ニ 積雪対策に関する基準
ホ 居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する基準

二  建造物群と周囲の環境とが一体となって良好な歴史的景観を形成している地区として公庫が定める地区において、改良後の住宅がその構造又は設備について当該地区ごとに公庫が定める歴史的景観を保存するための基準に適合することを主たる目的とする住宅の改良に係る貸付金

●改良についての貸付金の限度・利率・償還期間

【貸付限度額】〔改良での貸付限度額の違い〕平成11年・問48・肢2

【貸付の利率】〔改良と建設する場合の比較〕平成4年・問31・肢2

【貸付金の最長償還期間】〔改良の貸付金の償還期間は所得によって異ならない〕平成14年・問46・肢2

3.「災害復興住宅の建設のための貸付金の据置期間は,当該災害復興住宅の償還期間によって異なることがある。」

【正解:×〔災害復興住宅の出題〕平成7年,11年,16年

◆災害復興住宅の貸付金の据置期間

 災害復興住宅の建設・購入のための貸付金の償還期間を3年以内延長し,かつ,貸付の日から起算して3年以内の据置期間を設けることができます(住宅金融公庫法・21条の2第1項)

 <当該災害復興住宅の償還期間によって異なることがある>とする本肢は誤りです。

4.「住宅を建設して賃貸する事業を行う者に係る貸付金の償還は,割賦償還の方法によらないことがある。」

【正解:平成4年,8年,11年,15年

◆割賦償還以外の償還方法

 住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還ですが,別の方法によることもできます。

・賃貸住宅(平成11年)や分譲住宅(平成8年)の建設,宅地造成,相当の住宅部分を有する一定の耐火建築物の建設に必要な資金の貸付金の償還は、割賦償還の方法によらないことができる。(住宅金融公庫法21条の4第1項)

・公庫から貸付けを受けた者(包括承継人を含む。)は、貸付金の弁済期日が到来する前に、貸付金額の全部又は一部の償還をすることができる。(平成4年)(住宅金融公庫法21条の4第2項)

・マンションなどの一定の合理的土地利用耐火建築物等が過半の住宅部分を有しているもので建替え等に係るものについては,主務省令で定める年齢以上 (60歳以上) の高齢者が自ら居住する住宅部分に係るものの償還については,当該高齢者の死亡時に一括償還をする方法によることができます。(平成15年)(住宅金融公庫法21条の5,17条第11項・第12項,施行規則2条の18)


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