税法その他 実戦篇

住宅金融公庫法の過去問アーカイブス 平成14年・問46 


住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成14年・問46)

1.「住宅金融公庫の貸付けを受けて建設した賃貸住宅の家賃設定については,上限額の制限がない。」

2.「住宅の改良のための貸付金の償還期間は,当該貸付けを受ける者の所得によって異なる。」

3.「住宅金融公庫は,元利金の支払方法の変更を行う者から,手数料を徴収することができない。」

4.「住宅金融公庫は,貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかったとき,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができる。」

【正解】

× × ×

1.「住宅金融公庫の貸付けを受けて建設した賃貸住宅の家賃設定については,上限額の制限がない。」

【正解:×昭和57年,62年,平成2年,14年,

◆家賃の設定−主務大臣が定める額

 家賃は,主務大臣が定める額を超えて,家賃の額を契約し,又は受領することはできないので,<上限額の制限がない。>とする本肢は誤りです。

賃借人の資格、賃借人の選定方法
その他賃貸の条件
主務省令で定める基準に従い、
賃貸しなければならない。
家賃 主務大臣が定める額を超えて、
当該貸付金に係る住宅の家賃の額を契約し、
又は受領することができない。
敷金等 家賃の三月分を超えない額の敷金は受領できるが,
権利金、謝金等の金品を受領することはできない

(住宅金融公庫法・35条・1項,2項,住宅金融公庫法施行規則・10条・1項)

2.「住宅の改良のための貸付金の償還期間は,当該貸付けを受ける者の所得によって異なる。」

【正解:×(参考) 平成4年・問31・肢2

償還期間は所得によって異なることはない

 住宅の改良に係る貸付金の償還期間は,貸付を受ける者の所得によって異なるということはないので,本肢は誤りです。

住宅の改良に係る貸付金の償還期間 20年以内

住宅の改良資金の貸付では,貸付利率所得・工事内容・面積によって異なることがあります。

住宅の建設と改良での貸付利率の違い

 住宅の改良に係る貸付金利と住宅の建設の貸付金利とは,住宅金融公庫法では,区分していますが,範囲としては特に変わりがありません。しかし,実際に住宅金融公庫で貸し付ける際の利率は公庫の決定にゆだねられており,現在,公庫では,建設と改良は異なる金利になっています。

 個人への住宅改良資金の貸付についての利率(住宅金融公庫法・21条1項・表4項)

  当初期間 当初期間後
一般の改良 6.5%以内で公庫の定める率 7.5%以内で公庫の定める率
優良住宅改良 5.5%以内で公庫の定める率

 優良住宅改良・・・改良後の住宅が住宅の構造その他の主務省令で定める事項について主務省令で定める基準に適合することを主たる目的とする住宅の改良

●改良についての貸付金の限度・利率・償還期間

【貸付限度額】〔改良での貸付限度額の違い〕平成11年・問48・肢2

【貸付の利率】〔改良と建設する場合の比較〕平成4年・問31・肢2

【貸付金の最長償還期間】〔改良の貸付金の償還期間は所得によって異ならない〕平成14年・問46・肢2,

3.「住宅金融公庫は,元利金の支払方法の変更を行う者から,手数料を徴収することができない。」

【正解:×平成9年,14年

◆支払い方法変更手数料

 住宅金融公庫は,その貸付けに係る元利金の支払方法の変更を行う者から,その変更に際して必要な事務に要する費用の額を超えない範囲内において政令で定める額の支払方法変更手数料を徴収することができます。(住宅金融公庫法・22条の4第2項)

4.「住宅金融公庫は,貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかったとき,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができる。」

【正解:昭和54年,61年,63年,平成2年,6年,8年,10年,14年,

◆繰上げ償還  

  住宅金融公庫の貸付金の償還は,原則として,割賦償還です。しかし,次のいずれかに該当する場合,住宅金融公庫は,貸付けを受けた者に対し,貸付金の弁済期日が到来する前に,貸付金についていつでも償還を請求することができます。(住宅金融公庫法21条の4・3項)

1 貸付けを受けた者が6月以上割賦金の償還をしなかつたとき,又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。

2 貸付けを受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅、土地その他の不動産に係る租税その他の公課を滞納したとき。

3 貸付けを受けた者が貸付金貸付けの目的以外の目的に使用したとき

4 貸付金に係る住宅、土地その他の不動産、借地権を他人に譲渡したとき

5 貸付金に係る住宅が貸付けの際定められた用途以外の用途に供せられたとき

6 貸付けを受けた者が正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき等。

上記により貸付金の償還を請求したにもかかわらず,償還をなすべき者が償還を怠った場合,公庫は,当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行することになります。(住宅金融公庫法21条の4・4項)


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