宅建1000本ノック
  改正法一問一答2004 

都市計画法・建築基準法 国立大学法人・接道義務についての制限の付加 


次の記述は,○か×か。

1.「建築物の敷地が,接道義務(2m以上)を満たしていても,その道路が2項道路のうち,特定行政庁より中心線からの水平距離が2m未満1.35m以上の範囲内で指定された道路の場合,地方公共団体は,交通上,安全上,防火上又は衛生上必要があると認めるときは,敷地,構造,建築設備又は用途に関して条例で必要な制限を付加することができる。」

2.「国立大学法人法による国立大学法人が大学の建築を目的として行う開発行為の場合,国が行う開発行為とみなされ,開発許可は常に不要である。」

3.「国立大学法人法による国立大学法人が市街化調整区域のうち開発許可を受けていない区域において大学の校舎の建築を行う場合は,都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市の区域内は当該市の長〕の許可が必要となる。」

【正解】

×

1.「建築物の敷地が,接道義務(2m以上)を満たしていても,その道路が2項道路のうち,特定行政庁より中心線からの水平距離が2m未満1.35m以上の範囲内で指定された道路の場合,地方公共団体は,交通上,安全上,防火上又は衛生上必要があると認めるときは,敷地,構造,建築設備又は用途に関して条例で必要な制限を付加することができる。」▼建築基準法

【正解:接道義務についての制限の付加の条文確認

◆接道義務についての制限の付加は2種類ある

 接道義務については,建築物の用途又は規模の特殊性により,地方公共団体が条例で制限の付加をすることができるという規定がこれまでありました。(43条第2項)

 「密集市街地整備法」の改正に伴い,今回追加されたのは,2項道路に建築物の敷地が2m以上接しているときに,その2項道路が一定のもの(特定行政庁より中心線からの水平距離が2m未満1.35m以上の範囲内で指定された道路)の場合は,地方公共団体が条例で制限の付加をすることができるとした規定です。(43条の2)

建築物が,接道義務(2m以上)を満たしていても,その道路が2項道路のうち,特定行政庁より中心線からの水平距離が2m未満1.35m以上の範囲内で指定された道路の場合,地方公共団体は,交通上,安全上,防火上又は衛生上必要があると認めるときは,敷地,構造,建築設備又は用途に関して条例で必要な制限を付加することができる。(建築基準法・第43条の2)

 まとめると以下のようになります。

接道義務についての制限の付加〔制限内容の違いについても要注意!〕

 地方公共団体は,条例で,以下の場合に,制限を付加することができる。

 (i)  建築物の用途又は規模の特殊性による−その敷地又は建築物と道路との関係についての制限

 (ii) 特定行政庁より中心線からの水平距離が(2m未満1.35m以上の範囲内で)指定された2項道路に接するとき−建築物の敷地,構造,建築設備又は用途についての制限 

改正に関連するものについても出題される可能性があるので,下記にまとめました。よく整理しておいてください。

●2項道路−基礎知識の確認
・建築基準法の都市計画区域及び準都市計画区域内の規定が適用されるに至った際に現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で,特定行政庁の指定したものは,道路とみなす。(42条第2項)

■2項道路での道路の境界線

【原則】その中心線からの水平距離2m特定行政庁により幅員6mと指定された区域内においては3m。ただし,この場合でも特定行政庁が周囲の状況により避難・通行の安全上支障がないと認める場合は2m)の線をその道路の境界線とみなす(42条第2項)

【例外】特定行政庁は,土地の状況によりやむを得ない場合,中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において,別にその水平距離を指定することができる。(42条第3項)

【参考】当該道がその中心線からの水平距離2m未満でがけ地,川,線路敷地その他これらに類するものに沿う場合は,当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離4mの線その道路の境界線とみなす。(42条第2項)
 
⇒特定行政庁は,土地の状況によりやむを得ない場合,がけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内で,別にその水平距離を指定することができる。(42条第3項)

●接道義務−基礎知識の確認
 建築物の敷地は,道路(自動車のみの交通の用に供する道路や一定の特定高架道路等を除く。)に2m以上接しなければならない

 ただし,その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては,この限りでない。(43条第1項)

■必要な制限の付加

 地方公共団体は,建築物の用途又は規模の特殊性により,

・特殊建築物,
・階数が3以上である建築物,
・政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物
・延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物

などの敷地が接しなければならない道路の幅員その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係について,条例で,必要な制限を付加することができる。(43条第2項)

2.「国立大学法人法による国立大学法人が大学の建築を目的として行う開発行為の場合,国が行う開発行為とみなされ,開発許可は常に不要である。」▼都市計画法

【正解:×国立大学法人

◆大学の建築の目的の場合は,原則として開発許可が必要

【平成16年の変更点】
  国立大学は,国立大学法人が設置することになったため,国立大学法人が大学の建築を目的として行う開発行為は,国の行う開発行為とはみなされず区域や規模によって開発許可が必要になりました。〔国立大学法人法施行令・附則17条(平成15年12月3日政令第478号)(平成16年4月1日施行)〕

    ◇私立大学・国立大学法人等の開発行為 → 開発許可が必要

ただし,国立大学法人等が行おうとする「附属病院や附属学校の建設のための開発行為」については,病院や学校は公益上必要な施設のため,従来どおり開発許可は不要。(都市計画法29条1項3号)

 公益上必要な建築物である学校の建築の用に供する目的で行う開発行為は開発許可は不要ですが,大学・専修学校・各種学校は開発許可の上では学校としては扱わないとされているため,大学の建築を目的として行う開発行為には,原則として開発許可が必要です。(都市計画法29条1項3号,国立大学法人法・施行令・附則17条)

 ただし,大学でも,都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村が設置した公立大学の開発行為の場合は,

    <国・都道府県・指定都市・中核市・特例市・事務処理市町村が行う開発行
     為は開発許可は不要>

 とされているために,開発許可は不要です。

3.「国立大学法人法による国立大学法人が市街化調整区域のうち開発許可を受けていない区域において大学の校舎の建築を行う場合は,都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市の区域内は当該市の長〕の許可が必要となる。」▼都市計画法

【正解:

◆市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内

 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内では,土地の造成を伴わずに建築物が建築されるのを防ぐために,原則として,都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市の区域内は当該市の長〕の許可なしに,「建築物の建築,改築,用途変更」や「第一種特定工作物の新設」(第二種特定工作物は除く)をすることはできません(都市計画法43条1項)

 ただし,以下の場合は許可は要りません。

 ・公益上必要な建築物や施設の新築や,改築し,用途変更して公益上必要な建築物や施設にすること

 ・農林漁業の用に供する建築物またはこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の新築や,改築し,用途変更してそれらの建築物にすること,

 ・都道府県・指定都市・特例市・中核市・事務処理市町村などの地方公共団体が行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設

 ・都市計画事業の施行として行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設

 ・非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設

 ・仮設建築物の新築

市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内で,国立大学法人が建築物を建築する場合,国の行うものとはみなされず,都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市の区域内は当該市の長〕の許可が必要になりました。(都市計画法43条)

 国立大学法人法の施行により,肢2,肢3のようにこれまでと扱いが変わったものがあります。ただ,これは都市計画法や建築基準法に改正があったということではなく,国立大学法人法の施行令などの規定によります。(扱いが従来と同じものもあり,一律に変わったわけではありません。)

 このページの予想問題では,過去問に関連するもののみを扱いました。国立大学法人については,肢2,肢3について見ておけば十分だと思われます。→過去問データ

●建築基準法・国立大学法人等を国とみなして準用するため従来どおりの扱い

 国立大学法人法・施行令・第22条10号参照 (国立大学法人等を国とみなして,規定を準用する。 )

・建築基準法第18条(同法第87条第1項 、第87条の2、第88条第1項から第3項まで及び第90条第3項において準用する場合を含む。)〔国,都道府県,建築主事を置く市町村の建築物に対する確認,検査又は是正措置に対する特例〕

 ⇒ 国立大学法人等には,建築確認(6条から7条の6まで),違反建築物・保安上危険または衛生上有害な建築物に対する措置(9条から10条まで),工事中の特殊建築物に対する措置(90条の2)の規定は適用しない。

国立大学法人等が建築基準法6条1項の規定によって建築し,又は大規模の修繕もしくは大規模の模様替をしようとする場合は,当該工事に着手する前に,その計画を建築主事に通知しなければならない。(18条1項)

●宅地造成等規制法・国立大学法人等を国とみなして準用するため従来どおりの扱い
国立大学法人法・施行令・第22条24号参照 (国立大学法人等を国とみなして,規定を準用する。 )

国立大学法人等が宅地造成工事規制区域内で行う造成工事については,従来どおり許可は不要で,都道府県知事等との協議の成立をもって足ります。(宅地造成等規制法11条)


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