平成13年度 管理業務主任者本試験

問題と解答

民法(5問)/標準管理委託契約書(3問)/会計(7問)


◆民法

【問 1】 契約類型の説明に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、

誤っているのはどれか。

1 委任契約とは、一定の事務を処理することを委託する契約で、原則として報酬の

  ある有償、双務契約であるが、特約があれば報酬のない無償、片務契約とすることも

  できる。

2 請負契約とは、一定の仕事を完成することを約し、相手方が仕事の結果に対して

  報酬を支払うことを約することによって成立する契約である。

3 諾成契約とは、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約である。

4 片務契約とは、一方だけが義務を負い、相手がこれに対応する義務を負わない

  契約である。

【問 2】 債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、

誤っているのはどれか。

1 債務不履行のうち、履行遅滞とは、債務者が債務の履行が可能であるにもかかわら

  ず、履行期に履行しないことをいう。

2 債務不履行のうち、不完全履行とは、債務者が債務の履行として給付をしたが、そ

  の給付が債務の本旨に反して不完全であることをいう。

3 履行遅滞があった場合に、債権者は、債務者に対して損害賠償請求をすることは

  できるが、契約の解除をすることはできない。

4 履行不能があった場合に、債権者は、債務者に対して損害賠償請求をすることも、

  契約の解除をすることもできる。

【問 3】 委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいもの

はどれか。

1 受任者は、委任者の請求があっても、そのつど委任事務処理の状況を報告する

  必要はなく、委任終了後に報告すれば足りる。 

2 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求が

  あれば、費用を前払いしなければならない。

3 委任契約は、相手方の不利な時期には解除することはできない。

4 委任者又は受任者が、委任契約を解除した場合は、必ず相手方に生じた損害を

  賠償しなければならない。

【問 4】 管理業者(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年

法律第149号。以下「マンション適正化法」という。)第2条第8号に規定するマン

ション管理業者をいう。以下同じ。)が、管理委託契約に基づいて業務を行う際

善管注意義務(「善良なる管理者としての注意義務」をいう。以下本問において

じ。)に関する次の記述のうち、民法の委任の規定によれば、誤っているものは

どれか。

1 管理業者は、管理委託契約に特約をした場合にのみ善管注意義務を負う。

2 管理業者の善管注意義務とは、管理業者として一般的、平均的に要求される

  程度の注意義務である。

3 管理業者は、受託業務に対する報酬の有無にかかわらず善管注意義務を負う。

4 管理業者は、臨時に雇用した者がその職務について善管注意義務に違反した

  場合には債務不履行責任を負う。

【問 5】 管理業者の不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定に

よれば、正しいものはどれか。

1 管理業者が、管理組合(マンション管理適正化法第2条第3号に規定する管理組合

をいう。以下同じ。)と管理委託契約を締結している場合は、債務不履行責任を負うこと

はあつても、不法行為責任を負うことはない。

2 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して

損害を加えた場合、原則として使用者責任を負う。

3 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その業務の執行につき第三者に対して

損害を加えた場合、当該個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負わなけれ

ばならない。

4 管理業者は、自らが雇用している管理員が、その職務と全く無関係に行った私生活

上の行為により第三者に損害が発生したときは、使用者責任を負わなければならない。

◆標準管理委託契約書

【問 6】 中高層共同住宅標準管理委託契約書(昭和57年住宅宅地審議会答申

。以下「標準管理委託契約書」という。)に関する次の記述のうち、適切なものは

どれか。

1 標準管理委託契約書では、管理業者は、管理組合の指示に基づいて行った業務

  及び管理業者の申出にかかわらず管理組合が承認しなかった事項に関しては、責

  任を負わない。

2 マンション管理適正化法は、管理業者が管理組合と管理委託契約を締結するに

  当たっては、標準管理委託契約書を使用することを義務づけている。

3 標準管理委託契約書では、委託業務のなかに防犯等の警備業務が含まれている。

4 標準管理委託契約書では、委託業務のなかに清掃業務は含まれていない。

【問 7】 標準管理委託契約書の定めに関する次の記述のうち、最も適切なもの

どれか。

1 管理業者は、委託業務を行うマンション(マンション管理適正化法第2条第1号に

  規定するものをいう。以下同じ。)について滅失、き損、瑕疵等の事実を知った場合

  においては、速やかに、その状況を管理組合に通知しなければならないが、管理

  組合は、当該事実を知った場合においては、管理業者にその状況を速やかに通知

  する必要はない。

2 管理業者は、委託業務を行うために必要がある場合であっても、管理組合の組合員

  の専有部分又は専用使用部分に立ち入ることはできない。

3 管理業者は、出納業務を行う場合において、管理組合の組合員に対し未収納金の

  督促を行っても収納することができないときは、その責めを免れることはできない。

4 管理業者は、管理組合の事業年度開始前に、管理組合に対し、委託業務を行う

  ために必要な費用の見積りを提示し、その承認を受けなければならない。

【問 8】 標準管理委託契約書第12条第1項は、管理業者が、委託業務を行う

ために必要なときは、管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者に

対し、管理組合に代わって、一定の行為の中止を求めることができる旨を定めて

いるが、次の行為のうち、同条項の各号に定められていないものはどれか。

1 建物の保存に有害な行為

2 委託業務の適正な遂行に著しく有害な行為

3 組合員の共同の利益に反する行為

4 管理組合の承諾を得ないで専有部分を賃貸する行為

◆会計

【問 9】 マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び建物の

区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下、「区分所有法」という。)

等の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理組合は、中古マンションの買主に対し、前区分所有者の滞納管理費を請求する

  ことはできるが、その遅延損害金を請求することはできない。

2 管理組合は、相続人に対し、被相続人である前区分所有者の滞納管理費とその遅延

  損害金を請求することができる。

3 管理費の遅延損害金については、利息制限法(昭和29年法律第100号)が適用される。

4 管理組合は、管理規約に管理費の遅延損害金の定めのない場合は、遅延損害金を

  請求することができない。

【問 10】 民事訴訟法(平成8年法律第109号)「少額訴訟に関する特則」

関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 原告である管理組合が、管理費の滞納額の一括払いを望んでも、裁判所は判決の

  言い渡しの日から3年を超えない範囲内で、滞納額の分割払いの判決を言い渡す

  ことができる。

2 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にする必要は

  ない。

3 管理費の滞納額を請求する管理組合は、管理費を50万円滞納している者に対し、

  その全額について少額訴訟の訴えを提起することができる。

4 少額訴訟においては、原則として1回の期日だけで審理を終了し、その後1ヶ月後に

  判決の言い渡しをするものとされている。

【問 11 管理組合の税務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1 法人税法(昭和40年法律第34号)上、法人格のない管理組合は、公益法人と同様の

  取扱いがなされている。

2 法人税法上、管理組合法人(区分所有法第47条第1項に規定する管理組合法人)

  は、株式会社と同様の扱いがなされている。

3 管理組合の収入となる管理費及び特別修繕費を管理組合が徴収する場合、当該

  収入は消費税の課税対象となる。

4 管理組合の課税期間に係る基準期間における課税売上高が5,000万円の場合は、

  消費税の納税義務は免除される。

【問 12 管理組合の会計に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 管理組合の会計は、予算と決算を対比し差異を分析することによって、予算執行の

  評価をすることに重きをおいている。

2 企業会計原則の「一般原則」は、その多くが管理組合の会計においても適用されて

  いる。

3 管理組合の会計においては、目的に応じた会計処理を行うべきであり、管理規約等

  において管理組合の会計処理方針を明確に定めておくことが望ましい。

4 管理組合の会計も、営利企業の会計と同様に損益を計算することを目的としている。

【問 13】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい

勘定科目の仕訳はどれか。ただし、管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の

3月31日とし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の

原則によつて経理しているものとする。

  (取引)

 平成13年3月に、平成13年4月分の管理費等のうち、管理費300万円、特別

修繕費30万円を徴収し、普通預金に預け入れた。

                                 (単位 : 円)

1  (借方)                    (貸方)

   普通預金      3,300,000 |    前受金      3,300,000

2  (借方)                    (貸方)

   前受金       3,300,000   |    普通預金     3,300,000

3  (借方)                    (貸方)

   普通預金      3,300,000   |    管理費収入   3,000,000

                            特別修繕費収入  300,000

4  (借方)                    (貸方)

   管理費収入     3,000,000   |    普通預金      3,300,000

   特別修繕費収入    300,000

【問 14】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい

勘定科目の仕訳はどれか。ただし、管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の

3月31日とし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の

原則によつて経理しているものとする。

  (取引)

 マンションの大規模修繕を行うために、金融機関から3,000万円を借り入れ、

普通預金に預け入れた。

                                 (単位 : 円)

1  (借方)                    (貸方)

   修繕積立金    30,000,000   |    借入金      30,000,000

2  (借方)                    (貸方)

   借入金       30,000,000   |    普通預金     30,000,000

3  (借方)                    (貸方)

   借入金       30,000,000   |    修繕積立金   30,000,000

                           

4  (借方)                    (貸方)

   普通預金      30,000,000   |    借入金      30,000,000

   

【問 15】 管理組合の活動による次の取引に関し、取引が発生したときの正しい

勘定科目の仕訳はどれか。ただし、管理組合の会計年度は、4月1日から翌年の

3月31日とし、期中の取引において、企業会計原則に基づき厳格に発生主義の

原則によつて経理しているものとする。

  (取引)

 平成13年4月に、平成13年3月分の管理費の未収入金5万円を回収し、普通

預金に預け入れた。

                                 (単位 : 円)

1  (借方)                    (貸方)

   普通預金       50,000   |    管理費収入      50,000

2  (借方)                    (貸方)

   管理費収入      50,000   |    普通預金        50,000

3  (借方)                    (貸方)

   普通預金       50,000   |    未収入金        50,000

4  (借方)                    (貸方)

   未収入金       50,000   |    普通預金         50,000


【正解】

1 3 2 1 2

10
1 4 4 2 1

11 12 13 14 15
1 4 1 4 3

●平成13年度・管理業務主任者試験
委託管理・民法・会計(問1〜問15),設備・諸法令・修繕計画(問16〜問30)区分所有法・売買(問31〜問45)管理適正化法(問46〜問50)

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