法令上の制限 基礎編
都市計画法(概容)に関する問題5
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 3 | 4 |
× | × | ○ | ○ | × |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「市街地開発事業に関する都市計画は、すべて都道府県が定めることとされて
おり、市町村は定めることはできない。」
【正解:×】 市街地開発事業に関する都市計画のうち、以下の四つは、市町村が定めることになっています。(都市計画法・15条1項6号、施行令10条) 政令で定める小規模な土地区画整理事業(施行区域の面積が50 ha以下)、 市街地再開発事業(施行区域の面積が3 ha 以下) 住宅街区整備事業(施行区域の面積が20 ha 以下) 防災街区整備事業(施行区域の面積が3 ha 以下) ▼市街地開発事業(土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業及び防災街区整備事業にあつては、政令で定める大規模なものであつて、国の機関又は都道府県が施行すると見込まれるものに限る)に関する都市計画 は都道府県が定める。(都市計画法・15条1項6号) |
●都市計画法 施行令 10条 |
第十条 法第十五条第一項第六号 の政令で定める大規模な土地区画整理事業、市街地再開発事業及び住宅街区整備事業は、それぞれ次に掲げるものとする。 一 土地区画整理法 (昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業で施行区域の面積が五十ヘクタールを超えるもの 二 都市再開発法 (昭和四十四年法律第三十八号)による市街地再開発事業で施行区域の面積が三ヘクタールを超えるもの 三 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 (昭和五十年法律第六十七号)による住宅街区整備事業で施行区域の面積が二十ヘクタールを超えるもの 四 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律 (平成九年法律第四十九号。以下「密集市街地整備法」という。)による防災街区整備事業で施行区域の面積が三ヘクタールを超えるもの |
●密集法の改正 |
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律が改正され、平成15年12月19日に施行されました。 ■改正法の主な内容 1. 都市計画の地域地区である「特定防災街区整備地区」の創設 |
2.「市街地開発事業は、市街化区域または区域区分が定められていない都市計画
区域内において一体的に開発・整備する必要がある土地の区域について
定めるものであるが、必要に応じて市街化調整区域にも定めることができる。」★
【正解:×】 市街地開発事業は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内(非線引き区域)において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について都市計画で定められます。 (13条1項12号)
◆市街地開発事業の種類 ア.土地区画整理事業 イ.新住宅市街地開発事業 ウ.工業団地造成事業 エ.市街地再開発事業 オ.新都市基盤整備事業 カ.住宅街区整備事業 キ.防災街区整備事業 |
3.「都市計画において予定区域制度とは、地方公共団体等の公的機関が将
来市街地開発事業等を施行するための制度であり、促進区域制度とはできる
限り速やかに民間の自主的な開発がなされることを期待し、地方公共団体が
誘導・援助する制度である。」
【正解:○】 設問の記述の通りです。
⇒ 予定区域の都市計画を告示した日から3年以内に本来の都市計画〔当該市街地開発事業等予定区域に係る市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画〕を定めなければいけません。(都市計画法・12条の2第4項) もしこの間に本来の都市計画が定められないときは、将来に向かって予定区域の都市計画はその効力を失うことになります。(都市計画法・12条の2第5項)したがって、この期間内に本来の都市計画をまとめなければいけないので規制も厳しいものになっています。(都市計画法・52条の2)
⇒ 区域内の関係者等により、一定期間内〔事業によって2年・5年など異なる〕に事業が施行されないときは、地方公共団体等(市町村等)が事業を施行することになります。 |
4.「土地区画整理事業については、種類、名称、施行区域及び施行区域の面積の
ほか、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項を、都市計画に定めるものとする。」
(昭和55-19-3)
【正解:○】 ◆市街地開発事業のうちの土地区画整理事業 都市計画区域について、都市計画には、土地区画整理事業・新住宅市街地開発事業・市街地再開発事業・新都市基盤整備事業・住宅街区整備事業・防災街区整備事業・工業団地造成事業を定めることができます(都市計画法12条1項)。 ▼都市計画に定めるもの 市街地開発事業には、市街地開発事業の種類、名称、施行区域を定めますが、施行区域の面積については定めるよう努めることになっています(法12条2項)が、土地区画整理事業ではこれに加えて、公共施設の配置及び宅地の整備に関する事項 も定めることになっています。(法12条3項)
|
5.「市街地開発事業の施行区域内において、建築物の建築をしようとする者は、都道
府県知事等の許可を受けなければならないが、市街地開発事業のうち、土地区画整理
事業の施行区域についてはこの限りではない。」(昭和56-19-1) 類・昭和62-17-2
【正解:×】 ◆市街地開発事業のうちの土地区画整理事業 都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域内での建築は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を受けなければなりません。(都市計画法53条1項) 本設問では、市街地開発事業のうち、土地区画整理事業の施行区域について例外規定があるかどうか問うていますが、土地区画整理事業の施行区域でも都道府県知事等の許可を受けなければいけません。 |
≪市街地開発事業とは何?≫(第12条第1項)
◆新開発事業 → 予定区域(第12条の2第1項) ・新住宅市街地開発事業(昭和60年・問27・肢1に出題歴) ・工業団地造成事業 ・新都市基盤整備事業 ◆再開発事業 → 促進区域(第10条の2) ・土地区画整理事業 ・市街地再開発事業〔第一種(権利変換)・第二種(買収)〕(昭和63年・問33・肢2に出題歴) ・住宅街区整備事業(昭和63年・問33・肢1に出題歴) ※このほかに、「防災街区整備事業」がある。「防災街区整備事業」では予定区域・促進区域の規定はない。 |
●「都市計画事業」の意味
認可または承認を受けて行われる 市街地開発事業と都市計画施設を整備する事業を合わせて、 都市計画事業といいます。(都市計画法・4条・15項) |
●促進区域 |
第10条の2(促進区域) 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる区域を定めることができる。
一.都市再開発法第7条第1項の規定による市街地再開発促進区域 二.大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第9条第1項の規定による土地区画整理促進区域 三.大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第24条第1項の規定による住宅街区整備促進区域 四.地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律第19条第1項の規定による拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域 2 促進区域については、促進区域の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項のほか、別に法律で定める事項を都市計画に定めるものとする。→施行令・第4条の2 3 促進区域内における建築物の建築その他の行為に関する制限については、別に法律で定める。 |
●市街地開発事業等予定区域 |
第12条の2(市街地開発事業等予定区域) 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる予定区域を定めることができる。
一.新住宅市街地開発事業の予定区域 二.工業団地造成事業の予定区域 三.新都市基盤整備事業の予定区域 四.区域の面積が20ヘクタール以上の一団地の住宅施設の予定区域 五.一団地の官公庁施設の予定区域 六.流通業務団地の予定区域 |