法令上の制限 実戦篇

諸法令の過去問アーカイブス 昭和59年・問28


次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和59年・問28)

1.「市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

2.「生産緑地地区内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

3.「土地区画整理促進区域内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

4.「国定公園の区域内に特別地域が指定されたときは,特別地域内で土地を開墾しようとする者は,原則として,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解】

×

1.「市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

【正解:

◆市街地再開発事業予定区域での建築等の制限

 「市街地開発事業等予定区域」に関する都市計画において定められた区域内では,

・“土地の形質の変更”(昭和59年,平成3年)

・“建築物の建築その他工作物の建設”(昭和62年)

を行おうとする者は,「都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可」を受けなければなりません。(法52条の2第1項)

≪許可が不要なもの≫

 ・通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

 ・非常災害のため必要な応急措置として行う行為

 ・都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準じる行為として政令で定める行為

 などは、許可不要です。(法52条の2第1項)

国が行う行為に付いては、当該国の機関と都道府県知事との協議が成立することをもって許可があったものとみなします。(法53条2項)

●市街地開発事業等予定区域とは何か
◆市街地開発事業

・新住宅市街地開発事業の予定区域

・工業団地造成事業の予定区域

・新都市基盤事業の予定区域

◆大規模な都市施設

・区域の面積が20 ha 以上の一団地の住宅施設の予定区域

・一団地の官公庁施設の予定区域

・流通業務団地の予定区域

●類題
1.「市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において,土地の形質の変更を行おうとする者は,原則として,市町村長の許可を受けなければならない。」(宅建・平成3年・問19・肢1)

【正解:×】市町村長の許可ではない。

2.「市街地開発事業等予定区域に関する都市計画において定められた区域内において建築物の建築をしようとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」(宅建・昭和62年・問17・肢1)

【正解:

●都市計画制限の出題歴●

都市計画施設の区域 昭和56年・問19,57年・問28公,59年・問20,60年・問18,
60年・問27公,62年・問17,
平成3年・問19,7年・問18,9年・問17,12年・問18
市街地開発事業の施行区域 昭和56年・問19,62年・問17,
平成3年・問19,7年・問18,9年・問17,12年・問18
市街地開発事業等予定区域 昭和59年・問28,62年・問17,平成3年・問19,
都市計画事業の事業地 昭和56年・問19,平成10年・問17,12年・問18,16年・問17

2.「生産緑地地区内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:×昭和60年,平成11年,13年

◆生産緑地地区

 生産緑地地区は,市街化区域内の一定の農地等に都市計画で定められました。(生産緑地法・3条1項)

  農地等(2条1項)…現に農業の用に供されている農地・採草放牧地
             現に林業の用に供されている森林
             現に漁業の用に供されている池沼

 生産緑地内では,次の行為は市町村長の許可を受けなければいけません。(8条1項)

・建築物その他の工作物の新築,改築又は増築 (平成13年)
・宅地の造成 (昭和60年),土石の採取その他の土地の形質の変更 (昭和59年,平成11年)
・水面の埋立て又は干拓

 ⇒ 生産緑地法 

●各制限の許可権者
生産緑地地区
(生産緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(市街化区域内の一定の農地等に定める)
市町村長の許可
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等の許可

3.「土地区画整理促進区域内において土地の形質の変更をしようとする者は,原則として,都府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

【正解:住宅街区整備事業・昭和63年,土地区画整理促進区域・平成元年,

◆土地区画整理促進区域

 同じ問題が昭和59年,平成元年に出題されています。土地区画整理促進区域が都市計画で定められることと建築行為・土地の形質変更の制限について見ておけば十分です。(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法)

 大都市地域内の市街化区域のうち,一定の要件に該当する土地の区域に,都市計画に土地区画整理促進区域を定めることができます。(5条1項)

 土地区画整理促進区域内の宅地について所有権又は借地権を有する者は,当該区域内の宅地について,できる限り速やかに,土地区画整理事業を施行する等により,当該土地区画整理促進区域に関する都市計画の目的を達成するよう努めなければならない。(6条)

 土地区画整理促進区域内において土地の形質の変更(昭和59年,平成元年)又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,都府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。ただし,次に掲げる行為については,この限りでない。(7条1項)

一  通常の管理行為,軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二  非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三  都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 ⇒ 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法

4.「国定公園の区域内に特別地域が指定されたときは,特別地域内で土地を開墾しようとする者は,原則として,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:国立公園・昭和56年,57年,国定公園・昭和62年,63年,平成2年,11年,15年

◆国定公園・特別地域

 国立公園・国定公園の特別地域や特別保護地区では,以下の行為をしようとする者は,国立公園では環境大臣,国定公園では都道府県知事の許可を受けなければいけません。(自然公園法・20条3項,21条3項)

 また,環境大臣又は都道府県知事は,環境省令で定める基準に適合しないものについては,許可をしてはならないことになっています。(20条4項,21条4項)

・工作物を新築し(昭和56-57,62,平成11)改築し又は増築すること
・土地を開墾し(昭和59)その他土地の形状を変更すること。(昭和63)
・広告物その他これに類する物を掲出し,若しくは設置し,又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。
・木竹を伐採すること。

・環境大臣が指定する区域内において木竹を損傷すること
・鉱物を掘採し,又は土石を採取すること
・水面を埋め立て,又は干拓すること。

・環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生育地でない植物で、当該区域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを植栽し、又は当該植物の種子をまくこと。

・環境大臣が指定する区域内において当該区域が本来の生息地でない動物で、当該区域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがあるものとして環境大臣が指定するものを放つこと

・特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
・特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

 ⇒ 自然公園法 

自然公園法の出題

 特別保護地区 昭和56年,57年,62年,平成2年
 特別地域 昭和59年,63年,平成11年,
 風景地保護協定 平成15年

●国立公園・国定公園の許可と届出−頻出事項

■国立公園・国定公園の出題歴

  国立公園・特別保護地区 昭和56年,昭和57年,
  
国定公園・特別保護地区 昭和62年,平成2年,
         特別地域 昭和59年,63年,平成11年 

 国立公園  特別地域
 特別保護地区
 海域公園地区
 環境大臣

 地域の指定・許可権者

 国定公園  特別地域
 特別保護地区
 海域公園地区
 都道府県知事

 地域の指定・許可権者

 普通地域は,国立公園又は国定公園の区域のうち特別地域及び海域公園地区に含まれない区域で,一定の行為について事前の届出が必要になります。

 国立公園  普通地域  環境大臣に届出。
 国定公園  普通地域  都道府県知事に届出。

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