法令上の制限 実戦篇

諸法令の過去問アーカイブス 平成14年・問24 


次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成14年・問24)

1.「道路法によれば,道路に水管,下水道管,ガス管を設置し,継続して道路を使用する者は,原則として道路管理者の許可を受けなければならない。」

2.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用する者は,宅地造成に関する工事を行わない場合でも,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

3.「都市計画法によれば,都市計画事業地内において,都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行う者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

4.「河川法によれば,河川保全区域内において,土地の掘さく,盛土又は切土を行う者は,原則として河川管理者の許可を受けなければならない。」

【正解】

×

1.「道路法によれば,道路に水管,下水道管,ガス管を設置し,継続して道路を使用する者は,原則として道路管理者の許可を受けなければならない。」

【正解:道路予定区域・昭和62年,平成12年

◆道路の占用の許可

 道路の占用(継続して道路を使用)については、道路法により「道路管理者の許可」を受ける必要があります。

第32条(道路の占用の許可)  道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。

一  電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物

二  水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件

三  鉄道、軌道その他これらに類する施設

四  歩廊、雪よけその他これらに類する施設

五  地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設

六  露店、商品置場その他これらに類する施設

七  前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの

⇒ 道路法 

2.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用する者は,宅地造成に関する工事を行わない場合でも,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

【正解:×平成3年問25,9年問20に宅地造成等規制法の単独問題の肢で出題

◆宅地造成をしないで宅地以外の土地を宅地に転用→届出が必要

 宅地造成工事規制区域で宅地造成に関する工事を行わない転用については,許可は不要です。

 しかし,宅地以外の土地を宅地に転用したときは転用した日から14日以内〔平成3年問,9年出題都道府県知事〔指定都市・中核市・特例市の長〕にその旨の届出をしなければいけません。←事前の届出ではなく,転用後の届出であることに注意。(宅地造成等規制法・14条3項)

宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,第8条第1項の許可〔工事に着手する前の宅地造成に関する工事についての許可〕を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,国土交通省令で定めるところにより,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 (14条3項)

 宅地造成工事を行って宅地以外の土地を宅地に転用する場合には,宅地造成の許可を事前に受けるので,届出は不要です。

 ⇒ 宅地造成等規制法 

3.「都市計画法によれば,都市計画事業地内において,都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行う者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

【正解:

◆都市計画事業地内での建築等の制限

 都市計画事業の認可または承認の告示があった後は,当該都市計画事業地内で,次の行為のうち都市計画事業の施行の障害となる恐れがある場合は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を受けなければいけません。(都市計画法・65条)

 ・土地の形質の変更

 ・建築物の建築、工作物の建設

 ・重量が5トンを超える物件の設置又は堆積

4.「河川法によれば,河川保全区域内において,土地の掘さく,盛土又は切土を行う者は,原則として河川管理者の許可を受けなければならない。」

【正解:昭和57年,63年,平成10年,13年,

◆河川保全区域

 河川区域,河川保全区域,河川予定地で以下のような行為をしようとするには,
河川管理者の許可が必要です。(55条1項など)

●河川法
   河川管理者
制限内容
1級河川 国土交通大臣 ・土地の掘さく,盛土又は切土その他土地の形状を
変更する行為(昭和62,平成10,14)

・工作物の新築又は改築(平成13)

(2つとも,政令で定める行為については除く)

2級河川 都道府県知事

(1級河川は国土交通大臣,2級河川は都道府県知事が指定。)

(河川法において「河川」とは,1級河川及び2級河川をいい,これらの河川に係る河川管理施設を含むものとする。)

河川管理の自的=「治水」、「利水」、「河川環境」(水質、景観、生態系等)の整備と保全

 ⇒ 河川法 

「○○管理者の許可」のまとめ

 道路  (道路法)  道路管理者 平成12・14・16年出題
 都市公園  (都市公園法)  公園管理者
 河川保全区域  (河川法)  河川管理者 平成10・13・14年出題
 海岸保全区域  (海岸法)  海岸管理者 平成14年出題
 港湾区域  (港湾法)  港湾管理者 平成15年出題
●関連問題
「河川法上の『河川』とは,一級河川,二級河川及び三級河川をいい,これらの河川に係る河川管理施設を含むものである。」(不動産鑑定士・2次・平成9年)

【正解:×】三級河川というものはない。河川法上の『河川』には,ダム・水門などの河川管理施設も含まれる。(3条1項)


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